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謁見

ストック切れるまで一日おきに投稿します。切れたら隔週になります。

 王城はかなり複雑な作りになっているみたいで、結構長い間歩いている。



 カクカク()がって階段を幾つか登ると、一際大きく豪華絢爛な扉が現れた。扉の両脇には屈強な戦士が斧を持って待機していて、そのせいもあってか成金趣味な扉が荘厳な雰囲気を醸し出している。



 誰もが始めて見るようなドアに緊張しているのか、着いたにも関わらず会話は一つもなかった。



 ただ、例外として勝士と天上院は物怖じしていないように見受けられる。やっぱり金持ちって生き物は違うな。よく目が肥えていらっしゃる。



「この扉の奥に王がおいでになっています。言う必要は無いでしょうが、無礼を働かないで下さい。王が楽にしろと言うまで、頭を上げないで下さい」



「チッ、なんで俺たちが頭下げなきゃなんねぇんだよ……」



 不本意だが俺もその言葉には同意を禁じ得ない。周りを見渡しても、頭がお花畑な天上院以外、同じことを思っているような顔だ。



 まあ、そんなことを言っていてもしょうがないと思ったのだろう。天上院と勝士が並んで歩き出した。俺たちも遅れないように、その後にぞろぞろと並んで歩く。



 靴音を鳴らしながら階段を登り、登りきるとファンファーレが吹かれ厳かに扉が開かれる。



 ゴゴゴゴゴゴゴ



「うわっ、眩しッ」



 誰かがそんな声を上げた。確かに、豪奢な扉の向こう側には嫌になりそうな程の金で覆われていた。



 右を見ても金、左を見ても金、天井まで金で出来ている。更に金で出来ているせいか、熱気がすごい。



(うわ〜、ザ・金持ちって感じだなぁ)



 奥へと進んで行くと、扉よりも豪華な椅子に座ったロマンスグレーの髪の毛の中年男性が俺たちを見下していた。



 キョロキョロ辺りを物珍しそうに見ていると、周りの奴ら全員がお辞儀している。これはヤバイ。



 すぐさま俺もお辞儀する。

 


 痛いくらいの沈黙の時間が流れた後、ゆっくりと王様は口を開いた。



「楽にしろ」



「はい」



 天上院が声を上げ、一歩前に出る。



「お主達二十八人が勇者で間違いないな?」



「そのことなのですが、勇者とはなんですか?」



「勇者とは強大な力を持ち、世界を救う者のことを指すのだ。其方達を呼んだのは他でもない。「魔王」を倒してきて欲しい為だ」



「魔王?」



「其方達の対となる存在。其方達が世界に希望を齎すとすれば、魔王は世界に災いを齎すのだ。現に今も我が国の民は魔王の陰に怯えて暮らしておる……。本当に心苦しいことだ。勇者よ、どうか民を救ってはくれないだろうか?」



「分かりました。俺達にこの国を救う力があるのならッ、救って見せましょう! なぁ、皆!!」



 はぁ?何言ってんだこいつ? 馬鹿なんじゃねーの?こんな頭の可笑しな奴の言うこと誰も聞かねーだろ。独り善がりも大概にしとけよ、このすっことこどっこいが!



 しかし、帰ってきた答えは俺の考えとは真逆の言葉だった。



「おおーー!!俺たちも頑張ろうぜ」「私、じつはこんな状況に憧れてたのよねっ」「俺達の力が必要なのか……まぁ、やってやらんこともないな」「うおー!天上院!お前についてくよ!」「さすが先輩、ご英断です」



「ひぇ…?」



 何言ってんだこいつら? 馬鹿なの?へんな声が出ちまったじゃないか。



 更に可笑しいことに勝士達までこの話に乗り気だって事だ。



「ま、悪くはねえかな……」



なんてほざいている。お前、そんなキャラだったか?



 こいつら全員この非日常的な状況に酔ってるのかな。



「おおっ!それはありがたい。では早速、勇者達のステータスを測ってくれ!サバス!!」



「はっ!分かりました」



 つーか、あの老執事はサバスって言うみたいだな。……セバスじゃないんだ。



 そのサバスさんが俺たちのステータスボードを持ったメイドと思しき人と共に来て、説明をしてくれる。



「皆様、今からステータスボードを配布致しますので上部にある窪みに親指を押し付けください。それで登録完了します」



 サバスさんの隣で待機していたメイドに配られたステータスボードとやらは、薄い緑色をしていて確かに上の方に窪みがある。



 俺は半信半疑で親指を押し付けた。



 《持ち主の登録を完了しました》



「うわっ」



 なんか変な声が聴こえてきてびっくりした。俺だけではなく、周りからも同じ様に驚きの声が上がっていた。



 さらに、ステータスボードには文字がびっしり浮き出て、色も薄い青に変わっている。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 Name:枕木 紫陽(まくらぎ しよう)


 Level:1


 Job:勇者・治癒師


 MP40

 STR15

 INT 35

 VIT 20

 AGI 100



 技能(スキル)

 ・鑑定・アイテムボックス・言語変換


 魔法

 未取得


 適性

 ・回復魔法


 固有技能(ユニークスキル)

 ・自己治癒・分析の瞳 ・魔力貯蔵庫


 称号

 ・独り者


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「ステータスに関しては文字に触れていただければ詳細が見られます」



 ふーん、便利な機能がついてるもんだな。早速見て見ることにする。



 スキルは文字どうりだったので割愛。分析の瞳も鑑定と効果がほぼ同じだったので説明は省く。



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


固有技能

 ・自己治癒

 魔力が続く限り、体を通常の状態に戻す。


・魔力貯蔵庫

 体に擬似魔核を作り、魔力を魔核で貯められる。擬似とはいえ魔核があるので、皮膚から空気中の魔力も吸収することが出来る。



 称号

 ・独り者

 仲間だと思っている人が周りに居ない時、能力値が大幅上昇。


 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 神は俺をどうしても一人にしたいのだろうか?



 だいたいおかしいだろ! なんでパーティーを支えるはずの治癒師が『独り者』なんて矛盾した称号持ってるんだよッ!!



 はあ……。まぁ、勝士とか天上院とか面倒臭奴等と関わらない口実ができたから良しとするか。



 そんなことはさて置き、能力値についてサバスさんに聞こう。



 すると、ちょうど良い事に能力値の事について教えてくれるみたいだ。サバスさん、有能だなあ。



「MPは魔力量です。STRは筋力を表します。INTは魔法の威力と少々記憶力が良くなるらしいです。VIT は敏捷性を強化します。AGI は生命力を強化し傷の治りや病気への免疫力が上がります。」



 へぇ、ゲームみたいだ。



「HPは無いんですか?」



 お、流石は剣道部部長。良いこと聞くぜ。



「はぁ、えいちぴーですか? 存じ上げませんが…。どのような物でしょうか?」



「えーと、ヒットポイントとも言いますけど、ゼロになったら死ぬ値のことです」



「聞いたことがありませんなぁ」



「そうですか」



 ま、確かにHPって数値で表しにくいよなあ。



 ゼロにならなきゃ死なないってことだから、HPが高ければ首だけにされたって生きてるってことだからな。



「平均値はどの程度何でしょうか?」



 思い切って俺も質問してみた。勝士達も聞きたかったのか、特に睨まれることもなかった。



「レベル1ですと、平民は全ての能力値の平均が20程度ですね。冒険者を目指す者で40〜60、100年に一度の天才ともなると、80〜100ですかね。過去の最強の勇者様は初めから150もあったと言う記録も残っています」



「…………………」



 あれ?俺って平民レベル?



編集:ジョブに勇者を追加

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