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サードコンタクトはどんより

……晴れ晴れした朝、青い空と白い雲が綺麗だが、今の俺は別の意味でブルーだ。


何故ならば、昨日戦った女、黒日々サクヤにあっさりと負けてしまったからだ。


おかげで戦闘力のランクがまた下がってしまい、さらにはアイツの思惑通り颯爽と謎の転校生が現れたという展開になってしまった。


おまけに、『君も初めての相手に相応しい強さだったわ』とか褒めてるのか褒めてないのかわからねぇことを言って来やがった。


にしてもまさか女に負けるとは………それも超能力やら何やらを使われずに負けるとは………これは、情けない。


そんな女に全力を尽くして負けたってのがなおのこと情けない。


そんな昨日の嫌な敗北を考えつつ、溜め息をついて歩いていると…肩を叩かれる。


「…誰だよ」


俺は落ち込みつつも振り向いた、そこには


「やぁ、おはようルーズくん」


そう、そこには、昨日の転校生がいた。


「どわぁぁっ!?」


そいつが笑顔で挨拶をしてきたために、俺は咄嗟に体を大袈裟に動かすような、オーバーリアクションで驚いてしまう。


「び…びっくりさせんなコラァ! 何の用だ!」


「いや、見かけたから挨拶しただけだけよ。ほら、今日から私とルーズくんはクラスメートでしょう?」


…クラスメート? と少し考えるが、そういえばこいつはだから昨日うちの教室に来たんだったな……なおのこと気分が重くなるぜ。


「…ああ、そういやそうだったな………で、なんだそのルーズくんってのは」


「君は昨日負けたからLOSEを片仮名してルーズくんと考えた」


「お前人の傷えぐって楽しいか」


「じゃあ名前を教えてくれない? 名前を知らなきゃルーズくんとしか呼べないからね」


転校生はそんなことを淡々と言ってくる……まぁ、ルーズくんなんて言われるよかは教えとくべきか、面倒くせぇが。


「……今日関レンガだ」


俺は渋々とそう答えた


「今日関くんね、なるほど、じゃあ今日からよろしく今日関くん」

転校生は、真剣な表情で俺を見ながら手を差し出してくるが、俺はその手を無視して背を向けて言う。


「勘違いすんなよ転校生、俺はテメェと馴れ合う気はねぇ」


「…それは困るわ」


俺の言った言葉に対し、転校生は深刻そうに言った。


「……なんだと?」


「その理由を教えよう、それは……」


俺は息を呑んで、やつの回答を待つ。なんだ、一体こいつにはなんか事情が…?


そして、こいつは高らかに言った。


「…友達が、いないからだ!」


その言葉を聞いた直後に俺はそのままはや歩きで学校へと向かおうとしたが肩に強い圧力がかかる。その圧力の正体は、言うまでもなく転校生が思いっきり強く掴む手だった。


「まぁまぁ、聞いて行くといいぞ今日関くん」


「テメェのぼっち事情なんかこれっぽっちも興味ないんだが!?」


「ほほう、ぼっち事情にこれっぽっちもか………それは『ぼっち』と『これっぽっち』をかけてると言う訳かね?」


「全くかけてねぇよ! 大体さっきからお前口調が安定してなくねぇか!?」


「どういう感じで話せばいいかわからんから昨日から色々な口調の練習中なんだ!」


ああ、なるほど、だから昨日も妙に変な言葉使いだった訳だ……じゃねぇよ!


「普通に話せば良いだろ! つうか放せ!」


「話せ? ははぁ、今日関くんはツンデレというやつなのかな? 私を気遣わないと見せかけてちゃんと話を聞いてくれる、そういう優しさはなかなか心に染みる」


「手を放せって意味だこのバカ!!」


「手で話せ? 私は腹話術師ではないんだけどね。そういう技を期待してるのか? そうかそうか、あまり期待されすぎても何も出ないぞ」


だぁぁぁっ! 会話が成立しねぇ!


くそっ、止めとくんだった! こいつと接点を持ち、こいつに負けた昨日の俺が恨めしい!


「まぁ迷惑だと思うなら、私は手を放す……だが、私にはわかるよ、君がそんな冷たい人間じゃないということは!」


「勝手に人の性格決めつけんな!!」

俺はそう言って溜め息を吐き、頭を軽く押さえる。朝っぱらからこいつのアホ台詞の数々に辟易しているが、それよりも危惧してることがある。


そう、このままだと絶対に遅刻する。


そう考えた俺は妥協案を考え、転校生に言った。


「…わかった、聞いてやる、だからせめて歩きながら言え、俺は遅刻したくねぇ」


俺がそう言うと、転校生は手を放して一言


「やっぱりツンデレか……やれやれ、困ったものね」


こいつはいつか絶対泣かす、そう思わせた一言だった。

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