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SSS級の絶世の超絶美少女達がやたらと俺にだけ見え見えな好意を寄せてくる件について。〜絶対に俺を攻略したいSSS級美少女たちの攻防戦〜  作者: 沢田美


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喧嘩と銀髪の女神

 それは帰りの時の出来事だった。優里を家まで送り届けて、自宅まで向かっていた夜道。俺は今日の出来事を振り返っていた。


 佐藤に無理やり手首を掴まれていた優里。"本物"を見つけたい優里。彼女の一つ一つの行動がなんとなく、俺の青春を歪めている気がする。


 夜の街は静かだ。街灯が道を照らしていて、遠くで犬の鳴き声が聞こえる。住宅街を歩いていると、時々車が通り過ぎていく。


 優里の「本物が欲しい」という言葉が、頭から離れない。あれは、一体何を意味していたんだろう。偽の恋人関係じゃなくて、本当の恋人が欲しい、ということだろうか。


 そして、優里の部屋での出来事。あの距離の近さ。あの潤んだ瞳。あの言葉。


 俺は、頭を振って考えを払拭する。今は、そんなことを考えている場合じゃない。


「おい、お前だよな? 八杉裕一くんてのは」


 高圧的で明らかに敵意を含んだ声が聞こえた。それは佐藤の声ではなく、それよりもっと"こういうこと"に手馴れている声だ。低くて、威圧的で、そして冷たい声。――つまり、佐藤の手先と言ったところだな。


 俺がゆっくりと振り向くと、そこには三人の明らかな不良がいた。その三人の敵視は全部俺に向けられている。


 三人とも、身長は180センチ以上ある。体格もがっしりしていて、明らかに喧嘩慣れしている。髪は金髪や茶色に染めていて、ピアスをつけている。服装も、チンピラのような格好だ。そして、年齢は二十代前半くらいだろうか。明らかに高校生ではない。


 ……全く、こういうのに巻き込まれるのも嫌なんだよな。佐藤、外部の人間まで使ってきたのか。


「あなた達、誰ですか? もしかして佐藤の下っ端ですか?」


 俺の言葉に真ん中にいたリーダーのような人間が舌打ちをする。金髪のリーダーの男は俺に歩み寄り、目と鼻の先まで挑発するように口を開く。その息は、タバコ臭い。


「俺は佐藤くんのお友達でね。佐藤くんの彼女が君から寝盗られた、って聞いたからさ。ちょっとお話しようかなと」


 その瞬間、奴の両隣にいた男二人が俺に襲いかかる。それはおそらく俺を大人しくするための先制攻撃と言ったところか。


 二人の男が、同時に俺に向かって拳を振り下ろす。その動きは、素人ではない。明らかに喧嘩慣れしている。


「――ッ!?」


 殴りかかって来る二人の男の攻撃を避けて、俺はすぐさま不良達から距離を取った。空手を習っていたとはいえ、護身術として使えるのはラッキーだったな。てかそれより、一対三は反則だろ。しかも、相手は大人だ。


 そんなことを思いながら、俺は守りの体制に入った。両手を上げて、相手の動きを見る。


 面倒事は増やさない主義だが、こうなってしまえば増やす以外手段はない。リーダーのような金髪男が走って迫る。その速度は、思ったよりも速い。以前、俺は守りの体制で立ち向かうしかない。


 ――その瞬間だった。謎の人影が颯爽と現れる。そして、その人影は巧みな身のこなしで、金髪の男のこめかみに飛び蹴りを入れた。


 その動きは、まるで映画のワンシーンのようだった。完璧なフォーム、完璧なタイミング、完璧な威力。


 もちろん、急所に入った金髪の男は住宅街の壁にぶつかりダウン。「ぐはっ」という声を上げて、地面に倒れる。


 咄嗟に俺は視線を人影に向けた。


「銀咲さん!?」


 そこに居たのは、動揺も表情も一切していない銀咲明日香がいた。銀髪が月明かりに照らされて、どこか神々しい。その表情は、どこまでも冷静で、そして美しい。


 なんで、こんな所に……。


「とりま、助かった。銀咲さん」


 俺は、銀咲に言う。


「たまたま私はここを通りかかっただけよ」


 銀咲は、素っ気なく答える。でも、その表情は、少しだけ安心したような表情だ。


「お前それ本当か?」


 俺は、疑いの目を向ける。こんな夜遅くに、こんな住宅街を通りかかるなんて、偶然にしては出来すぎている。


「――本当よ。そして、たまたま貴方が襲われていたから助けた。それだけ」


 銀咲は、少しだけ顔を赤らめる。その仕草が、どこか可愛らしい。


「今はそういうことにしてやるよ」


 俺は、小さく笑う。


 残ったのは不良の二人。リーダーのような男をノックアウトされて、明らかに動揺している。二人とも、銀咲を警戒するように見つめている。


 銀咲明日香、俺もそこまで彼女のことについては知らないが、ここまで身体能力が高いとは思わなかった。あの飛び蹴りは、素人のものじゃない。明らかに訓練を受けている。


 俺を襲ってきた不良は明らかに外部の人間。つまり、学生ではない――大人だ。佐藤はそこまでして、どうしても優里を手にしたいらしいな。


「来るよ」


 銀咲が、小さく呟く。その声は、どこまでも冷静だ。


「ああ」


 俺は、構えを取る。


 不良の二人が瞬時に迫る。一人は俺に、もう一人は銀咲に向かってくる。


 だが、俺はそれを空手で得た動き方と戦い方で一人を制圧した。相手の拳をかわして、カウンターで腹に拳を入れる。「ぐはっ」という声を上げて、男は膝をつく。そして、首筋にチョップを入れて、ノックアウト。


 そして、銀咲はというと明らかに戦いに慣れた動きで最後の一人を圧倒していた。相手の攻撃を華麗にかわして、カウンターで蹴りを入れる。その動きは、まるでダンスのように美しい。


 そして、トドメの飛び蹴りを入れてノックアウトさせた。男は、壁にぶつかって、地面に倒れる。


 俺と銀咲は、息を整えながら、倒れた三人を見る。


「はぁ、面倒事増えちまったな……これじゃ姉に怒られそうだ」


 俺は、小さく息を吐く。姉は、俺が喧嘩したと知ったら、絶対に怒るだろう。


「ふふ、それなら私も共犯ね。――まぁでもちゃんと"アッチが襲ってきた"のは証拠として撮ってたから安心して」


 銀咲は、スマホを取り出して、俺に見せる。画面には、不良たちが俺に襲いかかる動画が映っている。


「お、おう」


 こいつ相変わらず手際がいいな。なんというか慣れてるな。銀咲とは少し一目置いた方が良さそうだ。四皇の中で明らかに別格の存在だ。


 そして、銀咲は慣れた手つきで携帯を取り出し、警察に電話した。


「はい、警察ですか? 今、○○町の住宅街で、三人の男に襲われました。こちらで制圧しましたが、来ていただけますか?」


 銀咲の声は、どこまでも冷静だ。その口調は、まるで日常茶飯事のようだ。


 倒れた男たちを壁際に寄せて、俺と銀咲はソイツらを見ながら、警察を待った。そして、俺はその待ち時間を利用して、どうしてタイミング良く俺の助けに入れたのかを聞いた。


「――付けていたから。万が一の為にね。佐藤が魔が差して手を挙げないか不安だったし、それで優里と……貴方が傷つくのは見たくなかったから」


 銀咲は照れたのか俺から顔を逸らして言う。その頬は、少し赤く染まっている。


「付けてたってことは……お前四時間ぐらいずっと監視してた、ってことか!? 外で!?」


 俺は、驚いて尋ねる。優里を家まで送って、優里の家で過ごして、それから帰ってくるまで。その間、ずっと銀咲は外で待っていたということか。


「ええ、さすがに中の様子までは見れなかったけれど、ずっと張り込んでいたわ」


 銀咲は、素っ気なく答える。でも、その表情は、少しだけ照れくさそうだ。


「お、お前……ありがとうな。本当に、助かった」


 俺は、心から感謝を込めて言う。もし銀咲がいなかったら、俺は確実にボコボコにされていただろう。


「別に、貴方のためじゃないわ。優里を守るために、貴方も守っただけよ」


 銀咲は、ツンとした口調で言う。でも、その表情は、少しだけ嬉しそうだ。


「それでも、ありがとう。銀咲さん」


 俺は、もう一度言う。


 銀咲は、しばらく俺を見つめた後、小さく微笑む。


「……どういたしまして」


 その笑顔は、どこまでも優しくて、美しい。月明かりに照らされた銀咲の横顔は、まるで絵画のようだった。


 俺は、少しだけドキッとする。でも、すぐに気持ちを落ち着かせる。


 いや、ドキッとしてない。ただ、銀咲の笑顔が綺麗だっただけだ。


 しばらくして、警察が到着した。俺と銀咲は、事情を説明して、動画を見せる。警察は、倒れた三人を連行していく。


「お二人とも、大丈夫ですか? 怪我はありませんか?」


 警察官が、心配そうに尋ねる。


「はい、大丈夫です」


 俺は、答える。


「わかりました。また何かあったら、すぐに連絡してください」


 警察官は、そう言って去っていく。


 俺と銀咲は、二人きりになる。


「じゃあ、私はこれで」


 銀咲が、去ろうとする。


「待って。家まで送るよ」


 俺は、銀咲を引き止める。


「大丈夫よ。私は一人でも平気だから」


「いや、さっき俺を守ってくれたんだから、今度は俺が守る番だ」


 俺の言葉に、銀咲は少しだけ驚いたような表情を浮かべる。


「……そう。じゃあ、お願いするわ」


 銀咲は、小さく微笑む。


 俺たちは、並んで歩き始める。


 夜の街は、静かだ。二人の足音だけが、響いている。


「ねぇ、銀咲さん」


「何?」


「さっきの飛び蹴り、すごかったな。どこで習ったんだ?」


 俺の質問に、銀咲は少しだけ照れくさそうに答える。


「昔、護身術として習ってたの。女の子だから、自分の身は自分で守れるようにって」


「そっか。でも、あれは護身術のレベルじゃないぞ。完全にプロの動きだった」


 俺の言葉に、銀咲は少しだけ嬉しそうに微笑む。


「ありがとう」


 その笑顔を見て、俺は少しだけ胸が温かくなる。


 そして、俺たちは銀咲の家に到着した。


「じゃあ、ここで」


「ああ、気をつけて」


 俺は、銀咲に言う。


 銀咲は、少しの間俺を見つめた後、小さく微笑む。


「八杉くん、本当にありがとう。今日は、貴方と一緒に戦えて……楽しかったわ」


 その言葉は、どこまでも優しい。


「なんだその言い方……。まぁ、俺も、銀咲さんと一緒で良かった」


 俺は、素直に答える。


 銀咲は、少しだけ頬を赤らめて、家の中に入っていく。


 その背中を見送りながら、俺は小さく息を吐いた。


 今日は、色々なことがあった。


 優里の「本物が欲しい」という言葉。


 優里の部屋での出来事。


 不良たちに襲われたこと。


 そして、銀咲に助けられたこと。


 銀咲との共闘。


 銀咲の笑顔。


 その全てが、俺の心に残っている。


 でも、これは恋愛感情じゃない。


 ただ、友達として大切に思っているだけだ。


 俺はそう自分に言い聞かせながら、家に向かって歩いた。


 でも、心の奥底では、少しだけ揺らいでいる自分がいた。


 その事実に、俺はまだ気づかないふりをしていた。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

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