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18.異世界で、とんでもない事になってきました②

ルナ帝国 宮廷の正門


黒騎士団(ブラックナイト)達の魔石洞窟でのゴブリンの件を聞き、現皇帝からの命令で白騎士団(ホワイトナイト)達は調査に行く事になった。


「聞いたか?ゴブリンの奴等が俺達の鎧を着てたらしいぞ?」


「何でまた、ゴブリンが?誰かが裏で渡してたって事か?」


「皇族の象徴である色素の薄い金髪の髪をた男から渡れたって」


「それ本当なのか?確かな情報なのか」


白騎士団(ホワイトナイト)の数人の団員達が話をしている中、身長150cmくらいの小柄な少女が彼等の横を通り過ぎる。


色白の肌に映える大きなエメラルドグリーンの瞳、薄いベージュ色の長い髪を高い位置でツインテールに結び、エルフのような耳が特徴的な少女。


体格に合っていない多くな白騎士団(ホワイトナイト)の第1部隊の隊長の証であるジャケットを肩から下げている。


1人の団員が少女の存在に気付くや否や、少女に向かって敬礼をした。


「お、おはようございます!!!ミニョン隊長!」


「「ハッ!?お、おはようございます、ミニョン隊長!!!」」


「うん」


ミニョンと呼ばれた少女は団員達の挨拶を適当に流し、正門前で話している2人の男性の元に歩いて行く。


腰まで長い艶やかな黒髪、透き通った肌に切れ長の灰色の色をした瞳、ミニョンと同じように隊長の証であるジャケットを着ている男は、ミニョンの存在に気付くと手を軽く振った。


「ミニョン、こっちだ」


「青愁(セイシュウ)、団長となんの話をしていたの?」


「魔石洞窟周辺の調査報告の結果を、ガルバットに報告していた所だよ」


青愁の言葉を聞きながら、ミニョンは団長らしき男性の横顔にこっそりと視線を送る。


グレーアッシュの髪はツーブロックに刈られ、短い髪は全て後ろに流し、整えられた髭に体格の良い体を見れば、この男が団長と言う事が一目で分かるだろう。


男の名はガルバット・シューベック、この数千人が所属している白騎士団(ホワイトナイト)を率いる団長であり、黒騎士団(ブラックナイト)の団長コンラットとは古い友人である。


ガルバットもコンラットの腕は認めており、コンラットが現皇帝の護衛に就いた時は自分の所の団員に稽古をつけてもらったりと良き関係を築きていた。


青愁と呼ばれた男性は白騎士団(ホワイトナイト)の第2部隊の隊長なのだが、彼はルナ帝国の人間ではなく龍華國(りゅうかこく)と呼ばれる国の出身の者だ。


龍華國とは、龍人族が住んでいる国であり、現皇帝ガルシアが積極的に龍華國に自国の物資などを送っては、龍人族を自分の国に住ませようと動き出している。


ガルシアが奴隷商売に力を入れている事は、宮廷の人間なら誰でも知っていて、ガルシアのやり方に賛同する者も中にはいるのが事実。


青愁が龍人族と言う事はガルシアも白騎士団(ホワイトナイト)の団員達も知っていて、ミニョンもまたエルフと言う種族の少女である。


エルフもまた裏社会の中でも上位に入る程の人気の種族、ミニョン自身もエルフ達が奴隷にされている事は許せないと思っていた。


カーディアックが行っている奴隷解放運動に、ガルバットと青愁、ミニョンの3人も覆面をして参加し、個人的にはギルベルト達とも仲が良いのだ。


「魔族の出現した痕跡が魔石洞窟周辺で検知された。追跡術が刻印された魔道具を使って、詳しく調べた所、上部街と中部街に潜伏している事が分かった。潜伏している悪魔は上位クラスの悪魔だと、探偵隊からの報告が上がっている」


「悪魔?」


「魔道具も導入した捜査だから、間違いはない。人間界に悪魔が降りて来いた事例は、この国が出来た当初以来だ」


ミニョンの問いに答えながら、ガルバットはジャケットの胸ポケットから煙草を取り出す。


「悪魔が出てくると、下っ端悪魔なら魔法なしでも対応が出来るが…。上位悪魔が出て来ると、少々厄介だ。皇太子殿下が連れて来た光の姫(ライトプリンセス)の警護には、第3部隊長に第4部隊長まで駆り出されているしな」


「悪魔が頻繁に出だしたら、光の姫(ライトプリンセス)様にも協力を要請しなければならない可能性も出てくるね。ですが、光の姫(ライトプリンセス)様は魔法の修行中の身。すぐに頼る事は難しい」


「確か、異世界から来たんだっけ?皇太子殿下がたまたま見つけて、宮廷に連れてきたって話だったね」


ガルバット、青愁、ミニョンの3人は話しながら、河邉菜穂が居る部屋の方向に視線を向ける。


ルカリオ専用の馬車が正門に到着すると、準備をしていた団員達は手を止める光景が広がっていた。


護衛をしていた団員の中の1人が負傷を負っており、ルカリオはイラつきながら馬車を降り、頭を下げているガルバットの前に立つ。


「おかえりなさいませ、皇太子殿下」


「おい、ガルバット。お前等、他所(よそ)の騎士団に所属している男にうちの騎士達の面倒を見てもらってるらしいな」


ガルバットはすぐに、コンラットの事を言っている事が分かり、団員に負傷を負わせたのもコンラットと言う事もすぐに判明した。


「コンラットは腕に立つ騎士です、お父上様も認めている騎士の1人。騎士団全体の強化の為にも…」


パシンッ!!!


話をしているガルバットの頬を強く叩いたルカリオは、青愁とミニョン達に視線を向けてながら口を開く。


「お前等、毎日毎日訓練しているのに、コンラットの力を借りないといけないのか?くだらない訓練ばかりする暇があるなら、身になる訓練をしろよ。何の為の騎士だ、くだらない」


「申し訳ありません、皇太子殿下。肝に銘じておきます。大変、申し訳ありません」


「チッ、お前はそれしか言えないのか?あ?」


「申し訳ありません、皇太子殿下」


ガルバットの冷静な対応を見たルカリオは、舌打ちをしながら再び馬車に乗り込み、宮殿の玄関まで馬車を向かわせる。


馬車が走り去った後、ミニョンはすぐに水魔法で布を濡らしてガルバットに渡した。


「大丈夫?ガルバット。ごめん、背が届かないから…」


「気にするな、これで頬を冷やせる」


「ガルバットは何も悪くないのに、叩かれるなんて…。私、ガルバットの事を庇えなかった」


「ミニョンが叩かれる方が辛い。俺が団長なんだ、お前等を怪我させる訳にはいかないさ」


その言葉を聞いたミニョンの頬と耳が桃色に染まり、ガルバットから視線を逸らす。


青愁は重傷の団員を支えている団員に声をかけ、街で何かあったのかと尋ねていた。


「お前達、今日は皇太子殿下の護衛担当だったな?何があった」


「は、はい。実は皇太子殿下が好いている女性に剣を…、向けて。そしたら、コンラットさんが怒って…」


「何故、剣を抜いた?その女性が何かしたのか?」

団員は重い口を開けながら、先程あった出来事をガルバット達に話し出す。


話を一通り聞いたガルバットは溜息を吐き、青愁は話をした団員に医療室に行くように指示をし、正門から離れさせた。


「まさか、大公子と良い仲の女性に見合いの話を持ち出していたとは…。初代皇帝が作った法律を完全に破って破ってますよね」


「大公子が見合いをしたと言う話は耳に入ってなかったが、皇太子殿下がどこで目を付けたのか…。はぁ、コンラットが怒るのも無理はない」


「あの人が理由もなく、人を殴る事はしませんし」


「調査が終わったら、直接コンラットとろロールベルク夫妻の所に謝罪に行く。俺は皇族じゃないが、白騎士団(ホワイトナイト)の団長として礼儀を通さないと」


青愁とガルバットの話をしている中、ミニョンの元に自分の部隊の団員が走って来る。


「お話し中、失礼すます。団長、準備が整いました」

「ご苦労様、下がって良いよ。ガルバット、青愁、そろそろ行かないと。皇帝の視線を感じる」


「分かった、馬を持って来てくれ」


ミニョンの言葉を聞いたガルバットは側にいた団員に声をかけ、持って来てもらった馬に跨り、準備が整った団員達に視線を向けながら口を開く。


「これより、魔石洞窟の調査に向かう。さっきも話したが、悪魔の出没する可能性が高い。各々、警戒を怠らないように」


「「「ハッ!!!」」


ガルバットは白騎士団(ホワイトナイト)の団員を引き連れ、調査の為に魔石洞窟に向かって出発した。


***


河邉菜穂はルカリオの秘書をしているアズバルトと共に、自室で魔法についての勉強を受けていた。


「うー、勉強は苦手なんだけどぉ。てゆうか、呪文長すぎ!本見ながらじゃないと、魔法なんて使えないし!」


「簡単なものから覚えていきましょう。菜穂様は2つも光魔法を使えるようになったじゃないですか」


「アズさん、それは本を見ながらやっただけで…。こんなんじゃ、ルカリオ様に好きになってもらえない」


「慌てる事はありません、少しずつ確実に覚えて行けば良いのです。ルカリオ様もそう言いますよ」


アズバルトの言葉を聞いた河邉菜穂は、用意された紅茶を口に運んだ後、閉じていた光魔法書を開き直した時。


コンコンッ。


「菜穂様、皇太子殿下がお見えになりました」

「えっ、ルカリオ様が!?ちょ、ちょっと待って下さい!」


メイドの呼びかけを聞いた河邉菜穂は慌てて手鏡を広げ、グロスを塗り直し、髪を整えてから返事をする。


「もう大丈夫です!」


「かしこまりました、失礼致します」


河邉菜穂の返答を聞いてからメイドはゆっくりと扉を開け、部屋の中にルカリオと黒髪のショートの女性の2人が中に入ってきたのだ。


黒髪のショートの女性は机に広げられた光魔法書を見て、河邉菜穂の方に視線を向けた。


「お帰りなさい、ルカリオ様!顔を出してくれるとは思ってもなかったし」


「これを渡しにきただけだ」


そう言って、ルカリオは小さな箱を河邉菜穂に手渡す。


「え、え!?こ、これってプレゼント?わ、私に!?」


「勉強を頑張っているようだし、御褒美をあげないといけないと思ってね。君が気に入るかは分からないけど」


「気に入らない事なんてないよ!!!すっごく嬉しいです…」


「アズバルト、引き続き勉強の方を進めてくれ。僕はこれで失礼するよ」


ルカリオが背を向けた時、河邉菜穂は思わずルカリオの服の袖を掴んで足を止めさせてしまう。


ゆっくりと河邉菜穂の方に視線を向けると、顔を真っ赤にさせたながらもルカリオの顔を見つめる。


「あ、あの、その…、ルカリオ様。少しだけで良いから、お話しませんか?本当に少しだけ…」


「15分だけなら君に時間を作れるよ」


「本当?嬉しい」


「アズバルト、紅茶を俺てくれるか」


「はい、かしこまりました皇太子殿下」


河邉菜穂とルカリオの2人に微笑みながら、ルカリオの為に新しく紅茶を淹れ始める中、黒髪のショートの脳内にルカリオの声が響く。


『お前は先に戻ってろ、15分したら部屋に戻る』


『分かった』


黒髪のショートの女性はすぐに部屋を出て、ルカリオの自室に戻る中、彼女の目の前に紫色の魔法陣が現れた。


魔法陣の中から現れたのは、ダンタリオンの使いのコウモリが飛び出してくる。


「ケルベロス様っ、こんな所に居たんですね!?私、すっごく探したんですよ!?」


「アンタ、ダンタリオン様の所のコウモリ?何しに来たの」


「ダンタリオン様から招集がかかりました!すぐに魔界に戻って来て下さい!」


「魔界に?私、人間と契約し…」


黒髪のショートの女性は途中で言葉を止めて、ダンタリオンの使いの頼みを了承する事にした。


「分かった、すぐに戻れば良いの?」


「はい、私と一緒に来てください!」


「兄弟の主人を直接この目で見れるな」


「え?何か言いましたか?」


「別に?何も言ってないよ」


コウモリは何も気にせずに魔法陣を出現させ、黒髪のショートの女性と共に魔界に戻って行った。


***


甘野芣婭 (17歳)


芣婭の目の前には色んな種類のケーキとお菓子がテーブルの上に並べられ、隣には満面の笑顔のぼいんちゃんが話かけてくる。


「バンビちゃん、甘いものは好き?ケーキもお菓子もあるわ」


「えっと…?」


ぼいんちゃんの子犬のような視線に負けて、シーちゃんにママの事を頼んで家にお邪魔する事になったんだけど…。


コンラットはイケメン執事に手当してもっらていて、ニックとレヴァさんは芣婭と対面するように座っていた。


2人共、ぼいんちゃんに気を使っている感じ、あんまり話をしないし。


「あの、ぼいんちゃん」


「もう、そんな呼び方じゃないくて名前で呼んでちょうだいな」


「名前…、ヴィオちゃん?」


「うんうん!ヴィオちゃんって呼んで?バンビちゃん♡」


普通におもてなしされちゃってるけど、良いのかなぁ?


部屋の中を見渡してみると、占い師が住んでいそうな感じがするんだよね。


壁には魔法陣が書かれた絵が飾られているし、天井には薬草とドライフラワーが吊るされているし、紫とゴールドで統一された家具達。


隣に座っているヴィオちゃんに視線を向けると、二の腕に紫色の2匹のアゲハ蝶のタトゥーが見えた。


「アゲハ蝶可愛いね!これって。タトゥーだよね?」


「ふふ、ありがとう」


「あの、聞きたい事があるんだけど…」


「何?」


「ギルベルト君の未来を占ったって、どういう…」


芣婭の言葉を聞いたヴィオちゃんは、チョコレートケーキを一口食べてから芣婭の質問に答える。


「私の家、イーヴェル家はね?昔から占いの仕事を生業(なりわい)とした家系なの。イーヴェル家の占いは、外れた事がないのよ」


「すごい!ヴィオちゃんも占いが出来るの?」


「母程じゃないけど、私の占いも評判が良いのよ?自分で言うのおかしいけどね?私の担当は恋占いで、母は未来の事を占っているわ」


「未来の事?」


「イーヴェル家はね?古代魔術占う者(テラー・フォーチュン)を使えて、簡単に言えば未来視が出来るの。古代魔術を使いながら、魔道具に私達が見た未来を映し、カードを使ってすべき行動を示すの。大公がギルベルトの呪いの事を心配して、母に占いを依頼したの」


確かに、イケおじはギルベルト君の事を心配していたのは、この間の時に見て分かったし。


イケおじが占い師のヴィオちゃんママにお願いしたい気持ちも分かる。


「母がギルベルトの未来を占った所、バンビちゃん貴方がギルベルトの運命の女(ファム・ファタール)だって分かったの」


ヴィオちゃんの言葉を聞いたケロちゃんとベロちゃんは、芣婭の足元で寝ていたけど起き上がり、ヴィオちゃんの方に視線を向けた。


ケロちゃんとベロちゃんに微笑みながら、ヴィオちゃん話を続ける。


「運命の女(ファム・ファタール)?って、なぁに?」


「ギルベルトの運命の女って事、解く方法が見つかっていない古代魔術の呪いの進行を貴方が止める。そして、ギルベルトの運命を変える女が異世界から来る。こんな可愛い子が現れたら、ギルベルトもほっとけないわね」


「芣婭が、ギルベルト君の運命の人…」


「貴方がこの世界に来て、ギルベルトも含んだ周りの人間達の環境も変わってきてる。もちろん、良い方向でね?」


芣婭がギルベルト君の運命の人だって実感が沸かない。


初めてギルベルト君に会った時、何故か初めて会った感じはしなくて…。


無性にギルベルト君に会いたくなってきちゃった。


あんな態度取るんじゃなかった、ギルベルト君に嫌われたらどうしよう…。


「芣婭」


手を握られる感触がし、視線を隣に向けると手当を終えたコンラットが優しく手を握ってくれていた。


「大丈夫だ、ギルベルト様は芣婭の事を嫌ってなんかいない」


「どうして、芣婭が考えてた事が分かるの?」


「お前の顔を見たら分かるさ」


コンラットは本当に芣婭が考えてる事が分かってるみたいで、芣婭の事を安心させる為に慰めてくれる。


「ねぇ、コンラットって何者?」


「あはは!何者って、何だよ」


「だって、芣婭の考えてる事が分かってるみたいだし…」


「芣婭が気付くまでは教えない」


「へ?お、教えない?」


芣婭の言葉を聞いたコンラットは意地悪な顔して、少し乱暴に芣婭を頭を撫でた。


「それで、バンビちゃん達をここに連れて来たのわね?もう1つあるの。ギルベルトにも話したかったんだけど、私の兄が話に行くみたいだから任せるけど」


「「「ゲッ!?」」」


「ゲ」


何故か、ヴィオちゃんが「兄」と言うワードを出した瞬間、コンラットとニック、レヴァさんの3人が嫌そうな顔をする。


3人の反応を見たヴィオちゃんは小さく笑いながら口を開く。


「あらあら、そんなにうちの兄がお嫌い?」


「い、いやいや!そんな事はないです!だ、断じて!」


「あら、ニックス。正直に言って良いのよ?」


「聞かなかった事にして下さい、公爵令嬢…」


ニックのこの慌てよう、ヴィオちゃんのお兄ちゃんって一体…。


物凄く怖い人なのかな?3人の反応を見る限りだと。


「ヴィオちゃん、お兄ちゃんがいるんだ。芣婭にもお兄ちゃんいるよ、どんな人なの?」


「そうねぇ、一言で言えば性悪」


「しょ、性悪?」


「私には優しいのよ?今度、バンビちゃんにも紹介するわね。話を戻すわね、皇太子殿下が何か行動を起こしてくる筈よ。バンビちゃんに対する執着が異常だもの、貴方達も見ていて分かったでしょ?」


コンラット達はヴィオちゃんの話を聞きながら深く頷き、ヴィオちゃんは芣婭の顔に視線を向ける。


「バンビちゃん、この国の法律で相手がいる男女に見合いの話を持ち出すのは禁止と言うのがあるの。バンビちゃんはギルベルトと見合いをして、良い関係なのよね?バンビちゃんが、皇太子殿下と関係を持ちたいなら話が別よ」


「王子様とはやだ!だって、あの人怖いもん。お母さんみたいに、コンラットの事を叩くから嫌い」


「芣婭…」


ヴィオちゃんの言葉を聞いて、芣婭が全力で拒否をするとコンラットが芣婭の名前を呼ぶ。


「ニックやレヴァさん達に偉そうな態度をとるし、獣人族の人達を奴隷にしてるのも嫌い。王子様はみんなに優しくないとダメでしょ?酷い事する王子様と付き合いたくない」


「そうよね、フォンクライス卿が皇太子殿下に喧嘩を売ったでしょ?それとロールベルク婦人は見合いの話を断った。この2つで、皇太子殿下の逆鱗に触れているわ。母の占いで、皇太子殿下がロールベルク夫妻の屋敷に白騎士団(ホワイトナイト)を連れて現れるって結果が出てるの」


「お家に来るの?パパとママを怒りに来るの?」


「それは建前で、バンビちゃんとの見合いの話を強制的に進めてくると思うわ」


「まさか、そこまで…、するか」


あの王子様ならしてきそうだけど、 芣婭は王子様とお見合いなんてしたくない。


ギルベルト君以外の人とする気もないんだけど。


「ギルベルトが仕事って事は、現皇帝に呼び出しされたって所かしら。だとしたら、ギルベルトが不在の間にバンビちゃんの事を取りたい筈。バンビちゃん、貴方どこかに身を隠した方が良いわ」


「身を隠すって言われても…、パパとママが王子様に酷い事されるかも」


「バンビちゃん、ロールベルク夫妻の事は私に任せてくれるかしら?」


「ヴィオちゃんに?」


「ええ、安心して。バンビちゃんのお母様とお父様に酷い事はさせないわ。そこの悪魔さん達も、バンビちゃんの事を守る事に専念して」


ヴィオちゃんがケロちゃんとベロちゃんに声をかけると、2人は人の姿に戻り、ケロちゃんが背後から抱き締めてくる。


「わっ、ケロちゃん」


「貴方に言われなくても、芣婭の事は守ります。丁度良い機会です、芣婭の事を魔界に連れて行こうと思って」


「魔界?あの魔界?!悪魔達が住んでるあの魔界!?魔界って本当にあるんだ…」


「悪魔がいるんですから、魔界もありますよ芣婭。身を隠した方が良いなら魔界に連れて行きます」


異世界の次は魔界か…。


「ちょっと待て、そのまま芣婭を連れて帰らない気じゃないよな?」


「あ?芣婭が望むなら魔界に住むけどな、今回は呼び出されたから帰るんだよ」


「呼び出し?ケロちゃんとベロちゃんの2人を?」


コンラットとベロちゃんの会話に入った時、芣婭達の前に紫色の魔法陣が現れると中が1匹のコウモリが飛び出してくる。


ビュンッ!!!


「ケルベロス様!ダンタリオン様が怒ってるんですー!!!早く来てください!!!」


「うるせー!!!今から行くところだったわ!」


「本当ですか!?早く行きましょう!2人の御主人様は…、は!?貴方様ですか!?」


ベロちゃんに泣きついていたコウモリが芣婭の方に飛んできて、周りをくるくる回り出し出す。


「このコウモリは魔界からの使いですか?ケルベロスの2人」


「魔法陣の中から出て来たからそうじゃない?レヴァさん」


「姫様に似ています、それも物凄く」


「「赤くなってんじゃねーぞ、糞コウモリ!!!」」


「グヘッ!?」


芣婭の周りを飛んでいたコウモリは、ケロちゃんとベロちゃんの2人に蹴り飛ばされてしまった。

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