王子様のお迎え、、、そんな血塗られた王子様はお呼びでないです!帰ってください。
初の短編です。
楽しんで読んでいただけたら嬉しいです。
いつか素敵な王子様が迎えに来てくれるの。
そんな事を思っていた時代もありましたよ。
でもね、それって女の子夢っていうか、妄想っていうか。とにかく、これだけは言える。
「そんな血塗られた王子様求めてない!」
目の前にいるのは2つ年下の幼馴染。
今年で20になる私は確かに結婚を焦っていた。だって、そんなに見た目だってスタイルだって悪いわけではないのに男が全くよってこないのだ。
だけど、だけど、だからといっても。
「なんで?ティナがいつか王子様に迎えに来てほしいっていったからわざわざ、隣国の愚王をクーデター起こして倒して王冠をもぎ取ってきたのに!」
ごてごてしい王冠を差し出してくる幼馴染のレイ。
キレイ、、、あれ?だけど、真っ赤な、、、、、
「ひっ!血がついているじゃない!返してきなさい!」
「ほら!王子様が迎えに来たんだから、結婚して!」
「そんな力技な王子様求めてない!夢なの!乙女の夢!乙女の夢を力技で汚さないで!」
「ちっ!」
「舌打ちした?!こら!」
「だってティナがいったんじゃないか!王子様と結婚するって!だから王子様になったんだ。それなのに、ひどいよ、、、」
「え、、いや、、なんかごめん。ちなみに王子様飛び越えて王様だよね。」
「ちょっとした違いだよ。責任とって結婚して!」
「なんでよ!そ、それに、私結婚するなら私のことをちゃんと愛してくれて、それでいて、やさしくて、素敵な人と結婚したいわ。」
「僕のこと?」
「違うわ!なんて図々しいの!」
「でも、僕以外無理だと思うよ?」
「なんでよ。私だって別に不細工なわけじゃないんだから結婚くらいできるわよ。」
「無理だって。」
「だから、なんでよ!」
「だって、ティナに言い寄ろうとしたやつには皆鉄槌を下したし。あと、暗部を町にも配置して、ティナには男を一人も近寄れないようにしてあるよ!」
「原因はお前か!」
「だから諦めて僕のお后様になって?僕のお姫様。」
お姫様って呼ばれてきゅんとしてしまう自分が嫌だ。
駄目よ。ティナ。惑わされては駄目。
いくら見た目が子犬みたいに可愛らしくても。
いくら体つきは男らしくて素敵だとしても。
いくら国王になるとしても。
あれ?
優良物件じゃね?
結婚してもよくね?
いやいや、騙されるな。
何かしら裏があるんだ。
「なんで私なのよ。」
「小さい頃からずっと一緒にいるんだよ。可愛いし、優しいし好きにならないわけがないじゃない?」
「いやいやいや。あんた可愛い子たちから言い寄られていたじゃない。」
「ティナを前にしたらゴミムシだよ。」
女の子をゴミムシだなんて言っちゃ駄目。
でもなんか嬉しい自分が嫌。
「そ、、、そんなに私がいいの?」
「ティナじゃなきゃ嫌だ。結婚してくれないなら、国を滅ぼすよ。」
「いきなりの恐ろしいことをぶっこんでこないで!」
「ティナがいいんだ。お願い。お願い!好きだ!愛してる!結婚してくれなきゃ幽閉して君を無理やり愛す!」
「爽やかな顔して怖いこと言わないで!恐ろしい子!」
「お願い。絶対大切にするから。」
くぅーん。となく子犬が見える。クソ可愛いな。
駄目だ。
勝てる気がしない。
しょうがないな。
国を滅ぼされないためだ。
幽閉されないためだ。
「幸せにしなかったらただじゃおかないんだからね!」
「うん!ティナ大好き!」
こうして、私の所には王子様(血塗られたプラス実際はすでに王様)が迎えに来てくれたのだった。
おしまい
読んで下さりありがとうございました!