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御島いるの短いや~つ

薬指

作者: 御島 いる

 最近僕は両手の薬指に違和感を覚えている。

 この二つの薬指は本当に自分のものなのだろうか?

 何かしらで手を使うとき、無意識に薬指に目がいってしまうのだ。箸を持つとき、電話を掛けるとき、コンビニでお金を払うとき……挙げればきりがない。

 さらにはこの薬指たち、中指を曲げ、手のひらを下にして机に置くとどんなに力を入れても持ち上がらない。もちろん、他の指は持ち上がるのだ。だからこそ、この薬指たちは僕の一部ではないのだと思う。僕の意思に逆らって机にへばりつくなど、他の生物といっても過言ではないだろう。

 こいつはあれだ、寄生生物の類だ。

 中指を曲げて机に手を置くこともそうだが、他の場面でも、この中指たちはなかなか動かしづらい。薬指だけ動かそうとするとまるで抵抗するかのように言うことを聞かない。


 ふとしたとき、友人にこの話をしたが、彼もわかるわかると納得した。

 つまり、これは僕だけの問題ではないのだ。さらに言えば、僕と友人だけの問題でもないのだ。その理由としては、友人の彼が僕から話を聞いた後、ソーシャルネットサービスを利用して薬指の件を拡散したのだが、みんな同じような反応を示した。

 そして数日も経たないうちに著名人も賛同し、日本中で薬指の違和感が話題になった。

 全人類が手の一部が何者かに寄生されている。

 僕一人の話しから随分と大きくなってしまった。僕の手には負えない。


 ついには海外の著名人の一人が両手の薬指を切断する手術を受けたとニュースになった。

 それからがまた早かった。

 その著名人の人気の高さからか、まずは若者たちが薬指切断を真似し始めた。そして、全年代へと伝染していってしまった。

 なぜだ。医者は何をし



 そこで日記のページは破れてしまっていた。

 現代の技術をもってしてもそれを再生することは不可能だったが、この日記のおかげで大洪水の起きた2000年代後半の人類の化石の多くが手の薬指を欠損している状態で見つかる理由が明らかになった。


 西暦5791年1月13日 周防すおう・ジェイフィールド・スラッシュがここに記す。

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