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お休みシスターハッピーデー

土曜日


ということで、今日は学校は休みだ。


この一週間、妙に疲れることが多かったが今日1日はゆっくり休める、あのバカの相手をする必要もない。


さて、どうすっかな……いっそ格闘技の本でも……いや、ならマンガ買った方がマシだな、どうせすぐ読まなくなる。


そんなことを考えながらベッドで横になってると、ノックの音と共に声が聞こえてくる。


「レンガー」


…この抑揚のない声は………妹か。


「はいっていいー?」


「入るな、ガキは外で遊んでこい」


現在中学一年生の妹、今日関リンカに対して俺はそう言ってやった。


「わたしはもう中学生だー」


「ならゲーセン行ってナンパされて来い、お前みたいなやつが好みの変人もいんだろうよ」


「ナンパされろって言う兄なんてきいたことねーよ、このさいていヤローめ」


口が悪いクソガキだ、どいつに似たんだ、兄を敬えってんだよ、ったく。


「んじゃダチと遊んで来い」


そういうと、リンカからの反応が無くなる、兄の助言を受けてなるほどとでも思ったか?ったく…優しい兄貴だな俺はよ、助言代に今度アイツの財布から千円抜いとくか。


と思った途端


「おにーちゃんが大好きすぎてしかたないから開けてー」


とか言って来やがった。何を判断してそういうことにしたこいつは、だが言うことは変わらねぇ。


「絶対に開けねぇ」


「とか言いつつ、開けてくれるおにーたんだとリンカはしんじてるのだー」


「心底ウゼェから絶対開けねぇ」


そう言うと、リンカからの声は止む、さっさとどっか行けよ。


「ちっ、このつんでれんがめー」


「おいコラクソ妹、開けてやるから殴らせろ」


何舌打ちしながらどっかのバカと同じこと言ってんだこいつは、とか思ってると


「うん、なぐらせるからあけてー、大事なようだからー」


…などと言って来た、大事な用だぁ?


いい加減こいつに諦めさせるのにも疲れた俺は、ベッドから立ち上がり、ドアの鍵を開ける、するとリンカは無表情に入って来た。いや、これがこいつの普通なんだけどな。


「わーい、つんでれんががついに開けた開けたーって、あいたー」


抑揚ない声だが、それでもわかるほどに嬉しそうに入って来たアホ妹に、俺は頭にゲンコツを食らわすと、あまり痛そうでもない声を出しながら、頭を抑えて涙目になる。


「うう、なにをしやがるテメー」


「てめぇが殴っていいっつったんだろうが、ゲンコで済ましてやっただけ有り難く思え」


「本当になぐる兄がいるかー」


「ここにいんだろ、つうかそんなんどうでもいいんだよ、なんだよ大事な用って、俺も大事な用があんだから早くしろ」


「なんなんだよー、その大切なようってのはー」


「お前はバカにしてんのか? それとも質問してんのか?」


人の言葉をリピートするように言いやがって。


「してないしてない、じゅんすいに質問してる」


「ああそうかよ、つうか決まってんだろ? 休日をのんびり過ごすっつぅ大事な用だ」


「はっ、これだからぼっちはー」


溜め息をつき、鼻で笑って言って来やがった。このクソガキを全力で殴りてぇ、どっかで俺も似たようなこと言った気がするがそんなん関係ねぇ、本当底無しに口悪い野郎だ、一体誰の影響だよ、ったく。


俺は拳に込めた怒りを押さえつつ、耐える。


「んで、大切な用ってのはなんだチビボケ妹、下らない事ならこの怒りを込めた拳がお前の腹部を貫くと覚悟しとけ」


「おおうっ、本当にやりかねないレンガが怖い、そして口がめちゃくちゃ悪い、それもさいあく級に。全くだれのえいきょうだよ」


「そうか、テメェのその言葉を俺も今さっきテメェに向けて考えてたよ。つうか話進まねぇから早く言え」


俺がそう言うと、いきなりリンカはモジモジし始める。


「なんだ、トイレか? なら早く行って来いよ、漏らされたら困るしな」


「デリカシーなさすぎだろおまえー、ていうか別にトイレじゃねーよー」


「んじゃなんだよ」


リンカは息を飲んで、意を決したのか決してねぇのかわからない曖昧な態度を取りつつ


「う……うん、その、ねー………いっしょにー………買い物行ってほしーとかなんとか…って感じ……だー」


リンカは顔をうつむかせつつ、頬を赤く染めながら、途切れ途切れな言い方で小さく言った


…ったく、そんなことかよ


俺はリンカの頭にポンッと手を置く。


「……おにー……ちゃん…?」


リンカは俺の顔を見上げながらそう言ってくる。全く…らしくねぇなぁ


俺は笑みを浮かべる。


「俺はお前の兄貴だぞ? 言うことなんかわかってんだろ?」


「じ………じゃあ……!」


「ああ」


俺は少し間を開けて、言った。



「誰が行くか、バカ」



俺は素直に、正直に、そして真っ直ぐに……素晴らしい気持ちの三拍子でバカな妹に伝えてやった。


すると、そんな優しいスマイルを送る俺に対してリンカは笑みを返して言ってくる。


「くーき読め、ボケ」


その言葉に俺はプチンと来て、俺の温厚な顔は怒りの顔となった。


「家でのんびりするっつったろうがバカ妹!! 買い物だぁ!? 一人で行け!!」


「なんというむじひな男だー! 妹に頼まれたらことわらないのがおにーちゃんぞくせい持ちだろーがー! 妹の愛くるしいすがたにもっと萌えくるわんかー!」


「愛くるしい? はっ! 抜かせバカ! 色気ねーぺたんこチビのバカな妹に愛くるしいだとか思うわきゃねーだろバーカ!!」


「ぬぁー! 言ったなこのバカ兄めー! もうしらんー!!」


そう言ってリンカは怒りながら部屋から出て行った。やっとうるせーのが出て行った…さてと、無駄な時間を過ごしちまったな、何をすっかね……


とか、思ったとき


ピンポーンっと、家のインターフォンが鳴り響いた。超イヤな予感がする。


よし、寝る。俺はもう寝よう、これ以上アホの相手はこりごりだ、心と身体の休息をしよう。


そう思い、俺はベッドに入って横になる。


…だが、俺はこの時思い出す


まだドアのカギを閉めてねぇ!!


俺は即座に立ち上がり、カギを閉めようとした時


「どっかーんっ!! お待たせしました!! 友達いないあなたの元へ一家に一台!! 献身的幼なじみさん超・登・場ーっ!!! って、あれ? 壁に横たわって何してるの?」


…ど阿呆な幼なじみが勢いよくドアを開けてくれたお陰で、俺は思いっきり頭を打つ………よし、もうこのまま寝よう。


だが、こいつは


「あはははー!!! 寝るな寝るなー!!!! 寝たらなんかヤバいよー!!!」


めちゃくちゃ両肩を揺らして来やがった………!


「やめろこのドバカ女ぁぁぁ!!!」


俺はそれに耐えきれずに怒声をあげると、こいつは両手を驚くように広げた後に、にんまりと笑い


「あははー、おっはよう!!グッドモーニング!!」


と、凄いハイテンションで言ってきた。


…こいつは幼なじみであり、俺が見てきた中でも最大級のバカ、明泊ヒカリ、その人だった。

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