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影の創設者

 希望の光にもレジスタンスにも、古い文書に必ず記される名がある。


《エラン》


 だが、その名を知る者は極めて少ない。


 表向き、希望の光は数多の民衆を救う“精神教団”として広まった。

 一方、レジスタンスは政府の嘘と暴力に抗う“地下の反逆者”として恐れられた。


 しかし両者の根は同じ。

 どちらを語るにも、消えた勇者エメトの影を避けて通ることはできない。


 エメトは三代目勇者として称賛されていたが、ある日を境に全記録から抹消された。

 魔王の正体——政府が作り出した偽装兵器であること——を知り、その証拠を奪って逃走したためだ。


 その後、エメトは姿を消し、《エラン》という偽名を名乗った。


 彼は逃亡者ではなく、観測者になった。

 政府の監視網をかいくぐりながら、裏社会や孤児院、流民の村を転々とし、歪んだ世界の“記録”を集め続けた。


 旅の途中で出会ったのがセナ——

 国民番号のない売春婦であり、焼き払われた“二代目勇者の偽の故郷”の唯一の生き残りだった。


 二人は名を捨て、過去を捨て、新しい思想を作り始めた。


《光は、真実の象徴

 希望は、隠された歴史を継ぐ者の証》


 この思想が、後の《希望の光》の教義の始まりである。


 しかし彼らは同時に知っていた。

 真実を正面から掲げれば、即座に政府に潰されると。


 だから宗教を“表の顔”にした。

 その内側に《真実を継ぐ地下組織》を埋め込んだ。


 本来、希望の光とレジスタンスは“同じ根から生まれた双子”だったのだ。

 後に組織が大きくなるにつれ、互いに対立する演劇を演じる必要が出てきた。

 信者の目を欺き、政府の疑いをそらすために。


 こうして両者の関係は、表向きは敵対しながら、裏では秘密裏に連携する奇妙な形となった。


 すべての始まりは、影の創設者エラン。

 そして、その正体が三代目勇者エメトであることを知る者は——いまでも一握りしかいない。



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