表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
生抜同盟 ―白黒傭兵の冒険手記―  作者: 白崎凪
第二章:白金技能篇
34/86

第二十九話「能力更新」

魔力=MP

 それから二週間が経過した。


 そう、二週間だ。

 にも拘らず、未だ公国からの進軍は確認できていない。


 そして、今日の十二時を以て能力更新が行われる。

 故に戦争自体が存在しなかったのだと、そう結論付けるには充分であった。


 

「やっぱり戦争なんて無かったってことだよな……」

「《白金》スキル自体が眉唾だったんだろ。ちっ……、余計な手間取らせやがって」


 帝都「スフォルティア」の宿屋の一室。

 俺たちは向かい合いながら、今後の方針について話し合っていた。


「一先ず王国に帰るか? これ以上居ても仕方ないだろ」

「ああ……、念のためギルドに立ち寄ってからだが」


 似非(えせ)魔術師の情報が間違っているとすれば、今後俺はどう動けばいいのか……

 未だ奴が王国に滞在しているのなら、確認しておきたい所だ。


 暫く話し合っていると、時計の長針と短針が数字の零を示す。


 能力更新の時間だ。


「頼む! 次はもう少し高い能力で‼」


 そんなアインの切願を聞きながら、俺は右手の甲に刻まれる文字に意識を向けた。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


〈名称〉アレフ

【種族】人族

【体力】49

【魔力】68

【攻撃力】57

【防御力】35

【魔法攻撃力】78

【魔法防御力】51

【敏捷力】74

【運力】27

《スキル》【水精霊の巫女】〖共鳴〗「得意武器:杖(小)」「斬撃」「遠視」


〈名称〉アイン・リベラティオ

【種族】人族

【体力】46

【魔力】39

【攻撃力】81

【防御力】63

【魔法攻撃力】32

【魔法防御力】54

【敏捷力】59

【運力】51

《スキル》【刹那の闘気】〖逆境〗〖得意武器:剣(中)〗「硬質化」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「おおっ! あー……。良いんだけどさ……」

「十分過ぎるくらいだろ。嚙み合いもかなり良い」


 互いの能力を見比べたが、全体的に高水準でスキルとの相性もかなり優秀であった。


「逆だったら良かったのに……。俺、剣苦手なんだけど」

「俺も杖は殆ど使ったことが無い。我慢しろ」


 俺はそう言うと、壁に立て掛けてあった瑠璃色の直剣をアインへと放り投げる。


「これを使え。それなりな性能だ」

「おっ、サンキュー! じゃあお礼にこの杖を貸してやろう!」

「そんな安物使えるかよ……。明日買いに行くぞ」


 アインが自前の杖を渡そうとしてくるが、丁重にお断りする。

 恐らく50万sにも満たない駆け出し用の杖だろう。


「優れた戦士は武器を選ばないってやつだ!」

「なら剣も使えるだろうが……。それはそうと、服も交換しとくか?」


 俺はハンガーに吊るしてあった予備の戦闘服を取り外すと、それも投げ付けておく。


「良いけど俺の外套、アレフ君には大き過ぎるんじゃないかな?」

「もう聞き飽きたぞ、その台詞……。いいから寄越せ」


 俺の身長は1,75m。

 アインとは5cm程しか変わらない筈だが、

 此奴曰く1,8mの壁というものが存在するらしい。

 心底どうでも良いが。


 因みに、俺の戦闘服は機動力重視の軽量仕様。

 対するアインの外套は防御力重視の耐性仕様となっている。

 気軽に装備を交換できるというのも、コンビを組むメリットの一つだろう。


「相変わらず似合わねえな……。『武闘熊猫(マーシャルパンダ)』みてぇ」

「だったらお前は『飛翔企鵝(フライトペンギン)』といった所か?」


 一先ずサイズが合うか確認してみたが、やはり違和感があるな。

 慣れ親しんだ色というのは、案外重要なのかもしれない。


 まあ、それは兎も角。


「念のため聞くが、技術教本は買ったんだろうな?」

「ああ、また買ったけど無くした」


 然も当然のように嘘を憑くアイン。

 俺はバッグから教本を取り出すと、アインへと手渡し――


『ゴッッッッ‼』


「痛ってえぇぇぇぇえぇぇ――⁉」


 数千頁を誇る極厚の紙束が、アインの脳天へと直撃(クリティカルヒット)した。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


【水精霊の巫女】… 水属性魔法の極致。

【刹那の闘気】… 一日一度、一分間だけ全ステイタスが大幅に上昇する。


〖共鳴〗… 半径百m以内の対象一人と感覚を共有する。

〖逆境〗… ダメージを受ければ受ける程、両攻撃力が上昇する。

〖得意武器:――〗… 使用武器に対する補正。レアリティによって効果量が変化。


「斬撃」… 斬撃に対する威力補正。

「遠視」… 遠くまで見通すことが出来る。

「硬質化」… 身体を硬くする。一分につき間隔三分。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「悪かったって……。にしても俺のスキル、ピーキー過ぎないか?」

「そうだな。只、発動すればかなりの力を発揮する」


 確かにアインに発現したスキルは、限定的なモノが多くなっている。

 特に【刹那の闘気】は使い所が重要になってくるだろう。


「俺が後衛でお前が前衛。異論はないな?」

「ないけど……。俺の剣術にあまり期待はするなよ?」

「端からそのつもりだ。明日に備えて今日は寝るぞ」


 時計の短針が丁度数字の一を示した時、俺たちは深い眠りに就いた。



          *



 ――翌日――


 武器屋で一本の杖を購入した俺たちは、ギルドへと向かっていた。


「流石大国って感じだな……。武器が高けえ」

「武器は俺たちにとっての生命線だ。妥協は出来ない」

「俺に対する当て付けか……?」


 俺が今回購入した魔法杖(マジックロッド)は2200万sの代物。


 軽量で頑丈な白色の木材『白楢木(ホワイトオーク)』をベースに、

 先端には紫色の輝かしい魔晶石が(あしら)われている。


 魔法とは大気中の魔素を媒介として、火や水といった元素を生成する術である。

 そしてその生成過程において、人間の「魔力」が用いられるのだが、

 杖はその変換効率を上げる役割を果たしている。


 例えば魔力40の人間と、高価な杖を持った魔力20の人間とでは、

 行使できる魔法数において後者に軍配が上がる。

 言ってしまえば、運の無さを札束で取り戻すことが出来る、そんな道具なのである。


 それはさておき、右前方にギルドのデカい建物が見えてくる。


 あとは軽く情報収集をして王国へと帰還するだけ。

 そんな事を考えていると、突如背後から元気な少年の声が聞こえてきた。


『はぁ……はぁ……、アレフさん! アインさん! 

 さ、探しましたよ! 何かお礼をさせて頂きたいのですが……』


 盛大に息を切らしながら、そう言うのは一人の少年。

 燃えるような真紅の髪に、鮮やかな蒼玉色の瞳。

 名前は確か「レイ」だったか。


「総額3200万s。お前に返せるのか?」

『うっ……。そ、それはいつか絶対にお返ししますので‼』

「あんまり虐めてやんなよ……。レイ、レナは元気か?」


 正直返ってくるとは考えていないが、

 これくらい言っておいた方が、今後の働きに期待出来るというものだろう。


『少しずつですが良くなっています。

 レナも是非お礼を言いたいと、そう言っていました』


 そう言う少年の表情は、喜びと慈愛に満ち溢れていた。


「はあ……。じゃあ先に寄って行くぞ」

『あ、ありがとうございます‼』

「どうせこの後の予定は決まっていないしな」


 嬉しそうに礼を言う少年に続いて、俺たちは居住区へと歩を進めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ