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性悪クラスメイツ

放課後。


「よし、早速探そう!」


黒日々は意気込むように言った。うっし、まずはそこらの同じクラスメートに話しかけるか。


俺はそう思い、帰宅の準備をしてる奴に声をかける。


「おい」


「ん? なに……って、ひぃっ! き……今日関くん!?」


「部活入らねぇ? なぁに、悪いようには……」


「す……すみません! お断りしますぅぅ!!」


そう言って、学生は脱兎のごとく去って行った。ったく、変な奴だな……。


まっ、別に一人だけって訳じゃねぇ、他のやつに声かけりゃいいか。俺はそう思って辺りを見回した瞬間。


教室に残っていた生徒らは、何かから逃げるように帰宅していった。


「ったく、運が悪いな、他の奴らも全員用事があって帰っちまったか……」


「……レンガ、君は一体何をしたからこんなに避けられているんだ。あとその誘い方はどうかと思うぞ」


などと、黒日々は微妙に困惑するように聞いてきた。ああ……そういや中学ん時も周りの奴らはこんな感じだった気がすんな。誘い方に関しちゃ、別になんも問題ないだろ。


「まぁ大方、俺がバトルバッチ持ちにケンカ売りまくってたのが噂になったんじゃねぇか? 中学のときも似たような理由で避けられてたしな。ったく、それが仇になるとは思わなかったぜ、やっぱバトルバッチ持ちじゃねぇと難しそうだな」


(あと、レンガは目つきも怖いからな……それも理由の一つかも……)


黒日々は何かを考えながら、苦笑しつつ俺を見ていた。妙に腹立つ目線だ。


そして、手をアゴに当てながら黒日々は言う。


「ふむ……じゃあ他のクラスに当たらなきゃならないんだな……ものすごく、緊張する……」


と言って、アゴに置いた手を震わせ、汗をかいていた。どんだけ苦手なんだよ。


そう思っていると、一人の女子が教室に戻ってくる。ちょうどいい、断られたら断られたでかまわねぇ。


「おい」


俺はその戻ってきた女子に声をかける。すると、そいつは振り返ってこちらを見る。


「……なに?」


さっきの奴らみたいな態度は取らず、まっすぐと睨みつけながら警戒するような声で言って来た。目つき悪い女だが黒日々みてぇな幼さがない、いわゆる美人タイプのやつだなこいつ。


まっ、んなことはどうでもいい、俺は年上にしか興味はないしな。そう思い、俺はこの女の言葉に返答することにする。


「なぁ? 俺らの部活入らねぇか? 悪いようにはしねぇからよ」


「部活? お断りするわ、貴方みたいな低俗で愚かしい人なんかの部活に誰が入ると思ってるの?」


……ん? 今こいつなんて言った……? 相当なめたこと言ってきたような気がすんが……!


「……今、なんつった?」


「聞こえなかったのならもう一回言うわ、貴方のような最低な人間の部活になんか入らないって言ったの」


俺はその言葉を聞き、血管がブチリと切れそうになる感覚を覚えそうになったが……落ち着け、こんな女にムキになるのは小物。俺はそんなガキじゃねぇからな、ここは紳士的な態度でなぁ……!


「ははは、てめぇみたいな口悪い性悪女よか億倍マシだと思うぜ」


俺は怒りを抑え、顔を引きつらせながらそう言った。よく耐えた俺。


すると、性悪女は俺を睨んで言う。


「貴方、それが初めて喋る相手に向かって言うこと? このロクデナシ、本当に低俗極まりないわね、死ねばいいわ」


あ、もう無理こいつぶっ殺す。そう思ったとき、後ろから俺の両腕を黒日々が掴んでくる。


「離せ黒日々! こいつには世間の常識ってやつを教えなきゃならねぇ!」


「それは君が言えたことじゃないだろう!? とりあえず暴力に訴えるのはよくないぞレンガ!」


俺は黒日々の拘束を解こうとしたとき、性悪女は黒日々のほうを向いて言う。


「……黒日々サクヤさん、だったわね? その男と一緒にいるのは止めたほうがいいわよ、不良なんているだけで害なんだから」


そう言ってカバンを持ち、性悪女は去って行った。なんだあのクソ女は……! 今まで見た中でも最悪級の女だ……! 黒日々のウザさが可愛く見えるレベルだ……!


「けっ、誰がロクデナシだあのアマァ……! くそっ、声をかけたのが間違いだった! 次当たるぞ次!」


そう言うと、あの性悪女の背中を見ていた黒日々はこちらを振り向く。


「あ……ああ、わかった」


そして、俺らは部員集めるために別の教室に向かうことにした。


……ふん、言われなくてもな、そんなのは既に自覚してるんだよ、性悪女。

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