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デルタトライナイト  作者: 水原翔
第四章 ブラッド編
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第62話 「回帰」


 解除しろ。

 解除しろ。

 解除しろ。

 カエンにかけられた呪いを解除しろ。

 そう思いながら、健次はトライスキル・コンディションを放った。


「健次ッ」


 小さいカエンが、明らかに自分を認識している。

 たとえ姿や形は異なっていても、健次にはそれがカエンであるという確信があった。


「ったく、なんだここ、俺小さいし」

「原理は分からないけど、僕がコンディションを使ったことで、カエンの精神世界に潜り込むことができたみたい」

「……まじか?すげえな」

「うん、自分でもびっくりしてる」

「で、問題はあいつか」


 カエンは、目の前にいるゾンゾ=ザス・ブラッドを健次と一緒に見る。


「そう。おそらくだけど、カエンの精神をおかしくしているのも、あいつのせいって事だと思う」

「倒したつもりなんだがな、また取り込まれたたかよ畜生。ってか俺はチビのままか?」

「うーん。わかんないけど、ここがカエンの記憶の世界であるなら、姿を戻すのは難しいのかも」

「なるほど。まぁ要は気合いでなんとかしろ。だな。これが”ストロング”取得の条件というならぁ、めんどくせえ試練だな」

「……カエン」

「健次、俺はどうやらブラッドだった、っていうのは本当らしいな」

「うん、そうみたいだね」

「俺は、人を殺してたのか?」

「分からない。ラルフって人が来て、カエンに催眠をかけていたようだったから。その人が、ゾンゾ=ザス・ブラッドだったみたいだけど」

「ラルフの兄貴がか……あーよくわかんねぇ。けど、難しいことは後だ!!」

「うん。まずは目の前のあいつを、倒すだけ」「俺もどうやら、ストロングは手にしてるらしい。ただあいつに操られてるってのが現状ってわけだ。なら」

「倒すだけ、だね」

「ああ。健次、俺のストロングと合わせてみるか」

「そんな小さな体で?」

「小さいも大きいも関係ねえだろ。精神世界ってやつは」

「はは、そうかもね、やってみるか」


 そう、2人で会話をしながら、ゾンゾ=ザス・ブラッドの攻撃をかわしていく。

 イメージの世界。

 精神世界。

 カエンの過去に何があったのかは、この一瞬の見た目だけでは分からない。

 けれどやるべきは一つ。

 もう一度、集中する。

 星影と技を合わせたときのように。

 カエンとも、合うはずだ。

 カエンは一呼吸して、小さい子供の体から声を発した。

 

「トライスキル・ストロング!!」


 途端、カエンを中心に竜巻に近い旋風が、烈火とともにぐるぐると回り始めた。

 精神世界なのか、カエンの炎だからなのか、よくわからないけど、不思議と熱くない。

 けれど、熱い。


 健次は深呼吸して、叫んだ。


「トライスキル・コンディション!!」

「「ダブルスキル!! ストロング・コンディション!!」」


 そう、2人が叫んだ瞬間。

 カエンだけに纏っていた旋風は、健次とカエン2人を包みだし、巨大な炎の拳を作り出す。

 星影の時とは違う。

 昔、友達の犬の散歩を手伝ったことのある健次は、その犬が自分の言うことを聞かずにただ走り出してリードに引っ張られ、犬が思うがまま、連れて行かされたことを一瞬思い出した。

 そんな物と比較をしちゃ行けないけれど、カエンが出す"ストロング"は強烈で、制御が難しくて、まるで暴れ馬のような、力。

 その力を調整するイメージを、強く念じる。

 途端、カエンの記憶なのだろうか、村にいたカエンが、自分の村人が全部ゾンビ化され、その姿を泣きながら倒しているカエンの姿が流れ込んできた。

 その中には、カエンの両親と思わしき人物もいた。

(これは……)

 ゾンゾ=ザス・ブラッド。

 それは、カエンの兄であるラルフ自身だった。 一瞬映った、そして精神世界でも見た、カエンの家族や村の人たちから、なんでブラッド家が現れてしまったのか。

 というか、ブラッド家であるのなら、両親自身もブラッド家ではないのか。

 何故、ラルフとカエンだけが生き残ったのか。 健次は技を合わせた瞬間に流れ込んできた、カエンの記憶を見て感じつつ、技を放った。


 そして、目の前のゾンゾ=ザス・ブラッドは、ダブルスキルが見事に命中し、雄叫び声を上げながら、塵になって消えていった。


 その瞬間、精神世界がどんどん崩れていく。


 ★ ★ ★


 急に景色が切り替わる。星影とカエンが戦っていた場所へ戻る。

 どうやら苦戦していたような星影だが、カエンの動きが止まったことに気づき、距離をとる。


「……ワリィな、健次。ナツキ」

「正気を取り戻したようね」

「よかったよ……つかれたァ…」


 カエンの一言で、星影は深呼吸をして、ゆっくりと床に座り込む。

 健次自身にも、どっぷりと疲労が出てきて、手がじわじわと震え始めている。

 その横を見渡すと、学園長とアン=ハム・ブラッド、ゼレングとゴロウが戦い続けていた。

 戦況は互角。どちらも同様の力を持っているようで、戦いが長引いている。助太刀を

しようにも、もう星影や健次に体力が残っておらず、またカエンも度重なる疲労で、3人とも動けない状況で、ただ眺めているしかできなかった。


 学園長はなぜか上裸になっており、ボディビルのような逆三角形の姿を見せながら戦っている。

 魔法使いと思っていたが、かなり肉体派の戦い方をしているようだ。

 戦いを繰り返していたようで、アン=ハム・ブラッドの攻撃を簡単にかわしながら反撃を繰り返している。

 おそらく、こんな場面は幾度となく繰り返してきたのであろうか、怯むことなく、息も上がらず、真剣なまなざしでアン=ハム・ブラッドと対峙しており、どちらかというとこの戦いのほうが助太刀なんてする隙をお互いに与えないくらいの戦闘だ。風圧すらも感じる。


 その2人の戦いも気になるところだが、次にゴロウと、ゼレングの戦いに健次は目線がいった。


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