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デルタトライナイト  作者: 水原翔
第三章 星影の巫女編
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第37話 「ステラ・ウンブラ」


「見えてきましたね」


 2時間ほど時間が過ぎ、ナハト魔法特区から1,200ボンス離れたザクセン商業地区へ。

 商業地区の空港へ飛空艇を着艦させ、船から下りる4人。

 商業都市だけあり、多数の貨物飛空挺がひっきりなしに飛び交っていた。


「すごい」

「これでも全盛期の半分近くになってしまっているのですが。まずは情報収集。この街の学術図書館へ向かいましょう」


 クローバーは開口一番にそういった。


「図書館?」

「ええ。地図にない場所といっても、あの地図はベルフライム地理院が発行している地図に過ぎません。周辺土地の事情は、その土地固有の記録機関が残している可能性が高いのです。まあ、あまり期待はしないでください。当てがなければひたすら聞き込みですね」

「わかりました」


 しかし、健次はこのひっきりなしにくる飛空挺に、少し疑問が浮かんだ。


「クローバーさん、さっき、飛行禁止区域がどうとかって、いま離着陸している飛空挺には影響はないんですか?」

「もちろんあります。飛行ルートを安全なルートにするようにザクセン空港が指定しているくらいです。ルートの領域は狭く。この量ですから、たまに空中の衝突事故も発生しているそうですよ。この街の社会問題ですね」

「そうなんですか。飛行禁止の理由って?」

「その空域をとんだ飛空挺が、墜落事故を起こして乗員全員がなくなった事件がありまして。必ずといって良いほど発生しますから、調査の上飛行禁止に国がしたんです」

「原因って」

「わかりません。国の機関が調査に向かえど、その調査から帰ってこないという噂も聞くぐらいで、誰も立ち入れないんです。ザクセンはそんな事件が起きる前は、ベルフライムで一番の貿易都市だったのですが。今は全盛期より半分の貿易量になっていますね」

「そうなんですか」


 そう話していると、図書館にたどり着く。

 重い扉を開け、クローバーが入り口の受付と何かを話している。

 受付の顔は、クローバーの話を聞き少し暗い顔をして、奥の部屋に案内された。


「最初に図書館にきて正解だったかもしれません」

「どういうことだ?」


 カエンはたずねる。


「あの受付は、ザクセンの民ではなく、王国から派遣されてきた司書官なのですが、”地図にない場所”については街の人間は禁句扱いしているようで、話を聞いてくれる人物は少ないようです。幸い、資料があるようですから、少し待ってみましょう」

「……」


 いつもこういうとことで何か話したがる気がする星影だが、今日は何だか様子がおかしい。

 というか、フォグル工房の事件から、何かを考えているような、そんな感じに見える。


「星影?」

「え、ええ。何?」

「いや、星影が黙るのって珍しいなって思って」

「腹減ってんだろ。朝食少なめだったし」

「違うわカエン。ちゃんと食べたわよ」

「うっそーだ。今日の量いつもの半分だったし」

「う……」


 奥の部屋に案内されたあと、司書官は兵士に耳打ちをしている様子が、健次は気になった。


「カエン」


 健次はカエンに話しかける。


「ああ、なんかあるな。たぶん……クローバー先輩、ここ、早いとこ出ようぜ」

「同意見です。王国軍司書は身内ではありますが、街の禁忌に触れようとしているわけですから、あまりよくは思わないでしょう。情報を入手したら、帰りましょう」


 しばらくすると、司書がノックして部屋の中に入る。こちらです。と本を渡して、扉を閉めた。


「さて、これがザクセン商業地区の郷土史の資料ですね」


 10冊ほど本があり、4人で手分けして中を探すことにした。

 飛行禁止区域の地図も共有してもらい、その土地に関する何かがないかを見つけることに。

 本を探していくと、多くは街の商業がどうやって発展した、とか。ベルフライム王国とイルリス帝国とで領土権争いをしていただとか。

 地区のトップの歴代の写真とか。いろいろな情報が掲載されていた。

 たぶん、これを1人でちゃんと読み解くならば、1週間以上はかかりそうだ。

 目次をたよりに、それらしきページを探す。が見つからない。


「あ……」

「何か見つけたか? ナツキ」

「カエン。やっぱりだわ。ここで間違いないかも」

「そうか。」


 本に描かれていたのは、謎の文様。

 ステラ・ウンブラ。

 

「ステラ・ウンブラ?」

「嘘……」


 クローバーも驚いていた。どうやら、ステラ・ウンブラという言葉に何か見覚えがあるのだろうか。しかし、そのキーワードが書かれているだけで、ページのほとんどが破られていなくなっていた


「破られていますね」

「ステラ・ウンブラって?」

「……ある、宗教団体よ。もう解散してしまったけど」

「宗教団体?」


 マギアス・ソサエティ以外にもあったのか。


「ステラ・ウンブラの本拠地は、ここにあったんですね」

「どんな団体だったんですか?」

「いろんな街から、女子供を誘拐して、ある特殊な儀式を行っていた団体ですね。今で言うマギアス・ソサエティみたいなものでしょうか」

「5年前に、ベルフライム王国軍によって主犯格の教祖及び教徒は全員逮捕されたけれどね」

「酷い……」

「当時の被害者はプライバシーのため明かされていませんが、ほとんど生存者はいなかったと聞いています。ベルフライムの黒歴史ですね」

「……」


 星影は黙っている。


「少し司書に聞いてみましょう。何か知ってるかもしれません」


 そういってクローバーは扉に手をかけ、あれ?と声を漏らした


「どうしたんですか?」

「鍵、掛けられてますね」

「は?」

「……閉じ込められたようです。迂闊でした」

「嘘だろオイ」

「破壊しましょう」


 クローバーは迷わず右腕をバルカンにして、扉を破壊し始めた。

 この人、想像以上にアグレッシブだ。

 キュィイイイイイイン……と回転音がなり始め、重い扉を木っ端微塵に破壊しはじめた。


「オイオイオイオイオイオイ」


 さすがのカエンも驚いている。

 仮にも公共の施設だろうし


「緊急事態です。戦闘準備を」


 その音に反応したのか、周囲の兵士が駆け寄ってくる。


「え、相手は王国軍兵士なんじゃ」

「なにかおかしいです」

「おかしいのはあんただよ!?」


 カエンがつっこむ。

 確かに閉じ込められたのは事実だが、急に戦闘モードになって切り替えがすごいというか、なんというか。

 けれどクローバーの読みどおり、兵士達は何も言わずに襲い始めた。


 カエンと星影、健次も武器を出し、戦闘を開始した。

 兵士たちの目がおかしい。まるで何かに操られているような。

 無言のまま、兵士たちは真正面から武器を出して襲いかかってきた。

 それを待ち構えていたのか、カエンと星影は攻撃を繰り出す。


「火炎斬ッ!!」

月の重力ルナ・グラビティ!」


 兵士たちにクリーンヒット。自分も負けていられないと、健次は自分のゲートを出し、攻撃する。

 ……今回は、炎だ。


「エレメントチェンジ! フレイム!」


 健次のゲートが赤く光る。


「ファイア!」


 炎魔法を繰り出し、兵士に向けて打つ。

 なんとか攻撃は当たるが、カエンや星影にフォローしてもらう。

 やっぱり、まだまだ自分は強くはない。

 ちゃんと、強くならないとな。


「やっぱだめか」

「いや、お前は強くなってるよ」

「ええ。魔法の威力が上がっているわ。少しだけどね」

「カエン、星影……」

「行きましょう。まずは図書館からの脱出が先です」


 クローバーの言葉に3人は頷き、廊下を突き進み始めた。

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