[4a-24] FILE:赤薔薇の日記①
後々、プロパガンダの種にできるというエヴェリスの勧めにより日記を書き始める。
休む必要も眠る必要も無い身体であることから、一日一日の区切りを付ける意味でも日記は悪くないかも知れない。
今日午前中は『プロジェクト・C』の視察。
魔力供給ハブモジュールのデモンストレーションを見る。
問題は起こっていないようだけれど、あくまで通常稼働状態でのデモであり、わたしの力を乗せた完全駆動状態でどうなるかは理論上大丈夫であってもまだ分からないとのこと。
5日後にわたしを含めたモジュールのテスト、問題が無ければ7日後にこのモジュールも含めた第六ブロック統合テストを行う予定になる。
エヴェリスからは『完全駆動時の拡張領域展開・収納ができた時点で半分完成』とのこと。後は技術的課題よりもミスを出さないことが重要。
完成まで試運転も難しいので、障害発生時の冗長性確保をどう考えているかは後でもうちょっと聞きたい。
午後はゲーゼンフォール大森林へ戻る。
指導者層から撤退の方針に関する聞き取りを行う。
予想通り、ダークエルフ化した者の中にも内心承服しかねる者が多いとのこと。
最終的な方針に変わりは無いが、可能な限り慰撫に勤めなければ爆弾を抱えるだろう。
現状では空手形だがゆくゆくはゲーゼンフォール大森林の再征服による奪還は約束しなければならない。その際の森再生のための備えを事業として行う。
また、森自体の『C』への組み込みに関する話もする。エルフたちの精神的な拠り所とするに必要充分なのは何なのか。容量の限界もあるので慎重に詰めたい。
姫様、こんな業務報告みたいな日記じゃ意味無いんじゃないの?
トレイシー。わたしの日記を勝手に読んだ技術と度胸は認めるけれど、後で崖に吊すわ