2話 出てくるの早いって
見てくれてありがとうございます
「シューク、次の目的地は龍王の王国になった。出発は3日後、それまでに準備をしておいてくれ。」
「了解にゃ」
次は龍王ね、…名前の響きとかカッコいいな。
ま、3日後なら暫くは自由に出来るな。
「釣りでも行くか」
そう思い自宅の物置から釣竿を引っ張り出して王国の近くにある川へと向かう。この川は王国の近くにあるからか魔物も集まりにくく釣りにはぴったりの場所だ。訓練がない日とかは良く釣りをしている俺は王国の中でも屈指の釣り人だろう。
「釣れるかなっと」
餌をつけたルアーを水に沈める。目標は5匹くらいを釣って夕食にすること。この時期だったら川でもそれなりの魚が釣れるだろう。
釣りとは待ち。待ち続けた者だけが勝利するのだ。
俺の根性を見せつけるときだろう。
ま、3時間も待てば1匹くらいは釣れるだろう
1時間経過 釣れない。
2時間経過 釣れない。
3時間経過 長靴ゲット。
「こんなことってある?」
いくらなんでも釣れなさ過ぎではなかろうか。
過去1といっても良いくらいで全く釣れない。
それにこの3時間で1匹も魚どころか魔物も見ていない。これは嫌な予感がする。とても面倒なことが起こる予感。俺の勘がそういっている。
『シュークや木とかに早くここから離れるのです』
丁寧な口調のおっさんの声がした。嫌だわ、コレが俺の勘?冗談だろ?…まずは帰るか。おっさん声の解明は帰ってからゆっくりと考えよう。
「んじゃまぁ、さっさと帰るか」
その場を離れようと腰を上げた時だった、前方からものすごい勢いで何かが飛んでくる。
「勘弁してよ!」
魚を捌こうと持ってきていた少し大きめのナイフを手に取り構える。そして飛んでくるものをしっかりと見極め、迎撃のナイフを投げつける。
投げつけたナイフは次の瞬間、粉々に砕け散った。
「キャハハっ」
飛んできたもの、今俺の前にいるのは女の子だった。身長は140㎝くらい。うんうん、角と翼、尻尾が生えてること以外は普通の女の子だね。
体に衝撃が走る、殴られた?いやいや、早すぎやろ。
「ぐぉぉぉ!」
吹き飛ばされないように全力で踏ん張って拳を耐える。地面には亀裂が入りブアッと土煙が巻き起こった、殴られたのは顔。めちゃくちゃ痛い。
「おぉっ耐えた!」
女の子は何だか嬉しそうにキャッキャキャッキャと騒いだいる。
「いやいや、普通の人なら死んでるから。俺が特別ってだけだから。いくら悪戯でもやり過ぎは駄目だよ、分かったね?ええぇ!!」
話終わった途端に2発目の拳が飛んでくる。咄嗟に顔を捻って回避した。素晴らしい回避、自分を褒めたくなる。
「だから!あっぶね!?悪戯は!ちょっ!?」
遂には話してる途中でも殴ってくる。
「話聞けぇぇぇ!!」
相手の拳を掴んで後ろ側に回り込む。そして脇の間に腕を入れてうなじの位置で手と手を組んで固定する。これでパンチはもうできないだろ!
「キャハハっ!こんなんで私は止まらないぞ!」
今度は翼でバサバサと叩き始めたが、こっちの攻撃の方がまだマシだな。パンチの方は1発しか貰ってないのに顔がジンジンするし。
「分かった!分かったから!落ち着け!」
「キャハハっ!」
嬉しそうに笑いながら落ち着く様子がない。
( ^ω^ )心を無にするのだ。こんな子供相手に怒るなんて俺みたいな紳士のすることじゃない。
てか今気付いたけどコイツ胸だけは大人サイズ、しかも大人の中でもかなり大きい部類の方だな!
「へぶっ!」
煩悩に支配されていたら思いっきり頭突きされた。
あ、めっちゃいい匂いする。…じゃなくて、
「テメェ!いきなり飛んできて何すんだよ!?いくら優しくてイケメンでお兄さんな俺でも怒るぞ!?言え!目的を!言え!!」
そう怒鳴りつけると女の子は考える素振りを見せる。
「う〜ん、別に目的とかはないけど、強いて言えば〜、覇王を倒した勇者はどんぐらい強いのかな〜て思って、試しにきたんだ」
良かった、やっとまともな会話をしてくれた。
言葉が通じないタイプだと思い込んでたわ。
じゃないじゃない、今の会話の内容やこの子の姿を見るに恐らくは…
「もしかしてだけど、龍王だったり?」
「ん?そうだぞ、今さら気付いたのか?」
良し、逃げよう。
巨乳派です。