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第59話 異世界YouTuber七海ちゃん
〜小さなティーカップの向こうの聖地〜
草原にシートを広げ、七海はのんびり腰を下ろした。
「ふぅ〜、やっぱり外で飲むアイスティーは格別だね」
万能道具箱から取り出したガラスのコップに氷を浮かべ、静かにお茶を楽しむ。
隣に浮かぶ水晶玉――異世界版の配信用デバイス――に軽く手を振る七海。
「えーっと……映ってるかな？ こんにちは〜」
特に何もせず、ただお茶を飲み、クッキーをつまむだけ。
しかし翌日、村は大騒ぎになっていた。
「昨日の配信、見ました！」
「ここ、聖域になってるらしいです！」
──コメント欄──
• 「ただ飲んでるだけなのに癒やされる」
• 「草の揺れまで尊い」
• 「次の動画はいつですか！？」
気づけば、草原は「癒やし聖地巡礼スポット」として大人気。
冒険者や村人たちが列を作り、七海の真似をしてティータイムを楽しむ。
「いやいやいや！ 私ほんとにお茶してただけなんだけど！」
七海の平和な配信は、今日も勝手に異世界を巻き込んで、にぎやかに幕を閉じるのだった。
