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プロローグ 『早すぎた陥落』
8月8日。千年の歴史を誇る大国が滅びた。
大国の名はオーデルバイン。
百を超える精強な騎士団とそれを統括する十人の軍団長を有し、大国随一の軍事力を背景に永きにわたり大陸に君臨した超国家であった。
「それがなんで一夜で滅んじゃうんですかねぇ」
今は9月半ばであり、オーデルバインが滅びたとされる日より1か月以上経っている。
状況はいまだに錯綜しており、辺境貴族である俺のところにはろくな情報が回ってこない。
大絶賛戦争中である亜人連合が何らかのアクションを起こしたとの見方が強いが、所詮地方の弱小貴族なので信頼性は低いといえる。
どちらにしても、超下級貴族である俺の立身出世は絶望的どうこう依然に仕える王家がなくなったわけで・・
「これって有体に言えば失業じゃね?」
晴れて「亡国の没落貴族」という底辺の極致に着地を決め、とりあえず時間を潰す公園を探すのだった。