0話 プロローグ
見てくれてありがとうございます。
「見事だ…勇者パーティーよ」
俺たちの前で覇王が膝をつきながら呟く。
「貧弱な人の身で、この私を滅ぼすとは…」
覇王は穴の空いた自身の胸を手で押さえながら此方を睨みつけてくる。
「……ふっ、良い目をしておるわ」
そしてパーティーのリーダーであるレグレスの目を見てそう言った。その時の覇王は悔しそうな、だけど何処か満足そうな顔をしていた。
「あぁ、未だにこのような目をした人間がいるなんなんて思いもしなかった。これは負けて当然だったな」
最後にそう言い残し覇王は動かなくなった。
「やっと、1人目の王を倒したな」
「えぇ、やっと終わったのね」
「でもまだ3人の王が残っています。私達の旅はまだ終わりではないのです」
「帰りたい、眠りたい、働きたくない」
「「「………」」」
おっと、3人が真面目な雰囲気で何か語っている中でうっかり本音が零れてしまった。
「あんた、少しは空気読みなさいよ」
「いやいやいやいや、普通は喜ぶ空気なのに何かしんみりしてるから場を和ませようと思ってだな?」
「どう聞いても本音が零れた感じだったけど?」
「忘れてくれ」
でも実際にこの場にいる仲間たちは自分を含めてボロボロだった。一刻も早く帰って休んだほうがいいのは間違いない。
「…みんな、王国に帰ろう。王様にも報告しなくてはいけないからね」
レグレスは覇王が座っていた玉座に花を置いて歩きだす。どこまでも勇者様な奴だ。見た目だけじゃなく心もイケメンとは恐ろしいな。
他の2人もレグレスの後に続いて歩き出した。
そんな3人の背中を眺めながら俺は1人愚痴を零す。
「追放イベントってまだなの?」
次話から頑張ります。