序章
四月二十一日
晴れ
休日
俺は今、休日を楽しんでいる。
俺の職は警官だから、土日は休みとかではない。
しかも、交番での勤務は朝早くから出勤し、仕事が終わり帰る頃にはとっくにその日は終わっている。
休日を生かし、睡眠など体の体調を整えることも大切な仕事だ。
だから。今、俺は休日を楽しんでいるわけだ。
しかし、休日だからと食っちゃ寝食っちゃ寝出来るわけではない。俺には妻も子供もいる。
妻も外で働いており、共働きの家庭だからどちらかが休日なら基本的にその日の家事は休んだ方が全部する。そんなわけで今日の朝は早かった。
俺は六時ごろに起きる。
まずは、洗濯物だ。前日までの洗濯物を、勢いよく洗濯機の中に入れる。
慣れた手つきで、洗剤をぱっぱっぱと入れ、スイッチオン。
後は、クイックル的なやつで床を拭き、朝食を準備していく。
それが終わる頃には、7時程度になっていた
そして、時間になったので大好きな娘と妻を起こしにいく。
ここで俺の妻の凛音と娘の瑠璃について紹介しておく。
妻の凛音とは大学のころに出会いそのあと、結婚した。
妻は常に落ち着いていて、物静かで清楚なお嬢様って感———失礼書き直そう。
妻は常に無口で基本「、、、」で返事をする。おまけに基本能面みたいに表情を変えない。
じゃあ、なぜ惚れたのかと問われれば好きだったからと返事する他ないだろう。そんなものなのだ。
これは、俺がこの恋に成功したから言える話で、違うかったらこんな粋ったことは言えんだろう。
次に、娘だ。
娘は今年で九歳になり、小学生3年生になった。ランドセルもぴったしになってきた年頃だ。
るりは明るく、笑顔が可愛いく(全部かわいいが特にだ)、一桁ならでは初々しさや神秘さを兼ね備えている。
俺たち三人は同じ部屋・ベッドで寝ている。だから、一気に二人を起こすことが可能だ。
「おーいおきろー」
俺は結構大きな声で二人に向かって言うが
「うぅん」と
寝言に近い感じに娘にあしらわれる。
まぁ、こんなことは当たり前だ。こんなことでは動じない。
娘は春が近く暖かいからか布団を蹴り飛ばしている。さらに、着ている淡い水色のパジャマもへそ上くらいまではだけてしまっている。
「はい可愛い」
俺は少し、かわいいかわいい娘の姿を見つめ脳に焼き付ける。親得だな。
「あっ、こんなことしてる場合じゃないな。おーい起きろー」
そういいながら、俺は娘を起こすため次なる作戦を実行する。
娘の体をガシッと掴み左右に揺らしていく。最初は優しくゆっくりがポイントだ。
「おーーい」
段々と勢いを強めていく。最初は「うぅぅ」とだけなっていた娘も
最後の方には「うわぁあぁ~あ~」と言っていた。
そんな風に娘との最高の時間を過ごしていると、いつも、いつのまにか嫁の凛音は起きている。
凛音は娘と違ってビシッとほぼ気お付けの姿勢でいつも寝ている。しかし、手だけは胸の上にあり、嫁のお気に入りの熊のぬいぐるみを大切そうに抱いている。
そうこうしていると、娘は目が覚めたようでベッドの上にペタンと座り
「おはおぉ~」
とまだ眠いのか目をこすりながら言っている。娘の肩ほどまでの可愛らしい黒髪は寝ぐせであちらこちらに飛んでいる。
「はい、おはよ。テーブルに朝食置いてるからそれたべな」
優しく語りかけると、娘は「うぅん」と言いながらとぼとぼ階段を下りていく。
寝ぐせが歩く度にぴょこぴょこ揺れていた。
「おはよ、母さん」
「、、、」
凛音に話しかけるが寡黙な彼女は返事をしない。しかし、穏やかに笑っていた(多分)ので気分がいいのだろう。長い間一緒にいると少しづつだったが凛音が何を考えているかちょっと、わかるようになっていた。
そんな小さなことが少しうれしく思う。
凛音はすぐにベッドから降りるとさっきまでのぐっすりは何だったのかと思う程キビキビ仕事に行くための準備を始める。彼女の前に数秒の計算ミスや誤差はないのだ。起きる時間も家を出る時間もいつもピッタシだ。
準備をすますと、足早に階段を降り仕事に向かう。なぜか、2年ほど前から家でご飯を食べないようになっていた。おれは、つい考え込んでしまう。そして、ある結論にたどり着く、、、
「もしかして、ふ、ふ、ふり、、、」
と疑うが深く考えると不倫で家でご飯を食べないなんてことにはなる訳ないのでとりあえず安心。
「ホッ。もしものことがあったら、、、いやっ!違う俺は心から凛音を信じている。凛音とるりとのこの幸せは絶対だ!!。」
「おとーさーーん。たべないの?」
なかなか下に降りてこない俺を心配してか、一階にいるるりは俺を呼んでくる
「( ,,`・ω・´)ンンン?食っべる~。」
娘を心配させないためさっきまでの考えを捨て、元気よく返事をして階下にいく。
『いただきま~す』
2人で声をあわせ、朝食を食べ始める。今日の朝ご飯は、白ご飯に味噌汁、納豆に漬物等々だ。
「ん~おいしいーーーーーーーーーーーー」
我ながらよい出来栄えだ。早乙女〇也ばりに元気よく喋る。
娘はまだ少し眠たいのか開ききってない目でゆっくり食べている。
「美味しいか?」
「うん。美味しいよ。おとおさんのご飯が一番おいしい」
気を使ってか笑顔でこっちを向いて言ってくれる。だめだな、娘に気を使わせてしまった。よし、話を変えよう。
「そうだな。今、学校はどんな感じだ?楽しいか?」
「うん。すっごく楽しいよ!最近は隣の席のね、えなちゃんとも仲良くなって。それでねそれでね、今学校ではペルンナ3が流行ってて今すおい人気なんだ‼」
ここぞとばかりにるりはたくさん話し出す。最近るりとこうやって話をしてなかったんだな。るりの話に相槌を打ちながら、思いを巡らす。こういう無邪気さを守らないと。るりが自らの選択で幸せを築いてってほしい。るりが思いの通りに生活できるよう、安全で温かいままのこの家庭を守るんだ。
「、、でねでね!」
まだまだ娘は話したりないようだ。るりの子供特有の高く楽しそうな声が家の中一杯に広がっている。
心地良い一日の始まりだ。
頑張ります