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ゴールデンハンマークラッシュ

色んな武器が置いてあるそれなりに広い部室の中で、数人の人相の悪そうな連中、んで縛られた性悪女。こっちを睨むピアスつけた銀髪野郎……そんで、偉そうにふんぞり返って座ってるネックレス着けまくりの金髪男が俺をお出迎えしてくれていた。


ははぁ、わざわざ俺を待っていてくれた訳かよ。優しい連中だことで、そんで挨拶までしてくれるなんて礼儀がいいねぇ。


そんじゃ、こっちも挨拶を返さなきゃなぁ。そう思い俺は俺なりに、にこやかな顔をして言った。


「ハロ~、クソ野郎」


すると金髪は苛立った顔をするが、すぐに笑い顔になり、俺を見て言う。


「随分とまぁ、余裕そうじゃねぇか狂犬くんよぉ。お前、この人数見てなんとも思わないわけ? てめぇみたいな噛み付くしか出来ない野良犬野郎は、これは絶対勝てないとかそういう知能もないわけか? 笑っちまうねぇ、ぎっひゃっひゃっひゃっ!」


「はっ、この程度の人数で勝てると思ってるてめぇの頭の方がお笑いだと思うけどなぁ、俺は」


すると、金髪男は眉間にシワを寄せて俺を睨み、話す。


「……おい、知ってんだぜ俺はよぉ。お前が戦い挑みまくって負けまくってる雑魚野郎ってのはよ、何で敗者のテメェがこの俺に偉そうに喋ってんだ? 力のねぇ奴は俺のような強い奴に従い、ゴミのように生きてるのが当たり前だってわかんだろう? 雑魚が偉そうな口を利くなよ」


「テメェ自身が俺と闘ってねぇくせに何を偉そうに語ってんだ? それに、俺は決め付けられんのが嫌いでな……特に、テメェみたいな偉そうな奴には尚更なぁ……!」


「……ふん、お前は社会のルールを知らない馬鹿みたいだな……偉い奴には屈服し、尻尾を振って奉仕する。逆らうことは死に等しいってのを、この田儀ゲミチが教えてやるぜぇ……!」


そう言って、奴は立ち上がって椅子の後ろにから何かを取り出す。それは、棒の部分が妙に長いハンマーだった。なんだったっけな、よく工事現場とかで見る、持つ部分が長いハンマー……確か、スレッジハンマーだったか……? 昔、明日宮のヤツが楽しそうにそんな武器のことを話していた気がする。


それを片手でグルグルと横に振り回して俺を見る。力自慢のつもりか? 俺だってそんぐらい出来らぁ。


そんじゃ、相手もやる気満々みてぇだし、戦闘開始と行きますか……と思ったとき。


「なんで、来たのよ!」


いきなり、縛られてる性悪女はいきなり叫んでそんなことを言った。


「貴方、私が嫌いなんでしょう!? なら、なんでここに来たのよ!」


まるで、信じられないと言わんばかりの顔で性悪女は更に追い立てるように言ってきた。どうにも勘違いしてるみたいだなこいつは。


「勘違いすんな性悪女、テメェなんて本気でどうでもいいと思ったさ、つうか実際どうでもいいしな。それでも、俺がここに来た理由は二つだ……一つは勿論ケンカしに、んでもう一つは……ここを、明け渡してもらおうと思ってなぁ」


俺はまたまた口を吊り上げ、金髪に指を差して言った。そうすると、金髪は人を殺しそうな目つきで静かに言う。


「……おいおい、いくらなんでも生意気がすぎてんじゃねぇのかぁ一年坊……図に乗るのも大概にしとけよ……?」


「まっ、部室に関しちゃ頼みに近いもんだ。こっちは無理なら無理で構わないぜ? けどな、テメェは叩きのめす。それだけは確定だぜ、金髪ハンマー野郎」


俺がそう言った直後、金髪はハンマーで地面を思いっきり叩きつける。はっ、怒ってんなぁ。


「さっきから舐めやがって一年坊ごときがぁ……! おお、いいとも。この俺に勝てば部室でもこの女でも好きに持っていけや……だが、テメェが負けたときはお前は死ぬまで……いや、死んでもサンドバッグになってもらうぜぇ……? 俺の楽しみを邪魔してくれた礼はたっぷりさせてもらう……!」


「そりゃありがてぇ限りだな、負けねぇし」


そんな軽口を吐いた後、俺は足を踏み出し腰を落として構える。


「おい、お前ら手を出すなよ? こいつの頭は俺の手で砕かなきゃ気がすまねぇからなぁ……ぎっひゃっひゃ」


そして、金髪はそう言って他の取り巻きを下げさせる。へぇ、案外一対一をご所望かよ。


「そいつらは下がらせていいのかよ?」


「ぎひゃひゃっ、お前なんぞにあいつらを使うまでもねぇよ……一対一で、正々堂々とお前を潰してやるよ」


などと、不気味に笑う。変な笑い声してんな……まっ、んなことどうだっていいか。


「そんじゃあ……行くぜぇぇっ!」


そして、走り出して金髪に殴りかかろうとした瞬間。



突然、俺の身体に何かが巻きついた。



それが何かを確認する。こいつは……鎖か!?


それを認識できた瞬間。



「死ねや、負け犬」



そんな歓喜しているような声と共に、頭に物凄い衝撃が襲ってきた。



その拍子に、俺は地面に倒れる。例えるなら、いや、例えなくてもわかる。鎖に気を取られた瞬間に俺は、あの金髪のハンマーの一発を脳天にまともに食らった、実にわかりやすい結果だ。


そのハンマーの衝撃音は、まるで鼓膜を貫くかのように大きく聞こえた。つうか、ヤバい、まともに食らったのはまずい、頭がグラッてきてやがる。頭割れたんじゃねぇか、もしかして。


意識が失いかねない一発を食らった俺を見ながら、金髪は笑う。大爆笑する。


「ぎーひゃっひゃっひゃっひゃっ! バァカだろ!? バァカだろてめぇはぁ! なんでお前みてぇなクソ犬野郎をわざわざお相手してやんなきゃならねぇんだ、何のための多人数だと思ってんだ? 団結して戦うために決まってんだろうがよぉぉ!」


アホみてぇに頭に響く声を出して、金髪は腹を抱えて笑っている。……霞んで見えにくいが。


だが、気絶するわけにはいかねぇ。ここで気絶したら負けだ、激堂のときみてぇにあっさりとぶっ倒れてたまるか……。そう自分に言い聞かせていると、性悪女が金髪野郎に何かを訴えていた。


「あ……アンタ、最低よ! 一対一で闘うって言ったくせに……!」


「ぎっひゃっひゃ! おいおい、失敬なことを言うなよ。俺は一人で闘う気だったんだぜ、それはお前も聞いただろう? だが、比土はそれを聞かなかった。こいつは俺に対する麗しき友情だよ、なぁ?」


「ああ、そうだぜ……ふふふ」


「……白々しい……!」


……どうやら、性悪女が今のことについてなんか言ってるらしい。ったく、お前こそ俺が嫌いなんじゃなかったのかよ、嫌いなやつがこうなったらあの金髪みたいに笑い転げるべきだろうが。


「まぁ、落ち着いて見とけよ。俺に逆らうとどうなるか、今からそこのザコ犬を見てわかるといいさ。なぁに、安心しろ……お前も俺に従うことがすばらしいことだってわかるだろうからな、気に病むことなんかねぇよ、ぎっひゃっひゃ……!」


「……アンタなんて、死ねばいいわ……!」


「ふん、残念ながら死ぬのは俺に逆らうバカだけだ。世の中勝つのはなぁ、正義の味方みてぇなヤツじゃなく、俺のようなヤツだけなんだよ! ぎっひゃっひゃっひゃぁ!」


「……そりゃ、ウソだな……」


俺は物凄く楽しそうに笑う金髪に、ニヤリと笑って言う。


「なんせ……今からテメェは負けるから、それはありえねぇんだよ……」


そんなことを言った俺を見て、金髪は口を吊り上げる。


「……ほぉ~、まだ意識あったのか~い? ザコ犬くん」


「まぁな……お前の力が無さすぎて意識飛ばずに済んじまった…………いやぁ、てめぇは拷問の天才だぜ、人の意識が飛ばないレベルで加減して殴れんだからな……」


「まだ生意気な口が利けるか……おい、お前わかってるんだよなぁ……? 名乗りもしてない今、お前は俺に命を握られてるってことをなぁ……」


そう言って、倒れてる俺の顔に足で踏みつけてくる。このクソ野郎……図に乗りやがって……


「もしかして、わかってないから余裕こいてんのか? だったら教えてやるよ、名乗りをしなければ回復はしねぇ。つまりは、俺に屈服しなきゃお前はこのまま俺たちのサンドバッグ

になって死ぬって訳だ。死ぬか、屈服するか、好きなほうを選びなぁ! ぎっひゃっひゃっひゃぁ!」


……確かに、今のこの状態じゃそれしかねぇんだろうな。頭が妙にスーッとしてるせいで、それもわかる。


けどな、ここで諦めんのはやっぱ……俺じゃねぇ……! だから、言わせてもらうぜ金髪野郎……!


「死なねぇし、屈服もしねぇよこのボケ金髪野郎……!」


「……それがテメェの辞世の句でいいわけだ……」


そう言って、奴はハンマーを自分の真上まで持ち上げる。くっそ……ここで……ここで終わってたまるかクソッタレ……!


「安心しな、テメェの死体は気が済んだらどっかに捨てといてやるよ! ぎーひゃっひゃっひゃっひゃぁ!」


今まさに、ハンマーが振り下ろされそうになった



その時、だった。



突然、ドアが勢いよく開く音がした。


「あぁ!? 誰だ!」


金髪は、ドアの方を向いて言う。そして、その人物は返答する。



「こんばんは」



……その声を聞いて、俺は驚く。ムカつくぐらい真っ直ぐで、清清しいその声の正体は、見なくてもわかる。


黒日々サクヤ。間違いなく、そいつだった。

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