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見栄を張りたいお年頃

作者: アラベル

ショートケーキが食べたかった。

仕事終わり、1日のストレスをどうしても飛ばしたかったため甘いものが食べたくなった。

疲れている時こそ、甘いカロリーがある物を食べることによって血糖値スパイクを起こし、全てをぶっ飛ばしたくなるものだろう。


帰ってくる時間も遅かったため、コンビニでショートケーキを購入し家でゆっくり食べてやろうと店内に入った。

するとどうだろう、ケーキは売られているのだが二つで一セットのものしか売ってないではないか。

二つを同じ日に食べるのは男にはきついなと考えもしたが、その日はどうしてもショートケーキが食べたかったため意を決して購入することを決めた。


ショートケーキ以外にも弁当などを合わせて購入してレジへ向かう。最近はセルフレジも増えてきて、人見知りの僕にとっては最高の環境が整ってきているのだが、その店には有人レジしかなかったため、仕方なくそちらへ向かった。


店員の方にレジ袋に入れてもらっていたのだが、そこで一言「フォークはおふたつおつけしますか?」


正直一人暮らしだし、一日に二つ食べないにしても家にもフォークがあるし、それを使えば問題がないためわざわざ貰う必要はなかったのだが、そこ僕の頭の中の自意識過剰センサーが反応した。

これってもしかして彼女と一緒に食べると思われてる?


もしこれで僕が一つだけでいいですと答えた場合、「こいつ一人でふたつ食べようとしてるんじゃね?彼女もいねぇのかよ。そんな男が一人寂しくショートケーキを食べるんだな」と思われるのはどうしても嫌だったため、全然必要がないのに「そうですね、二つお願いします」と答えてしまった。とてつもない嘘の見栄の張り方である。


家に帰りながら、20歳も超えて就職もしているいい大人がこんなことで見栄を張るなんて、なんて俺は寂しいやつなんだと悲しくなってしまった。

いつか彼女ができた時、仕事終わりに一緒に二つのショートケーキを食べる、そんな些細な幸せを味わえるようになりたいと、切実に思った。


今も家の冷蔵庫の中では食べきれなかったショートケーキが、一人暮らしの小さい冷蔵庫の中で、幅をとって残り続けている。

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