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三人称「四人」

 アッシュのパーティーメンバーは以下の4名。


 アッシュ・グレイシア 器数:5


 アッシュの祝福

 『ジーベ流剣術皆伝』 コスト:4

 「ジーべ流」創始者ジーべと同等の剣術を身につける。


 『危険察知』 コスト:1

 自身に害を成す可能性がある場合、5秒前に感じ取る。


 パーティーリーダーとして先頭に立ち、白兵戦最強格とも言われる『ジーベ流剣術・皆伝』を駆使して戦う。『危険察知』は敵からの不意打ちを防ぎ、単独でも複数を相手に立ち回るのに非常に有用な祝福。コスト1の祝福である為、その危険が具体的にどんな物かまでは分からないのが難点ではあるが、『ジーベ流剣術・皆伝』と組み合わせる事により、迅速な回避行動が可能になる。



 シジマ・サザフォード 器数:4


 シジマの祝福

 『マジックブラスト』 コスト:2

 手の平から光弾を発射する。 


 『放出強化』 コスト:2

 手から放たれた物に強力な指向性と緩急を持たせる。


 アッシュの同僚の騎士にして、裏ダンジョンの話をアッシュに持ちかけた本人。ダンジョンには物理攻撃の効きにくいモンスターが稀に存在する為、『マジックブラスト』のような遠距離攻撃が必要となる。『放出強化』による標準能力は前衛であるアッシュとの連携を可能にし、更に発射速度をコントロールする事によって 擬似的な溜めを作る事も出来る。また、ロープやバックなどを投げる時にも有用で、洞窟探索には持ってこいの祝福である。



 ストナン・ベルーべ 器数:5


 『福音』 コスト:3

 使用者の理解している祝福を対象の合意の上で与える。


 『トリアージ』 コスト:2

 外傷を一瞬にして治療するが、24時間後に再現される。


 今回の裏ダンジョン調査にあたりアッシュが声をかけた40代後半の男司祭。高い器数を持ち、若い頃は教会内でもエリート扱いされていたが、教会外で『福音』を個人的な理由で使用した事により糾弾され、追放までは至らなかった物の、今は地方の閑職に就かされている。

 海底にある裏ダンジョンには『潜水』が無ければ入り口に辿り着く事さえ出来ない。だが器数2を『潜水』に割いたままではモンスター達とまともに戦う事は難しい。よって、『福音』持ちの司祭を連れていき、ダンジョンに入ってから祝福をかけ直すという方法が有効になる。もちろんこれも教会が禁止している行為ではあるが、その決まりを破れる司祭としてアッシュはストナンに目をつけた。治癒が出来る『トリアージ』は即応性の高さを理由に採用されているが、自身が『福音』を持っている為、状況に応じて祝福を切り替える事も可能。



 メリー・ティラス 器数:2


 『圧縮収納』 コスト:2

 手に持った物を10分の1のサイズまで圧縮する。


 グレイシア家に仕えるメイドであり、元はアッシュの妹リンテの世話係だった。リンテの処刑と同時に解雇される予定だったが、アッシュが裏ダンジョンへの同行を条件に契約を継続させた。所持している『圧縮収納』はダンジョン内に装備を持ち込むと同時に得た戦利品を持ち帰る為の物であり、その効果は生きている物には無効な為、戦闘能力は皆無に等しい。


 ダンジョンに到着し、ストナンの『福音』により祝福をかけ直した各自は、水着から洞窟探索用の装備に着替え、水中で奪われた体温を取り戻す為にまずは火を起こした。


 洞窟の奥を見ながら、アッシュとシジマが会話する。

「流石は裏ダンジョンを自称するだけあるな。こんなに手付かずの状態の間に来れるのは珍しいぜ」

「だな。しかしアッシュ、分け前はきっちり三等分で良いんだよな? 器数割りじゃなくて」

「ああ、来る前にもそうだと言っただろ。器数4のお前が割りを食う事はない」

「信頼してない訳じゃないんだが一応、な。何せこんなに荒らされていないダンジョンは俺も初めてだ。どんなお宝が眠っているか分からん。確認はしておきたい」


 器数割りとは本人の器数に応じて報酬が割り振られる方式で、主に冒険者達の即席パーティーで用いられる精算方法だった。リスクは同じなのに取り分が不公平だと、シジマとしては面白くない。よって人数割ならという条件で同行している。


「気持ちは分かるが、金の心配よりまずは命の心配をした方が良いぜ」

「分かってるさ。ヤバくなったらとにかくストナンを守れば良いんだろ?」

 名前を出されたストナンは、黙って焚き火に当たっている。2人の会話にもさほど興味はないようだ。

「そうだ。『福音』が無けりゃ上に戻れないし、怪我を負ってもストナンの『トリアージ』があれば何とかなる。そんな事は無いと思うがな」

「『呪縛』についてはどうする? 未探索のダンジョンなら、当然あるだろ?」

「俺の『危険察知』の範囲内に存在すればかかる前に分かる。このパーティーだとどうにも出来ないから先には進めなくなるが、最初からそこまで深部に潜るつもりはない」

「だな。美味しい所だけ頂いてさっさと帰るとしよう」


 3人から離れて着替えをしていたメリーも支度を終え、焚き火の前に来た。


「ところでアッシュ、お前の妹は見つかったのか?」

 シジマの質問に、アッシュはあからさまに機嫌を損ねた。

「さあな。無能な騎士共に任せたのが間違いだったよ」

 数日前からリンテが棺桶ごと行方不明になっているのはアッシュの耳にも届いていた。


「ま、どこかで死んでるだろ」


「おいおい、自慢の妹じゃなかったのか?」

「……昔はな。だがあいつのアレルギーのせいでレオルスとのコネも無くなった。騎士学校の卒業後は隊長まで一気に出世出来ると思ってたのに、計算が狂っちまったよ」

「ふっ、そりゃお生憎様だな」

「いずれにせよ、このダンジョンで1発当てて、それを元手に上に取り入るつもりだがな」

 2人のそんな会話を聞きながら、メリーは黙って出発の準備をしていた。


「よし、じゃあそろそろ出発するか」

 焚き火の明かりを松明に移し、4人は洞窟の奥へと1歩を踏み出した。

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