表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

15/92

第15話 旅は続く、どこまでも。のんびりと。

~世界は広くても、歩幅はマイペース~


昼下がり。七海は、ふと立ち寄った村の小さな茶屋で湯のみを手にしていた。

窓の外には、畑のあぜ道を行く村人や、干し野菜を裏返すおばあさんの姿。


「はぁ……平和っていいなあ。もうずっとここに住んじゃおうかな……いや、やっぱり移動式の家持ってるし」


そんなとき、隣の席で耳に入ってきたのは、どこか聞き覚えのある名前。


「あのリリィって魔法使い、この前、大会で優勝したらしいぞ」

「へぇ~、あの少し寂れてた温泉村、今結構人気なんだってさ」


どうやら、以前旅先で出会った仲間たちの近況らしい。

七海は思わず、湯のみを手ににっこり。


「みんな、自分の道を歩いてるんだなぁ……私の影響がちょっとはあったのかも。いや、きっと偶然だな」



茶屋を出て、のんびり村を歩く。

井戸端では、子どもたちが水遊び中。

「おねーちゃんも入る?」と誘われたが、全力で丁重に辞退した。

「だって、今全身ずぶ濡れになったら、荷物ごと洗濯になっちゃうからね」


畑道を抜けると、心地よい風が頬をなでた。

草の香りと、どこか甘い花の香りが混じっている。


「……こういう匂い、ずっと覚えてたいなあ」



村の出口で、小さな犬がとことこ近寄ってきた。

足元にまとわりつき、尻尾をぶんぶん。


「……もしかして、また飼い主と間違われてる?」

(猫耳の町のことを思い出し、軽くため息)


犬はしばらく七海の後をついてきたが、やがて村の青年が迎えに来て連れて帰っていった。

「また来てやってくれよな!」と手を振られ、七海も振り返して手を振る。



こうして今日も、小さな出会いと笑いがあった。

世界を救うわけじゃない。でも、ほんの少しだけ、誰かの人生に足跡を残せたかもしれない。


「さて、次はどこ行こうかな……パンが美味しい町もいいし、肉も捨てがたい……」


そんなことをつぶやきながら、七海はまた気ままに歩き出した。

空は広く、道はどこまでも続いている。

一旦息抜きします―

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ