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サルハゲガッセン

「行くぞサル助…!」


そう言って、ハゲはこちらに向かって走り出し、殴りかかって来る。


はっ、単調だな…!


俺はハゲが繰り出すパンチを避け、腹部にパンチを食らわす。


うっし、決まった!


と思った


だが、ハゲは止まらずに俺のアゴにアッパーを食らわせて来る。


俺はそれを食らい地面に倒れるが、上体を起こし、跳ねるように飛び上がって立つ。くそっ、結構効かせてくれやがる…!


だが、俺はあのハゲを喜ばすようなことなんざ、死んでも言えるか!


「はっ…効かねぇな、そんなヘナチョコアッパーなんかよ……!」

俺がそう言うと、奴は余裕そうに言い放つ。


「ふんっ…テメェのザコボディブローの方なんか弱すぎて話にならねぇよ…!」


言ってくれやがるなこのハゲは…!痛みで膝が笑ってるだろうに強がって言ってくれやがって…!


なら、減らず口言えねぇぐらい殴って殴って殴りきってやるよ!


俺は助走し、地面をおもいっきり踏み込み、奴に向かって飛び蹴りを放つ。


「かっ!」


それを奴は笑って避ける。俺は飛び蹴りを避けられ、体勢が整っていない状態でハゲの後ろ右回し蹴りを脇腹付近に食らう、それを受け、俺はかはっ…っと空気を軽く吐き出す。

そして、それを見たハゲはここぞとばかりに左手で顔面に殴りかかって来たが


「…なに…!」


俺はその放たれた拳に拳を当てて、相殺する。そして、俺はすかさず空いた右腕で奴の左頬を殴る。


「ぐっ……この…!」


奴は意表をつかれたのが悔しいのかこちらを殴られつつも睨んで来るが、へっ、まだ終わらねぇよハゲ!


俺は両手を握り


「おらぁぁぁっ!!!」


俺は両手の拳を右、左、右、左の順番で放つ大雑把な乱打をハゲの腹の中心に向かってぶち込む。そして、ラストに思いっきり右ストレートを顔面に食らわし、10m弱ほど、ハゲをぶっ飛ばした。


「…けっ、どーだハゲ…!」

俺はニヤリと笑いながら、そう聞くと


「…効かねぇなぁぁ…!」



…と言って、奴も笑いながら立ち上がった。…ったく、しぶてぇなテメェはよ


俺は笑う、きっと端から見りゃ極悪人のような笑顔だろう。


「おーっ、そうかよハゲ野郎……だったら、効くまで殴りまくってやらぁ!」


「やってみろや!サル助!」


俺は走り出し、ふらつくハゲの顔に左真空回し蹴りを食らわす。


だが、どうせこいつはこんなんじゃ止まらねぇ。そうだよなぁ!


ハゲはそんな俺に答えるように、自分の両手をがっしり掴み、それを俺の頭に向かって降り下ろして来た。布で巻いたハンマーで殴られたような衝撃が俺の頭に響くが、あいにく、俺もその程度じゃ止まらねぇよ!


俺はそれの返しと言わんばかりに、鳩尾みぞおち狙いのボディーブローを奴の腹部にぶち込むと、奴の口から数量の血が吐き出される。


だが、奴もその程度で止まることはなく、下から降り上げるアッパー気味のパンチを俺の顔面に食らわし、更に追い込むように顔面を右、左と殴りまくってくる。


おかげで視界が安定しねぇ、ハゲ野郎がぶれて見えやがる。


「ぬうらぁぁぁぁ!!」


ハゲは咆哮しながら俺を殴りまくってくる。だがいつまでも、調子に乗んなよハゲ!


俺は右の拳をハゲが振り上げた時に体勢を低くしてそれを避け、そのまま元の体勢に戻しつつ、ハゲのアゴにアッパーをぶち込む。


だが、それでもハゲは止まりそうにねぇ。だったら、もう小細工無しだ。


奴も同じことを考えたのか、ニヤリと笑う。


んじゃ、やろうかハゲ………耐久勝負の殴りあいをなぁ!


俺はハゲの顔に拳の一撃を食らわせる、すると、ハゲは俺の腹に一発食らわせて来る。


さっきのハゲのように、少量の血を吐き出す。けどなぁ、もうそんなん知るか、関係ねぇ。


今この目の前の野郎をぶっ倒せりゃなぁ……


何の関係も、ねぇよ!


「っ………らぁぁぁぁ!!!」


俺は腹の底から声を出し、ハゲの右頬をぶん殴る。


「ぬっ………がぁぁぁぁ!!!」


ハゲも声を出し、それに負けじと俺の右頬をぶん殴ってくる。


それの返しに、俺はヘッドバッドをぶち込む。ハゲは若干怯むが、すぐさま右腕で左脇腹を抉るように殴って来た。


ミシッ…と、嫌な音がしたが、別に痛くねぇ、痛くねぇなら、まだまだやれんだよ!


興奮止まない頭でそう結論付け、俺はハゲをぶん殴り、ハゲも俺をぶん殴ってくる。



殴ったら、殴られ。


殴られたら、殴る。


そんな互いにガード無しでぶん殴り合うという応酬をしているうちに


「へ…っ…!」


「くくっ…!」


ついに、笑いが堪えられなくなってきた。


俺たちは足が笑っちまうほどふらつきつつ、距離を取って笑う。


「へっ………へへへっ…!」


「ふっ………くくく……!」


「「はははははっ!!!!」」


互いに、笑いあう。もう言葉なんて出す気もならねぇ。


笑うしかねぇからな、ああ、笑うしかねぇよ。


けどな、もう終わりの時間だ。


……決着つけるとしようぜぇ……ハゲェ!!


俺とハゲは同時に走り出し、互いに右腕を振り上げる。


そして、互いの間合いに入ったが同時


ズガンッ!と言う衝突音が互いの拳が互いの顔面にぶち当たった時に鳴った。


………そして、ハゲの拳は俺の顔からするりと離れ


意識を失ったハゲは、支える力を出せない今、前に体重がかかり


…グラリと、的上ガレキは、壮大にぶっ倒れた。


「ははっ……どうだ、参ったかよどちくしょう……………!」


俺は、もう言葉を出すのもしんどい状態で気絶した奴に向かってそう言った。


だが


そんな言葉を吐いた後、視界がぐらつく。あれ?なんか俺、倒れてねぇ……か?


そう思った瞬間に、俺の意識はプツンっと、まるでテレビを消した時みたいに落ちていった。

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