3
二度目の起床は頭が少し痛んだ。
二人の少年兵に酒のボトルをやった後、寝れなくなって寝酒にと度の高い酒を一本飲み干したのが失敗だったらしい。
といっても仕事に支障をきたす程でもないから痛む頭は気にしないでおく。
欠伸をしながらテントから出ると同業者が自分と同じようにテントから続々と現れる。
それを横目で見つつ、顔を洗いに水洗い場に向かう。
たっぶりと水の入った樽から自分の使う分をすくい顔を洗う。
ひんやりと冷たくて気持ちがよく、頭の痛みも若干和らぐ。
近くに備え付けられた質の悪い布で顔についた水分を拭う。
(飯だな)
桶を水洗いばの近くに立てかけて、食堂に歩みを進めようとすると声をかけてくるものがいた。
「よう、ヴェロ。今から飯か?だったら一緒に行こうぜ」
声の方向にはがっしりとした体つきのまさに歴戦の傭兵といった感じの男がいる。
髪は生えていなく代わりに頭皮の半分を覆う火傷の後が痛ましい。
そんな男に驚きもせずに言葉を返す。
「ああ、今日の飯は豆以外で美味い飯だといいな」
「まったくだな当分の間は豆類は見たくもない」
そう言って豪快に笑う。
自然と同じ歩幅になり、喋りながら歩く。
「今日の戦はやべえのが出てくるかもしれないらしいな」
「何かあったのか?」
「六騎将が出てくるかもしれないらしいって話を聞いた」
六騎将という単語を頭の中で探すが記憶にない。
「悪いが知らん、六騎将って何だ?」
その言葉に大げさに驚く。
「おいおい、まじかよ⁈知らねえのか‼︎」
「知らないから勿体ぶらずにさっさと話してくれ」
「しゃーねぇな、飯食いながら教えてやるよ。お代は今日のパン一個でいいぞ」
「っち、一個だな。下らない話なら返せよラング」
その言葉にしてやったという顔で笑う。
「先に場所とっといてやるから、二人分の配膳受け取ってこいよ」
そう言って他のに比べて遥かに大きいテントに向かって走り出す。
置いてかれる形でテントの中に入り、二人分の朝食を受け取る。
今日の朝食は、麦をミルクで煮込んだのお粥に塩漬けにし乾燥させた肉の欠片が三つ、それにレーズンが入ったパンが二つ。
(まぁまぁ、旨そうだな)
器用に二人分の朝食が乗ったプレートを持ち、ラングの姿を探す。