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デルタトライナイト  作者: 水原翔
第三章 星影の巫女編
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第35話 「地図から消えた場所」

「……さて、ワシの話はこれぐらいじゃな。他に聞きたいことはないかの?」


 エド・マクワドル学園長から、これまでの事件の顛末を聞いた。

 だが健次は、本当に知りたいことを聞けていない。

 篠山皐月の行方。

 今の話を聞いて、余計にわからなくなった。

 ブラッド家がいろいろな事件を巻き起こしていたのではなく、その背後にマギアス・ソサエティがいるのであれば。

 皐月を誘拐したブラッド家は、何の目的で誘拐したのだろうか。

 このスカイベル学園なら、その手がかりがつかめる。

 健次は、この機会しかないと思い、尋ねた。


「あの、学園長、実は僕、人探しをしていて」

「ほう」


 健次は自分がエデン・ゲートから入ったこと、その直後の記憶がなくなっていること、そして、一緒に入った幼馴染の篠山皐月が行方不明になったこと。

 第1試験を突破した後、女神エデンから伝えられた、ブラッド家に誘拐されたこと。

 そのすべてを話した。


「……ふむ」

「なんか、今の話を聞いていると、皐月が誘拐された理由がわからなくなって。ふに落ちないんです」

「確かにそうじゃな。しかもエデンがある特定の人物の行方についてそこまで断定的に話すのはわけがありそうじゃな」

「……どういうことです?」

「エデンは、あくまでも門番じゃ。役割はあくまでもエデン・ゲートに出入りするものたちの監視。ふだんはあまり目に留めないが、そこまでおぬしに話したとなると、健次。おぬしが忘れている、ラボンスに着たばかりに、何か手がかりになるようなことがあった可能性が高いのう……」

「やっぱり」


 少し気になっていたんだ。

 自分がこの世界に来たばかりの記憶がなくて。

 いきなりベッドの上で目覚めて、星影と会って。


「皐月は、本当に誘拐されたんでしょうか」

「正直、情報量が少なすぎるのう。そうじゃな。場所を変えよう。クロウズ、あの部屋の準備を」

「承知いたしました」


 エドは、学園長室から離れ、学園のとある部屋に案内された。

 一行は、床に大きな魔方陣が描かれた、薄暗い部屋へ。


「ここは」

「魔術室じゃな。大掛かりな魔法を使うための。使うにはワシの許可が必要じゃが、おぬしらはテロ事件を解決してくれたんじゃ。これくらいのことはしないとな」

「何をするんですか?」

「その篠山皐月という少女の位置を特定する魔法を使う。いつまでもわからないままじゃもどかしかろう?」

「そんなことができるんですか?」

「可能じゃ。ゲート魔法の応用でな。魔方陣中央にある、水晶型の魔法ゲートに触れてみるのじゃ。そして、お主が探す、篠山皐月とやらの人物を思い浮かべるのじゃ」

「はい」


 健次は、学園長の言うとおり、魔方陣中央に設置された魔法ゲートに手を触れ、皐月の顔を思い浮かべる。

 学園長は何かを唱え始める。

 その瞬間、魔方陣と水晶が青く光り始め、ラボンス全土の地図が浮かび上がる。

 しばらくすると、2つの点が光り始めた。


 一つ目は、ベルフライム王国の―――ナハト魔法特区。

 二つ目は、ベルフライム王国辺境―――イルリス帝国国境に近い、名前のない地区。


「どういうことだよ、これ」


 カエンが呟く。


「ふむ。1人の人物を探して、2つの点が浮かび上がる。奇妙じゃな。この魔法は普通、1つの点で特定の人物を表示させる魔法のはずなのじゃが」


 ナハト魔法特区。ひょっとして星影と似ているから、星影を特定させたとか、そういう感じなのだろうか。


「あの、学園長、これって思い浮かべた人物を探す魔法なんですよね。例えば似ている人物とか、そういうので2人現れたり、とか」

「断定はできないが、可能性は高いのう。ワシもまさか2人現れるとは想定外じゃ。」

「星影、あのさ」

「え、ええ? 何急に」

「僕の探している、篠山皐月なんだけどさ、君にすごく似ているんだ。」

「……そうなの?」

「うん。不思議なくらいに。瓜二つ。違うのは性格ぐらい」

「ギロッ」


 それって私の性格が悪いって事?って聞かれるようににらまれた気がしたが。


「ご、ごめん」

「それで2つ反応したのか?そんな偶然ってあるもんだな。その皐月ってこととナツキ、2人そろってるところ見てみてえぜ」

「ふむ……」


 学園長は、何かを考えていた。


「健次よ。この学園で特定できるのはこれが限界じゃ。2つ現れた理由は調査してみるが、ナハトに現れたのは、現状星影ナツキが瓜二つだから、近似値として見つけたという可能性にしたいと思う。」

「はい」

「入学式まで1週間ほど猶予がある、この網一つの点、調べてみてはどうじゃろうか」


 クロウズが持ってきた王国の地図を広げ、学園長は指差した。


「……ここは、学園長」

「雲行きが怪しくなってきたのう」

「何かわかったんですか?」

「この場所は、”地図から消えた場所”じゃよ」


 






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