[4a-36] FILE:警察署長の手記
私は現在、私の一存によってニール・メイリッジを収監している。
だがこれは彼の罪を認めたからではなく彼を守るためだ。混乱を防ぎ、法を介さぬ私刑を防ぎ、街の秩序を壊さぬためだ。
何もかもがおかしい。
『真夜中のオルゴール』の話をしているのは、最初は娘やその友だちだけだった。夢見がちな娘どもの御伽話に過ぎなかったはずだ。
しかしいつの間にやら、それを聴く者は増えていった。
まずは幼女、次に若い女、やがては老い先短い老女さえも……
誰もがオルゴールを聴き、間もなく、聞くだにおぞましい夢の話をするようになった。
市長によれば明日には中央大神殿から調査員が到着するという。
だが、調査? 調査だって? この状況でそれが何の役に立つって言うんだ?
今も署の周りを女たちが取り囲んでいる。
「あの悪魔を殺せ」という声が響いている。
私は生きて明日の朝を迎えられるのだろうかと、本気で恐ろしくなる瞬間がある。
もう何もかもが片付くまで家には帰れない。
妻と娘の顔を見るのが怖い。
私がニール・メイリッジを匿っていると知れたら、彼女たちはきっと
なぜ雪が降って
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