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凄まじい速さで騎兵達が此方に向かっているのがわかる。
このままだと直撃し、完全に負ける。
俺らをあの速さでふみ倒していきその速さを保ったまま後方の弓軍に突撃する気だろう。
で、弓軍を潰した後に砦からでた奴らと挟み打ちにする。
この戦はこっちの負けだ、間違いなく。
後ろへ逃げても間違いなく無駄だろう、人の足では馬には勝てない。
かといって前に行っても死期を早めるだけだ。
(後は運を信じるしかないな)
敵と味方の死体の間に体を紛れ込ませる、最悪の状況だが仕方がない。
(文句は言ってられないしな)
死体の壁があるとはいえ馬に踏み潰される可能性もあるし、残党狩りがあってもおかしくない。
(俺に運があるかないかだな)
そう考え、やがてくる馬の足音を前に目を瞑る。
凄まじい衝撃音が耳を通して近づいてくるのがわかる。
平静のまま、自分は死体だと思い込む。
(頼むぞ、俺。運を使い果たしてないことを祈るぞ)
蹄の音で地面が揺れている気がしてならない、そして近くで悲鳴があった瞬間、意識が飛んだ。