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童話シリーズ

ガラスの女

作者: Goko

ガラスの破片を集める女性がいた。彼女の住む街では争いが頻発していた。隣の街との争いであった。

空は煙で灰色。家は壊れ、廃れた街の風景が彼女の目の前には広がっていた。彼女はそんな街の割れた窓のガラスの破片を集め、熱で溶かし色々なものを作った。

すこし、灰色がかったその街を連想させるようなコップや、色彩を加えたステンドグラス。少しでも、街のためになれば良いと、争いが終われば良いと。そう思いながら彼女はその活動を続けていた。


そんなある日、彼女の活動を街の人は批判した。

「そんなもの作ってお金を儲けて、自分だけ良い思いをして。」

「それがどう街のためになるんだ。」

「そんなもの作っている暇があるのなら、少しは街の争いに貢献しろ。」

彼女にとっては悲痛な声がいろいろ飛んできた。嫉妬心にかられた住民は彼女を追い詰め、アトリエを壊し、彼女を街から追放したのであった。


しかし彼女は作るのをやめなかった。アートを作り、街のことを少しでもいろんな人に知ってもらえれば、いつかこの地を訪れてどうにかしてくれるのではないか。そう思っていたのだ。それでなくても自分の作った作品が売れたお金で少しでも街の復興に尽力したいと思っていたのだ。


数年後、争いが終わり、平和にはなったものの長い間の争いの果てに、地は荒れ、農作物は育たず、その街の住人は貧しい暮らしを今だにしていた。


彼女は、街を離れても作品を作り続け、稼いだお金で田畑を肥やし、街の復興に尽力した。

しかし、彼女の作品を街の人はまだ良くは思ってはおらず、争いを種に稼いだ野蛮な女だと彼女を蔑んだ。


彼女は深く傷つき、その街へと現れることは2度と無かった。彼女が最後に作ろうとしていた作品がアトリエには残っており、『復興』という題名で、街のみんなが笑顔になっているステンドグラスの作品が残っていたという。

なぜ気合を入れて頑張ろうと思った事に空回りしてしまうことはあるんでしょうかね。

私は頑張ると少し空回りしてしまうことが多いので、悲しいです。

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