花火大会ー前半ー
二人っきり。
歩いて10分程度ではなび大会の会場。
そわそわ。。何話せばいいんだろう。
もじもじ。。
「この浴衣なんですけど、豊臣さんが用意してくださったんです。
息子さんと娘さんのもので」
「そうなんだー、サイズもぴったりだね。」
「だね。歳も近くて」
「へー、あんなに若いのに、2人も育ててるなんて凄いね」
「凄いね。ギャルママだったようで、早く結婚されて、お二人授かったようです」
「やっぱり〜、想像できるー」
「ただ、その後離婚され、また息子さんが、昨年バイクで交通事故にあい」
「着ることが出来なかった浴衣だったんだそうです」
「え。。」
「もちらん、お断りしましたが、着て欲しいと諭されました。
初めて面接で会ったときから、息子のように可愛がって頂き、感慨深いです」
「あの豊臣さんが」
「自分も母が幼い時からいないので、ホントに母のようなお人柄に尊敬します」
「しずかさんの浴衣は今年、成人になられたお姉さんのまのらしいです」
私はまた、何も知らずに、のうのうと過ごしてきてたんだ。。バカバカ。。豊臣さんのお力になれるよう頑張ろ。
浴衣ありがとうございます。ちゃんたお礼しないと。
おかげであっというまに会場近く。
通りには凄い数の人、人。
視線が気になるー。
恥ずかしいな、男ってバレちゃうのかな。。
「ねえ、あの人カッコいい」
「イケメンね」
「私もあんな彼氏ほしい」
そんな声がちらほら。やっぱりね〜。ですよね〜。
比較されちゃってるなかなぁ、、私。
「しずかさん、歩きにくくないですか」
その上、優しいんだもんなー。完璧ですよねー。
浴衣、慣れないけど、感謝しないと。
「うん、大丈夫、ありがとう」
「ちょっとお時間ありますでしょうか?」
と、数人の団体さん。
「地元の出版社で月刊関ヶ原の取材で、素敵なカップルさんを撮影したく、可能でしょうか」
地元で人気のタウン誌だ。カップル〜?
「毎月読んでます。僕は大丈夫ですが、彼女がオッケーであれば」
彼女??まー。この格好だと誰もわからないだろうしー。
「はい、大丈夫です」
パシャパシャ!
「いつもどおりの仲のいい感じでお願いします」
わ、わ、どうしよ。いつもって、初めてだしー。
「しずかさん、どうぞ、腕つかまってください」
えい、腕まわしてやるー。
わ、え、たくましい。。
何この安心感。
「彼女さん、いい表情ですよ」
「ありがとうございました」
「ちなみに彼女さんのどういうたころが好きですか」
「純粋で、頑張り屋で、子どもにも優しく。
後は見ての通り、可愛くて女性らしいところです」
もう、調子乗ってるー。
あーもう、顔から火がでそうー。
嬉しいような複雑なような、でも、褒められたことなんてあまりないし、嬉しいかも。
「彼女さんは彼のどんなところが好きですか?」
好きって言われても。。えい、ひがんでたところ、思ったこと言ってやる。
「こんなに素敵な男性いないと思います。
見た目ももちろんですが、優しくて、頼りがいがあって頭も良くて、気遣いができて、女性なら好きになってしまうと思います。男性も、一目おくと思います」
あ、言ってしまった。
ちら、っと。えーわかんないその表情。
「ホントに素敵なカップルですね。
来月号に載させていただきます。
末永くお幸せに」
「ありがとうございました」
「そんなふうに思ってくれてたんだ」
彼の表情は分からなかったけど、私の意見は、一般論でもある。