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大勇者

 俺の能力値がAGI以外が平民程度だと言う衝撃の事実が発覚した瞬間、勝士の笑い声が響いた。



「ククッ、ギャハハハハハハハ!」



 いったいどうしたんだ? 気でもふれたのか?



「最強だった勇者が150だとかいってたよなぁ? ククッ俺の能力値、見てみるか?」



 と言うと、ドヤ顔でサバスさんにステータスボードを手渡す。



 よし、試しに分析の瞳とやらを使ってみるか。



 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 Name:坂崎勝士


 Level:1


 Job:勇者・戦士


 MP 160

 STR 160

 INT 160

 VIT 160

 AGI 160


 技能(スキル)

 ・鑑定・アイテムボックス・言語変換・槌術・腕力強化


 魔法




 固有技能(ユニークスキル)

 ・限界突破・魔力増大・身体能力大幅上昇・魔力感知・竜化-左腕


 称号

 怒る者


  状態異常:洗脳 (小)

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 技能

 槌術

 槌の扱いが得意となり、槌の装備時にSTR上昇。


 腕力強化

 腕の力が強くなる



 固有技能

 限界突破

 五分間だけ能力値を二倍


 魔力増大

 魔力総量の上昇


 身体能力大幅上昇

 MPを除く能力値が1.5倍


 魔力感知

 魔力の気配を探ることが出来る。修練によって範囲拡大


 竜化

 体の一部が竜に変化する。極めれば竜自体になることも可能



 称号

 怒る者

 怒れば怒るほど、STRが大幅上昇


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー


 分析の瞳は優秀だな。知りたいと思えばどんなスキルを持っているか分かる。


 つーかこんなのに殴られでもしたら、俺死ぬんじゃねーかな。虐められるのを全力で回避しよう。視界にさえ入らなければ逃げられるだろ。



「なっ!?全能力値が160……」



 皆の顔が引き攣る。勝士が最強になれば好き放題しだすだろうしね。当たり前か。



 ステータスボードに載ってていない情報が載ってるってことは、ステータスボードよりも俺の『分析の瞳』の方が優秀らしい。



 て言うか、状態異常:洗脳 (小)ってことはもしかして俺達は魔法か何かをかけられているってことか?



 やっと謎が解けた気分だ。なんだか変だとは思ってたんだよな。ヤンキーの勝士達がいやに協力的だったし。



 さっきまで「家に返して!!」とか涙ながら言ってたヒステリック馬鹿女共も今は使命感に燃えているみたいだしなぁ。



 おそらくだが、俺がこれだけ冷静で居られる理由は『自己治癒』の元に戻そうとする力が働いているからだろう。



 などど、この状況を分析していると、



「ちょっと待ってくれ、僕は175なんだが」



『はあ!?』



 天上院が爆弾発言した。



 皆がポカーンとした顔をして、驚いている。かく言う俺もポカーンとしているけど。



 仕方ないだろう。勝士が意気揚々と名乗りを上げたのにも関わらず、それより強い能力値を持った奴がいるなんて普通は思わないだろうし。



 何は兎も角、勝士が最強という最悪の展開は回避できた。



 皆が天上院のステータスに驚き、見せて見せてと囲んでいる。



 俺はその光景を後目に、天上院のステータスを遠まきから『分析の瞳』で視る。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー



 Name:天上院光輝


 Level:1


 Job:大勇者


 MP 175

 STR 175

 INT 175

 VIT 175

 AGI 175


 技能(スキル)

 ・鑑定・アイテムボックス・言語変換・見切り・剣術


 魔法


 固有技能(ユニークスキル)

 ・聖剣適正・限界突破・無詠唱・必要経験値減少・魔力感知・魔力消費半減・魔力大幅上昇・身体能力大幅上昇



 称号

 ・先導者


 美徳

 勇気(カマエル)

 ・聖翼展開 -火翼解放・不屈


  状態異常:混乱 (小)

 ーーーーーーーーーーーーーーーー


 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 技能

 見切り

 攻撃が来るか勘で解る



 固有技能

 聖剣適正

 聖剣が扱えるようになる


 限界突破

 五分間だけ能力値を二倍


 無詠唱

 魔法の発動時詠唱が不要となる


 必要経験値減少

 レベル上昇時に必要な経験値を減らす


 魔力感知

 魔力の気配を探ることが出来る。修練によって範囲拡大


 魔力消費半減

 魔力の消費が半分になる


 魔力大幅上昇

 MPが大幅上昇


 身体能力大幅上昇

 MPを除く能力値が1.5倍



 称号

 先導者

 パーティーのリーダーの時、能力値に大幅補正



 美徳

 聖翼展開

 十二枚の翼を背から生やす。飛行も可能。展開時間は修練によって延びる


 火翼

 聖属性の火を扱えるようになる


 不屈

 死属性の魔法が効かない



 ーーーーーーーーーーーーーーーー






 つ、TEEEEEEEEEEーー!! チートやチート!なんだこのステータス!?



 俺とは大違いだ。スキルもつえーし。しかも大勇者って事は俺たちよりも完全に格上だろう。勝士の見た時も驚いたけどこいつは強すぎる。レベル1でこれって、レベルが上がればどうなることやら……。



 てか、大勇者なんて居るんなら俺達いらねーじゃん。



 魔王なんて怖そうな奴は天上院の大勇者(チート)に任せて、治癒師の俺はこの異世界を堪能しよう。うん、それがいい。



 世界を救うなんて柄じゃないし。俺スッゲー弱いし。



 幸い俺は治癒師な訳だから、後方支援で他の人達のサポートに回ればなんとか冒険者としてもやっていけんだろ。



 しかも、そうやって渡り鳥みたいにパーティーを転々としていば、色んな物が見れると思う。気分は小旅行だ。



 そう決まれば、なんとかここで戦えるだけの力を身につけなきゃならないな。どうしようか?



「こ、これは……大勇者ですと!?」



 うーむ……。俺は無駄な努力は嫌いだ。だから先ずは知識から得るとしようか。何が(とく)で何が損か分かってから行動した方が良さそうだ。この世界のことをなにも知らないからな。図書室に籠ろう。



 と、今からの身の振り方を考えている間に天上院のステータスを皆が見終わったらしい。



 サバスさんが何やら大きな声で驚いていたみたいだけど、まぁ正直どうでもいい。どうせ、大勇者に驚いてたんだろうけど。



「取り乱してしまいまして申し訳ございません。なにぶん、大勇者様がこの中にいらっしゃるとは思いませんでした……。あっ、皆様ステータスボードは返却せずとも大丈夫ですので」



 サバスさんにステータスボードを返そうとすると、それを制してきた。



 随分と太っ腹だな。まあ、俺には『分析の瞳』が在るから必要無いけどね。



 これ売れるかな?



「本当に大勇者なのか?サバス」



「え、ええ…。寓話やおとぎ話の類かとおもっていましたが、ステータスボードに虚偽は出来ません。本当なのでしょう。彼は、『勇気』の美徳を持つ大勇者様です」



 王様をコホンと咳払いをして、話し始める。



「では、大勇者、勇者達よ。我が国を魔王の恐怖から救ってくれるか?」



「ええッもちろん!僕たちは必ずこの国を救って見せましょう!」



『おおっ!』



 俺以外の全員で一斉に叫ぶもんだから耳がキーンとする。お前等仲良しか……。



 洗脳なんかされて、本当に馬鹿な奴等だ。などとクラスメイトを馬鹿にしている時に、視界の端で俺と同じように煩そうにしている女子を見つけた。



 もしかして彼女も洗脳されていないのかな?



 分析の瞳を使って相手を視る。



 ーーーーーーーーーーーーーーーー



 Name:七峰静(ななみねしず)


 Level:1


 Job:勇者・剣士


 MP 145

 STR 145

 INT 145

 VIT 145

 AGI 145


 技能(スキル)

 ・鑑定・アイテムボックス・言語変換・先読み・間合い


 魔法


 固有技能(ユニークスキル)

 ・身体能力大幅上昇・七峰流抜刀術・瞬動・状態異常完全無効



 称号

 ・剣の道を征く者・指導者


 

 ーーーーーーーーーーーーーーーー



 あぁ、彼女は剣道部部長だったな。さっき質問してた人だ。



 俺は効果を知るために『状態異常完全無効』をよく見てみる。



 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 ユニークスキル


 ・状態異常完全無効

 状態異常の項目が消える。


 ーーーーーーーーーーーーーーーー



 できると思ったからやってみたけど、情報の取捨選択も出来るのか。



 しっかし、状態異常の項目が消えるってすげーな。毒が効かないんじゃなくて、状態異常って言う概念を消し去るんだからね。



 他にも居るかもしれないと、『分析の瞳』を発動して、状態異常の項目だけ見ていたけど、洗脳されていないのは七峰さんしか居なかった。



 うーん後から声かけてみるか? いや、辞めとこう。七峰さんに声かけるってことは必然的に天上院と関わらないといけない事になるだろうし。



 ハーレムの一員だからな。



 面倒ごとには、極力関わりたくない。あっちから声かけて来たら話は別だけど。



「皆の者!この大勇者様達に惜しみの無い賞賛をッ!」



 周りを囲んでいた貴族と思われる人達がパチパチと拍手をする。それ程大人数では無いからちょっと寂しい感じが拭えない。



 それでも俺と七峰さん以外は、気持ち良さそうにその拍手に「ありがとう」とでも言うかのごとく手を振っている。



 あいつらの頭の中では大きな拍手に聞こえているのだろう。めちゃくちゃ滑稽に見えて、笑いをこらえるのにかなり苦労した。



 そしてその拍手で王への謁見が終わりとなり、終了後は男子はメイド、女子は執事に個々の部屋へと案内されふかふかの天蓋付きベットで眠った。


 俺も、特に意識はしていなかったが、やはり疲れは溜まっていたのだろう。


 ベットに入るとすぐ、泥のように眠ってしまった。


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