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しばらく探していると。
「おーい!ここだ!こ、こ‼︎」
長い机の隅で机に立ち上がり手を振る男が見える、勿論ラングだ。
ちょっとした人混みの中を朝食をこぼさないようにかき分けラングの場所にたどり着く。
「おせーよ、腹が空きすぎて背中と腹がくっつきそうだ」
「うるせーな、ほらよ」
ラングの前にプレートを置き、自分の分のパンを一個
そこに置く。
そうして席につく。
「前の豆のオンパレードよりは大分旨そうだな」
一時期の食事は朝も夕も豆類しか出なく、それがきっかけで危うく暴動騒ぎになったことがあった。
その時に率先していたのが目の前のこの男、ラングである。
「そういうのはいいから、さっさと話してくれ。六騎将とやらを」
「悪い悪い」
ラングの言葉に耳を傾けながら麦のお粥を口に運ぶ。
「六騎将ってのは今、俺らを雇っているハザナルと戦ってるジンガリアの将軍達のことだ」
「将軍が六人いるから六騎将か……そのまんまだな」
「まぁな、そこについては俺もそう思う。只よ、その将軍連中がもの凄く強いらしい」
「強いって?戦術とかがか?」
貰ったレーズンパンを口にいれ、飲み込みながら一呼吸置く。
「旨えな。いや、戦術もそうだが本人達も一級品の強さらしい」
「信じられんな、そういう話で鼓舞してるんじゃないのか?士気を」
「いやな、その六騎将の連中は将軍自ら前線に出るらしいんだよ」
「わざわざ、将軍自ら前線に出んのか、だとしたらここの将軍にも聞かせてやりたい話だな、それ」
「信じてねーかも知れないが、マジな話らしいんだよ。俺も伝から聞いた話だけどな」
肉の欠片を口に含め唾液で柔らかくしながら噛む。
「お前は信じてんのかよ?その話」
「信じてる訳ねーだろ」
笑いながら言ってコップに入った水に口をつける。
「連合国っても将軍ってことはあれだろ偉い連中だろ、そんなのがわざわざ前線に出ることなんてありえないだろ」
「お前も信じてない話でパン持ってくなよ、おい」
「いや、この二つ目で見たら俺も信じるからな。それにあながち噂じゃないかも知れないらしいな。ここ最近のジンガリアの連勝っぷりを見ていると」
「……確かに」
初めはすぐに連合国の負けであろうと近隣の諸国も情勢も思っていた。
だが、ジンガリアは小さいながらも連勝を積み重ね行き半年で終わると言われていたこの戦争は一年が経過している。
また、そのせいで他の国々も協力していき今ではハザナルを脅かす存在になりかけているのも事実だ。
「ってことは、その噂も実は事実ってのもあるかもしれないってことだ」
そう言ってコップに入った残りの水を飲み干した。