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SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級美少女たちの攻防戦〜  作者: 沢田美


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神行晄という幼馴染

 しばらく神行とアニメを見たあと、俺はふと今日の昼休みのことを尋ねた。昼休みに少し神行に強く当たってしまったこと。柊の言葉もあってか、俺は少しだけ反省している。別に恋愛感情とかじゃない。ただ、幼馴染として、少し冷たくしすぎたかな、という罪悪感だ。


「なぁ、神行。なんか悪いな今日」


「え? なんでいきなり謝んの? 何かしたっけ? え、もしかして私のパンツ見た?」


 相変わらずのニヤケ顔で俺に迫る神行。何言ってんだこいつは。てか覚えてないのかよ……それはそれで俺が反省した意味が無くなるぞ。まぁ、神行らしいといえば神行らしいが。


「いや、俺お前に今日の昼休み強く当たったと思うから……その悪かった」


 俺が少し気まずそうに謝ると、しばらく沈黙の空気が続いた。シーンとした空気が永遠に続くと思った。テレビの音だけが、リビングに響いている。神行は、珍しく黙っている。もしかして、本当は気にしていたのか? 俺の胸に、小さな罪悪感が広がる。


 でもそれは神行晄の前では意味をなさないようだった。


「え? もしかして! それずっと気にしてくれてたの!? おもしろー!! 私全然気にしてないよー!! ――あ! でも少し傷ついたからジュース一本で許してあげる!」


 神行は突然、パッと明るい表情に戻る。その笑顔は、どこまでも屈託がなくて、俺はホッとすると同時に、少しイラッとした。


「分かった。――って! お前全然気にしてねぇのかよ! 俺の少しの気まずさを返せよ!」


「えへへ、でも裕一が気にしてくれてたの嬉しいよ。優しいじゃん」


「うるさい。もう帰れ」


 そのまま俺は神行に支離滅裂な言葉を並べて、神行を無理やりにでも俺の家から追い出した。その際もヘラヘラと笑っていて、どこかムカつきが取れない。玄関で靴を履く神行は、相変わらずニコニコしている。


「じゃあね、裕一! また明日ねー!」


「ああ、気をつけて帰れよ」


「うん! じゃあまた明日、学校でね!」


 神行は手を振りながら、マンションの廊下を歩いていく。その後ろ姿を見送りながら、俺はドアを閉めようとした。


 ガチャ。ようやく一人の時間が確保できた。外は既に夜になっていた。時計を見ると、午後八時を回っている。神行と一緒にいた時間は、思ったよりも長かった。


 そんな時、俺の脳裏に嫌な妄想が過ぎる。それは神行が変な不審者に付きまとわれたりしてないかという不安に近いものだった。


 いや、大丈夫だろ。神行の家は、ここから徒歩五分くらいだし、街灯もある。それに、神行は一人で帰るのに慣れているはずだ。


 でも、もし何かあったら……。


 神行は、四皇の一人だ。学校では有名人で、多くの男子から告白されている。もしかしたら、ストーカーみたいな奴がいるかもしれない。いや、考えすぎか? でも、万が一ってこともある。


 思い立ったが吉日。俺はそのまま神行の後を追うように、彼女を追いかけた。クソ、なんで俺は今こんなことやってんだ。全く世話のかかる野郎だ。いや、女だけど。


 マンションの階段を急いで降りて、神行を追いかける。エレベーターを待つ時間すら惜しくて、階段を駆け下りる。四階から一階まで、一気に降りる。息が少し切れるが、気にしない。


 そして、そのままマンションの外に出ると、目の前に神行の姿が見えた。金髪が街灯の光に照らされて、キラキラと輝いている。神行は、スマホを見ながらのんびりと歩いている。


 俺は咄嗟に声をかけた。


「神行!」


「え? 裕一? どしたん? なにか忘れ物?」


 神行は驚いたように振り返る。その表情は、珍しく動揺していて、どこか可愛らしく見えた。いや、可愛いとかじゃなくて、珍しいってだけだ。


 俺はそのまま神行の手首を掴んだ。細い手首が、俺の手の中に収まる。柔らかくて、温かい。


「――ッ! ちょ! どうしたのさー?」


「たとえ幼馴染とはいえ、お前とはいえ、お前も一人の女性だ。一人で夜中を歩かせるわけにはいかねぇだろ」


 俺は、少し照れくさそうに言う。別に恋愛感情とかじゃない。ただ、幼馴染として、女の子を一人で夜道を歩かせるのは危ないと思っただけだ。それだけだ。


「――ッ!」


 神行が突然立ち止まる。俺はふと視線を彼女に向けた。その視線の先にいた神行の顔が何故か真っ赤になってるように見えた。街灯の光のせいか? いや、でも確かに赤い。耳まで赤くなっている。


「お、おい。どうした? 顔赤いぞ」


「う、うるさい! 別に赤くないし!」


 神行は顔を背ける。その仕草は、いつもの神行とは全然違って、どこか初々しい。俺は、少し戸惑いながらも、神行の手を引いて歩き始めた。


「ほら、早く帰るぞ。夜遅くなると危ないから」


「う、うん……」


 神行は、珍しく大人しくついてくる。いつもなら、「裕一優しい!」とか「私のこと心配してくれてるの?」とか、はしゃぐはずなのに、今日は静かだ。


 夜の住宅街は、静かで、二人の足音だけが響いている。街灯の光が、道を照らしている。遠くで犬の鳴き声が聞こえる。


「……なぁ、裕一」


「ん?」


「ありがとね。送ってくれて」


 神行の声は、いつもより少し小さくて、どこか恥ずかしそうだった。俺は、少し驚きながらも、素っ気なく答える。


「別に。当たり前のことしてるだけだろ」


「でも、嬉しい」


 神行は、そう言って俺の方を見た。その瞳は、街灯の光を反射して、キラキラと輝いている。その表情は、どこまでも純粋で、俺は少しだけドキッとした。


 いや、ドキッとしたんじゃない。ただ、珍しく大人しい神行に驚いただけだ。そうだ、それだけだ。


 しばらく歩くと、神行の家が見えてきた。白い壁の一軒家で、門には「神行」という表札がかかっている。


「着いた。じゃあ、俺帰るから」


「う、うん。ありがとね、裕一」


 神行は、まだ少し顔を赤らめながら、俺に手を振る。その姿は、いつもの太陽のような神行とは違って、どこか月のように優しく見えた。


「じゃあな。また明日」


「うん。また明日ね」


 俺は、神行が家の中に入るのを確認してから、自分の家に向かって歩き始めた。夜風が、少し冷たい。でも、どこか心地よい。


 歩きながら、俺は少しだけ考える。


 今日の神行は、なんだか様子がおかしかった。いつもなら、もっとはしゃいでいるはずなのに。もしかして、本当に昼休みのこと気にしてたのか? それとも、送ってもらったことが嬉しかったのか?


 いや、深く考える必要はない。ただ、幼馴染として当たり前のことをしただけだ。それ以上でも、それ以下でもない。


 俺はそう自分に言い聞かせながら、マンションに戻った。


 部屋に入ると、さっきまで神行がいたリビングが、どこか寂しく感じた。ソファには、神行が読んでいた漫画が置きっぱなしになっている。俺は、それを手に取り、本棚に戻した。


「……全く、世話のかかる奴だ」


 俺は、小さく呟きながら、再びソファに座った。そして、録画していたアニメの続きを再生する。


 でも、どうしても集中できない。さっきの神行の赤くなった顔が、頭から離れない。


「……気にするな。ただの幼馴染だ」


 俺は、自分に言い聞かせるように呟いた。でも、その言葉は、どこか空虚に響いた。


 その夜、俺は結局アニメを最後まで見ることができず、早めにベッドに入った。


 布団の中で、俺は天井を見つめながら、今日一日のことを思い返す。


 足立さんとのホラー漫画の話。川瀬とのカフェ。神行との時間。そして、神行の赤くなった顔。


「……面倒くさい」


 俺は、小さく呟いた。


 恋愛から距離を置くと決めたはずなのに。もう二度と恋なんてしないと決めたはずなのに。


 でも、今日の神行の表情は、なんだか忘れられない。


 いや、忘れろ。ただの幼馴染だ。恋愛感情なんてない。絶対にない。


 俺はそう自分に言い聞かせながら、目を閉じた。


 でも、眠りに落ちる直前、俺の脳裏に浮かんだのは、やっぱり神行の笑顔だった。


 クソ、本当に面倒くさい。


 俺はそう思いながら、眠りについた。


 明日からも、きっと面倒な日々が続くんだろう。


 でも、それはそれで悪くないかもしれない。


 そんなことを考えながら、俺の意識は、ゆっくりと暗闇の中に沈んでいった。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

このお話が少しでも面白いと感じていただけたら、ぜひ「♡いいね」や「ブックマーク」をしていただけると嬉しいです。

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