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オダよりトヨトミよりも

巨大デパート、トクガワ。


一階から八階まであり、このデパートにないものはないと言われる程の有名なデパートだ。


そんなトクガワで今日、ぬいぐるみファンシーシリーズとやらの限定品が売られるらしい、俺から言わせてもらえば、別に今日限定じゃなくていいだろとか思う。そんなに人気なのかそのシリーズは、動物の名前適当なくせに。


勿論、俺はそんなものには一切の興味は無いが、バカ妹の今日関リンカとドバカ幼なじみの明泊ヒカリと共に、俺はそれを仕方なく買いに行くため、トクガワに来ていた。


「うぅ、まだ頭がズキズキする、脳細胞が死滅してバカになっちゃうよ~」


「安心しろ、元からお前はバカだ」


俺はヒカリにそんな言葉をかけてやると、ヒカリはまた頬を膨らませ睨んで来たが俺は無視する。


一方のリンカは、あまり表情には出てないが、ワクワクしていた、中学生になったとか言ってたがまだまだガキだなやっぱり。


「んで、何階なんだよその限定品の売り場は」


「えっと、確か四階だったはずだー」


リンカはフロアの見取り図を見ながら指を差す、俺は指を差されたフロアの見取り図に書いてある文章を読む、えーっと、娯楽品売り場………ああ、多分これだな。


「それじゃ!! 他の連中に取られる前に爆走してレッツゴーだね!!」


「おー」


抑揚のない声と無駄にうるさい声をバカ二人は出しながら、手を握って右手を挙げる。人前で恥ずかしくねぇのかお前ら。


こいつらのテンションに若干呆れながらも、俺達はとりあえず二階へ行くエスカレーターに乗る。


「そういえばさ、レンガ」


「なんだよ」


質問するように聞いてくるヒカリに対し、俺は適当に返事を返す。


「リンカちゃんの可愛い妹オーラ出しまくりの仕草に萌えた?」


「そうか、リンカのあのアホみたいな真似はお前の入れ知恵か」


俺は手をポキポキと鳴らす。


「おおうっ!? ちょっとタイム! 私は何も言ってないって! ていうか怖いから! 女の子は怖い暴力苦手だからね!?」


「ああ、お前身体だけは女だもんな」


「そう、私は実は心は男だったのさ……ってちゃうわーっ!!」


「とりあえずうるせぇから静かに喋れ」


こりゃ失礼と言って、ヒカリは自分の口を塞ぐ。そして三階に向かうエスカレーターに乗ると、ヒカリは再び語り始める。


「ともかく、私は言ってないからね? 単に、レンガにお願いする時は現在売れまくり中のライトノベル、あいくるシスターに出てくる妹キャラの真似したら行けるよ? ってリンカちゃんに言っただけだからね?」


なるほどな、そんな風に言ったのか。確かに直接的に言った訳じゃないらしいな、こりゃ一本取られたぜ。


なんてことを何の感情もなく頭で考え、俺はヒカリに返答する。


「なぁ、ヒカリ」


「えっ? なに?」


「優しい笑顔のローキックと凛々しい顔のゲンコツ、食らうならどっちがいいか考えとけよ」


「わぁ、なんて心暖まる暴力……って顔だけだよそれ!?」


あたふたするヒカリの相手をするのは止めて、三階に着いたのでそのまま四階行きエスカレーターに乗る。ちなみにリンカはさっきからそわそわしっぱなしだ、早く買いたくて仕方ねぇんだろうな。


そして、四階に着き俺達はエスカレーターを降りる。するとリンカはその限定品とやらが売ってる場所に指を差し


「あ…あっちだー、あっちにあるぞー!」


目を輝かせながら、限定品の売ってるとこに何度も指を差す、どんだけテンション高ぶってんだお前は。


にしても本当に結構並んでんな……ぬいぐるみだけでよくもまぁあんな並べるもんだ。


「よーしっ!! 買いに行くぞー!!」


「おー」


そしてヒカリはそれに合わせて声高々に叫び、リンカもそれに合わせて声を出した。だから恥ずかしくないのかお前ら。


「じゃあ早く並び行くよレンガ! ちなみに私はねこにゃん買って、リンカちゃんはうさちゃん買うからレンガはわんわんよろしく!」


「犬だな、わかったわかった」


「違う! わんわん!」


そう言ってヒカリは訂正を求めてきた、犬でも良いだろうが…!


俺はもう適当にわかったと答え、ヒカリ、リンカ、俺の順で列に並ぶ…ったく、何でこんな長い列に並ばねーといけねぇんだよ、やっぱ止めとくんだったな。


軽く後悔してると、俺の後ろにも人が並び始める、かぁ~、よく並ぶ気になんなぁと呆れつつ後ろを見ると


…長い黒髪をゴムで束ねたポニーテールのバカそうな女が、真後ろに並んでいた。


「ん?」


黒髪のバカそうな女はこちらに気づいたが、俺はすぐに正面を向きなおす。いや、バカな、そんなはずはねぇ、奴に会うのは学校だけで十分だろうが。


それも今、バカ幼なじみとバカ妹がいるってのにその上バカクラスメートだと?いやいや、ねぇよ、バカは二人で限界なんだよ、トリプルバカなんてどこぞのドムっとしたのが襲って来るレベルで脅威だぞ?


恐らく、黒髪ってなだけで俺は奴に見えてしまうほど疲れているんだろう、全く情けねぇ、この今日関レンガが幻覚を見ちまうたぁな、最近勝ってねぇからストレスも関係してるのかも知れねぇな。


ともかく、後ろにいんのは恐らく美人の女子大生に違いねぇ、それをアイツと見違えちまうとは、俺の目は狂いに狂ってやがる。


さて、俺の目もそろそろ正常になって来ただろう、バカ系女ばっか見てて俺の目は潤いを欲しているはずだ、たまには目の保養っつぅのをしなきゃならねぇ。


本当はパツキンのねーちゃんを見た方がおおっ、とか思うがここは庶民派の美人で潤っとくか。


俺は再度、後ろを振り向く、そこには。


「おおっ! やっぱりレンガじゃないか! 偶然だな!」


…見慣れたバカ、黒日々サクヤが嬉しそうな反応をして、そこにいた。

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