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懐かしのバッティングセンター

作者: tomocha928

(バシュ!!……ブンッ!!ドスン!!!)

帰省した私は、数十年ぶりに実家からほど近いバッティングセンターを訪れていた。


当時と全く変わらない店構え。

店内に足を踏み入れた瞬間、懐かしい景色と少し埃っぽい匂いがブワッと広がる……。

「まさかタイムスリップしていないよな?」

そう感じる程に、全てが当時のままであった。


歳を重ねる毎に、『変化』という物に恐怖を感じるようになってきた私にとって、心が安らいでいくのがわかった。


通路脇にはレトロなゲーム機が規則的に並んでいる。

具体的なタイトルは伏せるが、私と同年代であれば、誰しもがプレイした事があるはずの名作だ。

ん?ヒントが欲しい?

……よしわかった。

『爆弾』『魔界』『龍と虎』 とだけ明かすとしよう。


さて、懐かしむのはこの辺にして、本来の目的のバッティングを始める。

昔ながらの緑色の網で出来たゲートを右手で払いつつ、くぐる。

「1人なんですけど、空いてますか?」

おいおい、居酒屋の暖簾じゃないだろう。

すまない。1人でボケてしまった。

……ツッコミがいない。

まぁ、バッティングでは体が突っ込まない様に気をつけよう。


(チャリン!)百円玉を料金箱に入れた。

ほぼ同時に、網の奥に佇むマシンの目に

赤い光が灯った。

(ヴーン……)という作動音はさながら、マウンド上で深呼吸をしているピッチャーの吐息の様である。

こちらも、深く息を吐き出しつつ、

ややリラックスした状態でバットを構えて球を待つ。

(バシュ!)

『きたっ!』

(ブンッ!!ドスン!!!)

(バシュ!カキーン!!!)

空気を7割と球を3割あたりの確率で捉えていく。要するに空振りが多めである。

酎ハイであればベストな割合なのだが……。


頭の中のイメージと身体の動きの乖離がひどい。

ただのブランクとは違う何かを本能的に理解した。

「そうか、もうすっかり中年になったんだな。」

と、しみじみと思い知らされた1日となった。


tomocha928

作中のレトロゲームのタイトルは、ボンバーマン、魔界村、龍虎の拳です。

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