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第3話 海

ついに始まった、彼女くら部!!その初めての活動は??

今日も暑い・・・。

地球温暖化も本気で考えないとなぁ。

テレビで良彦が住む、大阪は30度を軽く超えるとアナウンサーが笑顔で原稿を読んでいる。

街では今日も様々な格好の人で賑わっている。

良彦は無地の水色のTシャツで片手にはガリガリ君という毎年と同じ格好で家の近くの神社に向かっている。

この神社は小学校からずっと3人で集まって遊んでいる。

いわば誰でも一つは持っている、いつもの場所って奴だ。

かなり古い神社で人が通ったことはホンの数回しか覚えていない。

たっくこんな暑い日に悠の奴・・・。

「海パン持って神社集合!!」

悠からのメールを見ながら良彦は呟いた。

あいかわらず長い階段を登った良彦の視界に満面の笑みの悠が写ってきた。

「遅せよ(* ̄^ ̄)」

「うせぇなぁ。帰ってもいいんだけど」

「うそうそ。さすが良彦様。時間通りでございます!!」

「なんだよソレ。イニは?」

良彦が聞くと悠はバットを振る仕草をした。

あぁ野球か。確かに野球バカの仁は夏になると会うたび黒くなって行く。

「で?何で海パンなんだよ?プールでも行くのか?」

「バカ夏=海だろ?」

「はぁ?一番近くの海でもチャリで4時間はかかるぞ」

「今から行けば15時には着くだろ?よし行くぞ!!」

こうなった悠は止められない。

「おいおい。それだったらイニもいる時でいいじゃねぇか」

「イニは野球で海行く余裕なんてなぇよ。これも大事なクラブ活動なんだから行くぞ!!」

海の何処がクラブ活動なんだよ。

「じゃぁジャンケンだ!!俺が勝ったら今日は中止!!これでどうだ?」

「やだ。」

「ふーん。悠は負けるのが怖いんか・・・。そうかそうか」

「何ぃぃ(-_-#)? 」

悠は大の負けず嫌いだから乗ってくるのは分かっていた。

可愛い奴め。

「やってやるよ!!そのかわり俺が勝ったら今すぐ海行くぞ!?」

「よし。3回勝負だ!!」

お互い腕を交差して作った腕の間から相手を覗いた。

神社では何匹いるか考えるのも嫌になるぐらいセミの鳴き声がこだましている。

せーの!!じゃんけーーーん・・・・・



「あちぃぃ・・・」

「暑いって言うから暑く感じるんだよ・・・」

汗をダラダラ流しながら答える悠に良彦は説得力の欠片もねぇなコイツと思いながら黙々と自転車を漕ぐ、出発してから一体何時間経っただろう。

キラキラ光る悠の左手のブレスレットにはファッションに疎い良彦でも分かるBからの文字が彫ってあった。

着ている水色のTシャツは汗で青く染まっている。

一体、後何時間で着くんだよ・・。

これもジャンケンで負けた自分のせいか。

まさか3回連続で負けるとは思ってもいなかった。

「おい。あそこで休憩」

近くにコンビニを見つけて自転車を向ける自然とスピードが上がる。

自転車を停めて自動ドアをくぐると火傷寸前の体を冷気が包んでいく。

「あぁ〜ここに住みてぇ〜」

「どっかの誰かが海なんて言い出さなかったら今頃はエアコンの利いた部屋で・・」

「はいはい。そういうことは言わない」

そう言うと悠は近くの周辺の地図に手を伸ばした。

良彦はデートスポットが乗っている週刊誌に手を伸ばそうとしたが悠に見付かると面倒になるんで興味もないファッション雑誌に手を伸ばした。

中には外国人が様々なポーズをとっていた。

こんだけ男前なら無地でもオシャレに見えるんじゃねぇか?

ペラペラめくっていると街の可愛い子を写しているコーナーがあったが綾波が一番だなと良彦は彼氏気取りで考えていた。

「おい!もうすぐみたいだぞ!!行くぞ!」

悠に焦らされて良彦は慌てて雑誌を閉じた。

「何慌ててんだよ?さてはお前Hな雑誌でも・・」

「バカ!!んな訳ねぇだろ。行くぞ」

慌ててコンビニを出ようとした良彦はドアを出るときに客とぶつかってしまった。

「てめぇ気よ付けろよ!!」

ガラの悪そうなタンクトップ姿のいかにもチャラそうな男が良彦に怒鳴ってきた。

ガラの悪さはタンクトップに描かれているドクロが物語っている。

「・・すみません」

イヤな予感がした良彦が振り向くと思った通り悠が眉間にシワを寄せていた。

今にも殴りかかりそうだ。

「おい悠行くぞ!!」

悠の手を引っ張って足早にコンビニを出る。

「たっく。ヒョロヒョロの癖にタンクトップなんて着やがって。俺だったら、あんな奴ソッコーでKOしてやるのに。」

「あんなのほっとけよ。海に泳ぎに行くんだろ?」

良彦が言うと悠はニヤっと笑って

「そうだったな男になんか相手する暇ないんだったな!さすが良彦!分かってるぅ〜♪あんなチャラ男ほっといて海だな海」

自転車に跨り漕ぎ出す悠を見ながらチャラ男はお前だろと良彦は全力で思った。


それから1時間ぐらいしてから

「海どぅあぃあああ!!!」

悠の叫び声と共に視界いっぱいに青が映った。その瞬間に満足感が押し寄せてきた。

「もぅ帰ってもいいぐらいだな」

「バカだな良彦。お前は何しにこんな思いまでして海にきたんだよ」

「別にガキじゃあるまいし海ぐらいでハシャいだりしねよ」

平然を保っていたが内心はシンバルを叩く猿並みにウキウキしていた。

「俺も海ぐらいでハシャぐかよ。しかし海と言えばすることは一つだろ(* ̄ー ̄)」

まさか・・・良彦の心で一心不乱にシンバルを叩いていた猿の手が止まった。

「夏=海とくれば・・・Let´sナンパしょ??」

悠は満面の笑みだ。今日は後何回この笑顔を見なければならないんだろう良彦は疲れと憂鬱でいっぱいになった。

水着に着替えた二人だが一人はウキウキ、もう一人はさっきから俺はしねぇからなと繰り返している。

「あんなぁ良彦ここまで死ぬ思いできたんだ。お前も泳いでハイ帰りましょうでは寂しすぎるだろ?ナンパはチームワークが大切なんだからな」

「はいはい。やるなら一人でな」

「あのなぁ〜あっ可愛い子発見!!行くぞ。付いてこなきゃ退部だからな」

別に退部になっても良彦的にはどぅでもよかったが、必死の悠を見て

「付いていくだけだぞ」

とぶっきら棒に答えた。


さすがの悠だがなかなか話すら聞いてもらえない。

ざまぁみろと良彦は悠の後ろで思った。

「だめぇだぁ〜。やっぱ高校生なんて相手にされねぇわ!!後ろにいるのがこんなに暗かったら無理か」

「おいおい、俺のせぇかよ」

「だったら良彦も行ってみろよ」

「だから俺がナンパなんてできる訳ないだろ?」

「はぁ・・・あっ!!あれさっきのコンビニ野郎じゃねぇか。たっくあの顔でナンパなんてしてやるぜ」

悠が向く方向を向くと確かにコンビニにいた男がいる。あのドクロは1度見たら忘れられないインパクトがある。後ろには2人のチャラ男がニヤニヤ女を見ている。

「はっはっ!!見ろよアイツら振られてるぜ」

お前もはたから見ればアイツらと一緒だよ。

「悠、もぅ満足しただろ?もぅ帰ろうぜ」

良彦が告げると悠は顔をクシャクシャにしてから立ち上がり

「帰りもあの距離かぁ死ぬぅ〜」と叫んだ。

お前みたいな奴を無鉄砲っていうんだよ。

「良彦には今日付き合ってもらった代わりにカキ氷おごってやろう!!」

「おぉ100回に1回はいいこと言うじゃねぇか」

「良彦は厳しいなぁ。俺の繊細な心が傷つくぜ」

「繊細な心持ってる奴はナンパなんかするかよ」

二人は近くの出店に向かった。

出店にはカップルが何組か座っており、悠は羨ましそぅに眺めていた。

屋根の影に入るだけでかなり涼しく感じる。

ナンパに緊張していたのか自分がかなり日焼けしているのに気がついた。

良彦は色白だから日焼けをすると赤くなり目立ってしまう。

「先にシャワー浴びようぜ」

「そうだな」

良彦の提案で出店の後ろのシャワー室に向かうことにした。

「あれって・・・うちの高校の奴じゃねぇか?」

悠が指差した先にはTシャツにジーンズ姿の華奢な女の子がレジに並んでいた。

「俺は知らない子だな4階の子??」

「あぁ確か特進クラスの奴だよ。全然目立たねぇ奴だけど、たぶんそぅだよ。名前は確か・・・分からねけど。まぁシャワー行こうぜ」

歩きだした悠の後ろを付いて行く良彦だが何故か気になってその女の子を何回も見ていた。

髪は2つに分けていてメガネをかけており化粧もしてなく大人しそうな雰囲気の言わば悠の正反対のその女の子は良彦には気づかず申し訳なさそうに俯いていた。


シャワーを浴びて出店に戻ると男の怒鳴り声が響いた。

「てめぇ何してくれんだよ!!」

「弁償だな弁償」

男達の目の前にはさっきの女の子が俯いていて今にも泣き出しそうだ。

「なんとか言えよ!!」

ドクロの男の服は濡れており下には紙コップが転がっていた。

「たっく、この不細工この服いくらすると思ってるんだよ!!」

男は怒鳴り続けており店員もどうしていいのかオロオロしている。


良彦が気づいた時には良彦の前に男が転がっている。

手に激痛が走る。

自分でも信じられないが良彦は初めて人を殴ってすまったようだ。

悠も信じられないといった表情でこっちをみている。

ふと女の子の方を見た。

眼鏡の奥に怯えている目をしている。

次の瞬間、頬に痛みが走った。

ドクロの連れに殴られてようだ。殴られるのがこんなに痛いとは思わなかった。

悠も入って乱闘になったが2対3では分が悪いと思ったが悠はあっという間に2人を殴り飛ばした。良彦も夢中で拳を振り回した。

3人は勝てないと思ったのか逃げ出した。

去り際に「覚えてろよ〜!!」と言い残した。

本当に漫画みたいな台詞を残して行った3人を見て悠は見たかと言わんばかりの薄笑いを浮かべた。

すると周りから自然と拍手が巻きおこった。

悠はどーもどーもと調子に乗っていたが良彦は初めての喧嘩に放心状態だった。

覚えているのは女の子に今にも泣きそうな声でありがとう渋谷君と言われたことだ。



帰り道

「良彦もやるじゃねぇかビックリしたぜ(  ̄ー ̄)」

悠がチャカしてくるが良彦はうるせぇなぁと繰り返すだけだ。

「イニにいい土産話ができたぜ。てか手大丈夫か?」

「あぁもぅ痛くねぇそれより・・・」

「なんだよ?」

「いや・・・早く風呂入って寝たいぜ」

「だな」

良彦は悠があんなに喧嘩強いと思わなかった。

それより自分が何で殴りにいったのかも分からなかった。

なによりなんであの子は俺の名前を知っているのかが分からなかった。










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