第5章 カジノ(クレス編)
クレスは記憶にある範囲で、姉、「フォルテ」の性格の事を考えていた。
クレス(おねえちゃん、綺麗な男の人、好きそうだったからなあ)
そう思いながら、そのようなカジノを探していた。
そして、ふと、立ち止まった所のカジノの看板にはこう書かれてあった。
・・・の女性向けカジノ「アートン&シムスン」男性ディーラーが至れり尽くせり!
クレス「看板なのに、最初の方が汚れていてよく読めない・・・。でも女性向けって書いてあるし、至れり尽くせりって・・・、こ、ここなら見つかりそうね」
クレスはつかつかと中へ入っていった、しかし、
左の卓の男性ディーラー「あら、かわいいお客さんね。これから余興が始まるわよ!」
右の卓の男性ディーラー「ここへ来るって事は・・へ~、今の娘って進んでいるのね。たっぷり楽しんで行ってね」
クレスは唖然とした。両ディーラーとも、なぜかパンツいっちょで、筋肉ムキムキのどでかい男達だった。しかもおねえ言葉・・・。
クレス「も、もしかしてここは・・・・・」
さすがに危険を感じたのか、クレスは駆け足で外に飛び出して、看板をよく見直した。
「マッチョ大好きの男性、もしくはそう言う趣味の女性向けカジノ・・・・」
クレス「い、い、いやーーーーーーーーー!」
クレスは猛ダッシュで逃げていった。その後ろでさっきのディーラー達が、なにやら話していた。
アートン「なによ! 失礼ね! あの娘!」
シムスン「まあまあ、ここは“女性向け”って付け足して書いてあっても、お客さんは私たちと同じ感じなんだし」
アートン「そうねえ、お客さんを増やすために、看板にはああいう風に付け足して書いたけど、そろそろ潮時ねえ」
シムスン「そうねえ」
心底、異常なカジノであった。クレスが逃げ出すのも無理もない話だ。彼女は混乱とショックで多少涙ぐんでいた。泣きながら逃げている間、こう思っていた。
クレス(なんなのよ、ここ! もう、いい! ジンが入っていったカジノにしよう! 確か女性ディーラだけのカジノだったわね。おねえちゃん探しは後にする!)
結局、クレスはジンと合流することにした。