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第28話 朝ごはんはパンケーキと異世界の朝日
~バターが勝手にレッツダンス~
目覚まし時計なんてない。
でも、カーテンの隙間から差し込む柔らかな朝の光が、自然と七海を起こしてくれた。
「ふぁぁ……今日はのんびり朝ごはんだな」
万能の道具箱から粉や卵を取り出し、パンケーキを焼き始める。
じゅわっと広がる甘い香り。
ひっくり返そうとした瞬間――
「タタタン!」
……フライパンの上で、バターが勝手に踊り出した。
七海は一瞬固まったが、すぐに肩の力を抜く。
「……まあ、のせる手間が省けるなら、いっか」
皿に盛られたパンケーキは、バターがリズム良く跳ねながら勝手にトッピングしていく。
窓の外には柔らかな朝日。
甘い香りと軽快なダンスを眺めつつ、七海は優雅な朝食を楽しんだ。




