爆熱!!バトルライフ高校最強の男!?激堂ブンゴ参上!!
誰だ……あいつ?
俺は黒日々を見るが、あいつも知らないと言うように首を振る。当然だ、まだ黒日々は来てから一週間も経っていない。俺が知らないのに知ってるはずがなかった。
そう思って見ていると、ハチマキ男は校舎の方を向き息を吸い込んで、言った。
「誰か強ぇやつは、いねぇのかぁーっ!!!!」
そいつは、地面すら揺るがすような大声でそう叫んだ。
俺と黒日々はそいつの大声に耐え切れず、耳をふさぐ。こいつはスピーカーかなんかを口に入れてんのか!
そして、奴の声が止み、俺は耳をふさぐのを止める。すると
「うるせぇぞボケェェ!!」
「この化物やろー!!」
「大人しくしてろこの歩くスピーカー野郎ぉぉ!!」
などと校舎内からブーイングが聞こえた。そりゃそうだ、朝っぱらからこんな大声出されたら、うざってぇこと間違いない。
すると奴は頭をかき、言う。
「ちぇっ、今日はあれで終わりかよ。ていうかひっでぇ言い草だよなぁ、そう思わねぇかい? 見知らぬ顔の同じ志を持つハートフルフレンズ」
と言って、こっちを見てきた……こいつ、俺たちに気付いてた……!?
驚愕する俺たちなどお構いなしに、奴はなおも話し続ける。
「よっ! お前ら一年生か? 俺は激堂ブンゴ、二年だ! 学級ブンゴって覚えるのが簡単だぜ! よろしくな!」
とか、笑いながら言ってきやがった。なんだこの馴れ馴れしい野郎は……
俺は呆れながら奴を見るが、黒日々は
「い……一年、黒日々サクヤです。よろしくお願いいたしまっする」
とか、律儀に挨拶を返していた。つうかお前わざと間違った挨拶してねぇかって思う。
すると奴は豪快に笑い始めて言う。
「おう! よろしく頼むぜ! んで、そこの一年はなんて名前だ?」
「けっ、教える気なんかねぇよ」
俺はそう言って、顔を背ける。
「んなこと言わずによ! いつか戦う相手の名前は知っときてぇんだ、お前らが二年になったら戦うかもしんねぇだろ? そん時に、『ああ! あん時のやつか!』っつぅ、因縁対決してぇじゃねぇか!」
とか笑いながら奴は言った。こいつも馬鹿野郎みたいだな……この学校は馬鹿が集まりやすい学校だな本当に。
まっ、んなことより……いったい何があったか、こいつに聞いて見るとするか。
「おい、ここで」
「ブンゴ先輩、一体ここで何が起こったんですか?」
俺が聞こうとしたら、先に黒日々が言いやがった。このやろぉ…!
そして、黒日々の問いに筋肉野郎はキョトンとした表情を浮かべて言う。
「ん? なにって一体なにがだ? 別に何も起こってないぜ?」
「はぁ? お前何言ってんだ? 校門前にうちの学校の生徒がぶっ飛ばされて大量に気絶してんだろうが!」
俺がそういうと筋肉野郎は、ああそれか? と言って、自分の右腕を見せつけて左手で叩きながら言う。
「俺がこの右腕で、全員ぶっ飛ばしたに決まってんじゃねぇか!」
などと、抜かしてきやがった。何をたわけたこと言ってんだこいつは。
「そういう冗談はいいから本当のこと言ってくんねぇかなマッスル先輩よぉ、本当は一体何があったんだよ」
「冗談じゃねぇさ、だったら試してみっか一年生? 俺の拳をよ」
と挑発するように言い、自信満々と言わんばかりの顔でこちらを見てきた。上等だ……!
「おう、かまわねぇぜ……そのハッタリがどこまで本当か確かめてやるよ……!」
俺は拳を握り、マッスル野郎を睨みつける。すると黒日々が焦るような声を出して言ってくる。
「れ……レンガ、本気でやる気か!? もしブンゴ先輩が言っていたことが本当なら相当な実力者だぞ!?」
「だからどうしたってんだよ、たとえそんなもんだろうが、相手の強さってのは自分で殴りっこしねぇとわからねぇだろうが、なぁマッスル先輩……!」
俺がそういうと、マッスル野郎も笑って言う。
「そうだな、俺も同感だぜ一年生……! その考え、ますます気に入ったぜ? 名乗れよ一年生!」
「はっ、耳をかっぽじってよく聞きやがれ、一年、Eランク、今日関レンガ。今からテメェを叩きのめす男だ……!」
俺が名乗ると、マッスル野郎は心底うれしそうに笑い、戦闘体勢に入る。すると、奴の足元の砂が吹き飛んで行く……って、何……!? なんで風も吹いてねぇのに砂が吹き飛んでんだ……!?
「いい気合だなお前……! んじゃ、俺も改めて名乗るぜ!」
そして、その瞬間。奴の付近の砂はまるで爆発するようにぶっ飛んでいき、奴は拡張器を使ったような声で叫んで言った。
「二年、激堂ブンゴ!! 目指すは最強!! そんでもって……ランクはS!! いざ尋常に戦おうぜぇぇっ!!!」
ランクS!? 俺がそれに驚愕した瞬間……奴はもう目の前にいた。
「気剛術、一撃連覇! 撃剛打ぁぁっ!!」
そして、目の前にいたと思ったとき、ズゴォンッ!!という音が聞こえた。それを認識した時には、俺は校門近くの外壁に叩きつけられていた。な……何が起こった……!?
俺は立ち上がろうとするが……身体が、うごかねぇ。ってことは、マッスル野郎の拳をまともに食らったってことか……? おい、たかだか一発食らった程度で何を腑抜けてんだ俺の身体……! 立てよ、このまま終わるなんて許されねぇぞクソッタレ……!
俺は無理やり、身体を起こそうとすると視界に、赤い液体が映る。頭がいてぇ……ってことは、怪我してんのか俺は。
それほどに思いっきりぶっ飛んだのか、俺は。そこらへんに倒れてる野郎共と同じようにあっさりぶっ飛んだのか。
……だぁからどうした……! 今から立ち上がって野郎を叩きのめせば、何の問題もねぇ……!
視界がぶらつき、血が目に入ろうとするが、んなもん知るか。俺はさっぱりまともに動いちゃくれない身体を、無理やり……無理やり、たたき起こした。
…うっし、今からだ。今からテメェを叩きのめしてやる……俺は、視界定まらない状態で……奴らしき姿に指を差して言う。
「……ぶっとばす」
……一発、てめぇに叩き込んでやる。そして、俺はテメェに勝つ……
そう思って足を一歩踏み出すと、身体のバランスが崩れ、俺は倒れる。くそっ……動けねぇ……てのか……!?
くそっ……たれ……!
そうつぶやくと……俺の視界は、暗転した。




