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見知らぬ土地―10

 王都南の門に現れた闇の者は、人だったらしい。

 カイトに聞いた話によると、人型をした闇の者が現れ始めた事は、脅威らしい。動物の形をしたもの達より、知恵があるそうだ。

 そしてそれは、闇の神が力をつけた証拠だと。


――我々はついに神子を手に入れた。その挨拶に来ただけだ。


 そう言って南の門に現れたニンゲンは、南の門の兵士を二人、空高く放り投げ、殺した。

 南門の通りに、無残に変わり果てた二人の兵が落ちたそうだ。



 その話を聞いたルイは、漸くその恐ろしさに身体が震えた。

 護れるのだろうか。何も力のない、何も知らない、元の世界ですら何もできなかった私が。




「神子、よく我が国へと参られた。話は聞いた。我ら光の民は、そなたを新たなる同胞と認め、協力を惜しまない。感謝する」


 迎えに来たリルに連れられて行った場所は、恐ろしく広い部屋だった。少し先に、大きな椅子に座った男がいる。

 この人が、王様なのだろう。

 もう、後には引けない。でも、後悔という感情はなかった。

 あの世界では死んだ。いや、すべてを諦め死んでいたような自分が、もう一度何かできるのなら。


「……頑張ります」



 酷く頼りない言葉に聞こえたけれど、仕方ない。

 リルは涙を流していた。



「神子様の護衛は、引き続き我が息子、カイトが任命されました」


 リルが部屋に戻った私にそう言った。

「カイトはほぼすべての魔法を使う事ができます。きっとお力になれますわ」

 傍にいた金の髪の兵士が、「カイト様は我が民の一番騎士です」と付け足した。

「やっぱりすごい人だった」

「え?」

「なんでもないです。カイトさん、ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願い致します」

「とんでもないですよ、神子様」


 必要とされているのなら、今はそれでいい。最大限の努力をしてみせるから……




第一章終了


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