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SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級美少女たちの攻防戦〜  作者: 沢田美


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期末試験と揺れる心

 期末試験当日。朝、目が覚めると、異様な緊張感が俺を包んでいた。布団の中で、天井を見つめながら、今日から始まる三日間の試験のことを考える。数学、英語、国語、理科、社会。全ての教科で、それなりの点数を取らなければならない。もし赤点を取ったら、補習だ。夏休みが削られる。それだけは避けたい。


 俺は、ゆっくりと起き上がる。窓の外を見ると、青空が広がっている。今日も、良い天気だ。でも、その青空が、どこか遠く感じる。試験のプレッシャーが、俺の心を押しつぶしそうだ。


 リビングに行くと、姉が既に朝食を用意してくれていた。テーブルの上には、おにぎりと味噌汁、そして卵焼き。いつもの朝食だ。でも、今日は特別に、俺の好きな唐揚げも用意されている。


「裕一、試験頑張ってね」


 姉が、優しく言う。その声には、応援の気持ちが込められている。姉は、看護師の仕事で忙しいはずなのに、わざわざ早起きして、俺のために朝食を作ってくれた。その優しさが、胸に沁みる。


「ありがとう、姉ちゃん」


 俺は、素直に答える。


 朝食を食べながら、俺は試験のことを考える。勉強会での内容を思い返す。柊が教えてくれた数学の公式。銀咲が説明してくれた英語の文法。足立さんと一緒に解いた国語の問題。神行と復習した理科の用語。川瀬と確認した社会の年表。


 そして、四人の顔が、次々と脳裏に浮かぶ。神行の明るい笑顔。銀咲の冷静な表情。足立さんの優しい微笑み。川瀬の複雑な表情。その全てが、どこか愛おしく感じる。


 いや、違う。愛おしいとかじゃない。ただ、友達として大切に思っているだけだ。それ以上でも、それ以下でもない。


 俺はそう自分に言い聞かせながら、朝食を食べ終える。


 学校に着くと、教室は異様な緊張感に包まれていた。みんな、試験前の最後の確認をしている。教科書を開いて、ノートを見直して、必死に知識を詰め込もうとしている。その光景が、どこか痛々しい。でも、俺も同じだ。カバンから教科書を取り出して、最後の確認を始める。


 そんな時、神行が俺の席に来る。


「おはよう、八杉くん! 試験、頑張ろうね!」


 神行の声は、いつもの明るさだ。でも、その表情には、少しだけ緊張の色が見える。神行も、試験を気にしているのだろう。


「ああ、頑張ろう」


 俺は、答える。


 そして、銀咲も俺の席に近づいてくる。


「八杉くん、準備はできてる?」


 銀咲の声は、どこまでも冷静だ。でも、その瞳には、心配の色が浮かんでいる。


「ああ、なんとか」


 俺は、答える。


 足立さんも、優しく微笑みながら、俺に声をかける。


「八杉くん、一緒に頑張ろうね」


「ああ」


 俺は、頷く。


 川瀬は、少し離れた場所から、俺を見ている。その視線が、どこか複雑だ。でも、すぐに視線を逸らす。


 そして、チャイムが鳴る。


 試験が始まる。


 一時間目は、数学だ。


 試験用紙が配られる。俺は、深呼吸をして、問題用紙を開く。


 問題を見る。二次関数、確率、図形。勉強会で復習した内容ばかりだ。これなら、何とかなりそうだ。


 俺は、鉛筆を走らせる。計算をして、答えを導き出す。その作業に没頭していると、他のことを考えなくて済む。四皇のことも、恋愛のことも、全て忘れられる。


 試験時間が終わる。


 問題用紙を回収される。俺は、小さく息を吐く。数学は、何とかできた。多分、平均点以上は取れているはずだ。


 休み時間になる。


 周囲の生徒たちが、答え合わせを始める。「あの問題、答え何だった?」「俺、間違えた」そんな声が、教室に響く。


 神行が、俺の席に来る。


「八杉くん、数学どうだった?」


「まぁ、なんとか」


「私も! 八杉くんが教えてくれたおかげで、解けたよ!」


 神行は、嬉しそうに言う。その笑顔が、どこまでも眩しい。


 二時間目は、英語だ。


 再び、試験用紙が配られる。俺は、問題用紙を開く。


 長文読解、文法問題、英作文。これも、勉強会で復習した内容だ。銀咲が教えてくれた文法が、役に立つ。


 俺は、再び鉛筆を走らせる。英文を読んで、答えを選ぶ。文法問題を解く。英作文を書く。


 試験時間が終わる。


 英語も、何とかできた。これで、今日の試験は終わりだ。


 昼休みになる。


 俺は、柊と一緒に昼食を取る。


「どうだった、裕一?」


 柊が、尋ねる。


「まぁ、なんとかなったかな」


「そっか。俺も、まぁまぁだった」


 柊は、弁当を食べながら言う。


 そして、柊がニヤリと笑う。


「なぁ、裕一。お前、最近四皇とずっと一緒にいるよな」


「まぁ、勉強会とかで一緒にいることが多いだけだよ」


「本当かー? お前、絶対モテてるだろ」


 柊の言葉に、俺は少しだけムッとする。


「モテてないって」


「そうかー? でも、四人とも、お前のこと好きそうだけどな」


 柊の言葉に、俺は言葉に詰まる。確かに、四人の態度は、どこか普通じゃない。でも、それを認めたくない。


「気のせいだよ」


 俺は、素っ気なく答える。


 そして、午後の授業が始まる。


 午後は、普通の授業だ。明日も、試験が続く。


 放課後になる。


 俺は、図書室に向かう。明日の試験に向けて、もう少し勉強したい。


 図書室に入ると、そこには既に足立さんがいた。


「あ、八杉くん」


 足立さんが、優しく微笑む。


「足立さんも、勉強?」


「うん。明日の国語の試験、少し不安で」


「俺も。一緒に勉強しようか」


「うん、ありがとう」


 俺たちは、同じテーブルに座る。


 足立さんは、古文の教科書を開いている。その横顔が、どこまでも美しい。茶色の髪が、日差しに照らされて、柔らかく輝いている。


 俺は、足立さんの横顔を見て、少しだけドキッとする。でも、すぐに気持ちを落ち着かせる。


「八杉くん、この古文の文法、教えてくれない?」


 足立さんが、尋ねる。


「ああ、いいよ」


 俺は、足立さんに説明する。助動詞の活用、助詞の使い方、敬語の種類。勉強会で復習した内容を、思い出しながら説明する。


 足立さんは、真剣に俺の説明を聞いている。その瞳が、どこまでも真剣だ。


「なるほど……わかった。ありがとう、八杉くん」


 足立さんは、優しく微笑む。


 そして、しばらく無言で勉強する。その沈黙が、どこか心地よい。


 夕日が、図書室を照らし始める。オレンジ色の光が、窓から差し込んでくる。


「そろそろ、帰ろっか」


 足立さんが、言う。


「そうだな」


 俺は、頷く。


 俺たちは、図書室を出て、校門に向かう。


 夕日が、街をオレンジ色に染めている。その光が、俺たちを照らしている。


 俺たちは、並んで歩く。その距離が、少し近い。足立さんの温もりが、伝わってくるような気がする。


「ねぇ、八杉くん」


 足立さんが、口を開く。


「ん?」


「試験終わったら、一緒に『人形の家』の新刊、読まない? 感想とか話したいな」


 足立さんの言葉に、俺は少しだけ嬉しくなる。


「ああ、いいよ。俺も、まだ読み終えてないから」


「本当? 嬉しい」


 足立さんは、満面の笑みを浮かべる。その笑顔が、夕日に照らされて、どこまでも美しい。


 そして、足立さんの家に到着する。


「じゃあ、また明日ね。試験、頑張ろう」


「ああ、頑張ろう」


 俺は、足立さんに言う。


 足立さんは、家の中に入っていく。


 その背中を見送りながら、俺は小さく息を吐いた。


 足立さんといると、心が落ち着く。その優しさが、俺を癒してくれる。でも、それは友達としての感情だ。恋愛感情じゃない。


 俺はそう自分に言い聞かせながら、家に向かって歩いた。


 二日目の試験も、三日目の試験も、何とか乗り越えた。国語は、足立さんと一緒に勉強した古文の問題が出て、助かった。理科は、神行と復習した内容が出て、何とか解けた。社会は、川瀬と確認した年表が役に立った。


 そして、ついに期末試験が終わる。


 最後の試験が終わった瞬間、教室中から安堵のため息が漏れる。みんな、試験から解放された喜びを噛み締めている。


「やっと終わったー!」


 神行が、嬉しそうに叫ぶ。


「お疲れ様」


 銀咲も、小さく微笑む。


「みんな、よく頑張ったね」


 足立さんも、優しく言う。


 川瀬は、少しだけ疲れた表情で、でも笑顔を見せる。


 そして、神行が口を開く。


「ねぇ、みんな! 試験も終わったし、明日みんなで遊びに行こうよ!」


 神行の提案に、みんなが頷く。


「いいわね」


 銀咲が、言う。


「楽しそう」


 足立さんも、言う。


 川瀬も、小さく頷く。


「八杉くんも、来てくれるよね?」


 神行が、俺を見つめる。


「ああ、まぁ……」


 俺は、答える。


「やった! じゃあ、明日、駅前の商店街で待ち合わせね! 午前十時!」


 神行は、嬉しそうに言う。


 こうして、期末試験が終わり、明日は四皇との外出が決まった。


 俺は、帰り道、そのことを考える。四人と一緒に遊びに行く。それは、楽しみでもあり、不安でもある。


 四人の気持ち。その全てが、俺に向けられているような気がする。でも、それを認めたくない。


 俺は、恋愛から距離を置くと決めた。でも、四人との時間が、その決意を少しずつ揺らがせている。


 俺の"究極の恋愛耐性"が、もう限界に近づいているのかもしれない。


 でも、俺はまだ認めない。


 四人のことは、友達として大切に思っているだけだ。


 それ以上でも、それ以下でもない。


 俺はそう自分に言い聞かせながら、家に帰った。


 でも、心の奥底では、わかっていた。


 もう、元には戻れない。


 俺の心は、確実に変わり始めている。


 その事実に、俺はまだ気づかないふりをしていた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

このお話が少しでも面白いと感じていただけたら、ぜひ「♡いいね」や「ブックマーク」をしていただけると嬉しいです。

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