幸子48歳、異世界転生したら出産中でした!?
自分の出産で感じた事や体験談、周りやテレビなどで聞いた体験談を元に書いてみました。連載版を書こうか検討中。
注意⚠️幸子48歳。口悪いです。不快にしたらゴメンナサイ。
⬇連載版はじめました。ヨーロッパ風から和風に変更し、異世界の人物名も変更しました。
【連載版】幸子48歳、異世界転生したら出産中でした!?~後妻だったので産んだ子も連れ子もまとめて可愛がります - カクヨム
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あ、やばい。こりゃ私、死んじゃうかも。
妙に冷静にそう思いながら、私の身体は宙へと吹っ飛ばされた。
私、花村 幸子48歳。忙しく働く娘の代わりに保育園へお迎えに行った帰り道。孫のコウタと手を繋いで歩いていると目の前にあった坂から、ゆっくりとベビーカーが下ってくるのが見えた。
違和感に思わず眉をひそめる。ベビーカーを押してる人が居ない。そしてベビーカーの中に赤ちゃんは⋯⋯居る!?
これはまずいと思った時、横道からベビーカーが行ってしまうであろう下の道へと大型のトラックがやって来るのが見えた。
反射的にコウタの手を振り払うと走り出した。学生時代は陸上部で走りは得意だったはずなのに、もう何年走ってないかも思い出せない身体はひどく重く、思ったように走れない。
それでも必死に足を動かし、近ずいた事で見えてきたトラックの運転席には、あろう事かスマホに夢中になりベビーカーどころか、まともに前方さえ見ていないおっさんが居た。
その時、坂の上から悲鳴が聞こえた。ちらりとそちらを見るとベビーカーが居たであろう坂の上に若い女性。坂を下るベビーカーを見つけ悲鳴をあげたようだ。
私が最初に気付いた時はゆっくりだったベビーカーは、坂により速度を速め今はかなりのスピードが出ていた。
お母さん! 赤ちゃんから目を離しちゃダメだよ!
トラック運転手!! どでかい鉄の塊を動かしてる自覚をちゃんとしろ!
心の中で悪態をつきながら、やっとベビーカーに辿り着き押し退けた瞬間、私の身体はノーブレーキの鉄の塊に吹っ飛ばされた。
「────ちゃんっ! おばあちゃんっ!」
コウタが、私を呼ぶ声が聞こる。泣きながらコチラに来ようとしているが、見知らぬ中年女性に引き止められいた。
どなたか存じませんが、孫を止めてくれてありがとうございます。
「ごめんなさい⋯⋯っ! もうすぐ救急車がきます。娘を助けて下さりありがとうございましたっ」
いつの間にか傍に来てた、先程坂の上で悲鳴をあげた女性。やはり赤ちゃんのお母さんだったようで、泣きながら私へお礼と謝罪を何度も繰り返していた。
大丈夫だよ。と言いたいのに全身が痛み、声も出せない。だけどベビーカーがどうなったのか気になり、視線を動かすとそれに気付いたコウタが教えてくれる。
「大丈夫。赤ちゃんなら、おばあちゃんが助けたから元気だよ!」
それを聞いた女性が抱いていた赤ちゃんを私に見せてくれた。そこには泣いている小さな赤ちゃん。
無事だったんだ⋯⋯よかったぁ。
「俺は悪くない! いきなりこのオバサンが飛び出してきたんだよ!!」
ほっとしたのも束の間、不愉快な喧しい声が聞こえてきた。どうやら私を轢いたトラック運転手らしい。
おいコラ、おっさん。あんたのながらスマホが大問題だし、そもそもこの道は通学路で速度制限がかかってるのに、明らかにスピード違反でしょうがっ!!
と、文句を言いたかったのに相変わらず身体は動かず、さらに視界が霞んできた。
(やばい⋯⋯っ)と思っていると周囲の音までが、まるで水中に入った時のように聞こえにくくなる。
そして、ブツンと突然切られたテレビのように、私の意識は途絶えた。
─────⋯⋯
──────⋯⋯
周囲に人の気配⋯⋯内容は分からないが話す声が聞こえる。
ズキンズキンと身体が痛む。特に腰! お腹を含む腰周りがもの凄く痛い。ぎっくり腰⋯⋯否、コレは出産した時並に痛い!
よく出産の痛さの例えで「ダンプカーに轢かれた痛み」と聞くけど、まさにその通りだったようだ。いや、ダンプじゃなくて大型トラックだったけど。
とてつもなかった痛みが急に和らいできた。もしかして、ここ病院? 痛み止めを使ってくれたのかな。と思いながら痛みのあまりきつく瞑っていた瞼を開いた。
「⋯⋯え?」
そこには思わぬ光景が広がっていた。
無機質な病院に居るかと思ったのに、豪華な···⋯ここはスイートルーム? と思うような部屋。
更に驚くのは目の前のお医者さんらしき女性の髪が鮮やかな水色だった。え、なにコスプレ??
とも一瞬思ったがぶっ飛んだ髪色でもコスプレのような不自然に人工的に作られたような違和感がなく、顔は日本人のようなのっぺりとした顔じゃなくて、目の色は緑色だった。
唖然としていると水色の髪の女性が私に向かって言った。
「ミランダ様、陣痛がひいたみたいですね。あともう少しです、赤ちゃんと一緒に頑張りましょう」
ミランダ? 陣痛? 赤ちゃん??
彼女の言ってることが何一つ理解出来ず混乱する。すると今度は頭に激痛がはしったのと同時に一気に私のものでは無い記憶が流れ込み、理解した。
わたし···⋯いえ、わたくしの名前はミランダ・ブリュイエール。
このブリュイエール家の公爵夫人だ。そしてミランダは、まさかの出産中!?
車に轢かれるのって本当にお産の痛みに似てるのね。なーんて思ってたら、まさかの本当に出産中だった⋯⋯
「あっ⋯⋯くる。いたいっ、痛いーーー!!」
再び襲ってきた陣痛に思考が途絶えた。激痛のあまり呼吸が乱れると私をみた水色髪の女医さんに「息をちゃんと吸ってください」と注意されてしまった。
ミランダは初産だが、幸子としてはある出産経験! もう20年近くも古いものだが、出産時の記憶を引っ張り出す。出産中に助産師さんに言われた事······確か出産の時ってお母さんがちゃんと呼吸をしないと、赤ちゃんも苦しくなっちゃうんだっけ? それはマズイと、息をしっかり吸い大きく吐きだした。
「そう、上手です!」
褒められた。そりゃあ5人も産んでますからねっ! と返したいが口に出せないので心の中でドヤる。そしてまた陣痛の波が引いた。
陣痛が落ちついて、もういきみたい感じがするんだけどなぁ。なんて思っていると「次の陣痛が来たらいきんでみましょう」と告げられた。
その台詞、待ってました! どうりで凄い痛いと思ったら、お産はクライマックスだったらしい。良かったー! お産っていきみ逃しが辛いのよね。ちゃっちゃと産んでやるから次の陣痛よ、さあこい!!
またじわりと痛みがきたと思うと、さあこい! とか生意気な口きいてスミマセンでしたっ。と謝りたくなるよう、ハンマーで腰を殴られたみたいな激痛に襲われた。
「んーーーーっ!!」
脚を開き、踵をベットに押しつける。目を開き口を閉じて顎をひくと、下半身に力を込めた。手にも力を入れたかったが幸子が経験した分娩台とは違い普通のベット(豪華だけど)の為にグリップがなく、仕方なくシーツを掴んだ。
ハァハァ、ふぅー。
また波が引いたので、力を抜きしっかり呼吸をする。
「良いですよ! 先程までは緊張され呼吸が乱れていたので心配でしたが、今はとても上手に出来てます」
初産の18歳の女の子と、5人も出産経験がある48歳のアラフィフを比べるのは酷でしょ。などとまた口には出せない事を考えながら、何度かいきみを繰り返すと···⋯
「おぎゃーー、おぎゃーーー!」
元気な産声が聞こえた。
「おめでとうございます。元気なお嬢様ですよ」
そう言われ渡されたのは、小さな赤ちゃん。
ふにゃふにゃだー! 新生児だーー! かっわいいーーー!
新生児を抱いたのも久しぶりだ。コウタが最後だから···⋯5年ぶり?
コウタの事を考えたせいか、私自身···⋯花村 幸子の事を考えた。
ココは明らかに、日本じゃない。地球じゃない。
たぶん幸子はトラックに轢かれて死んじゃったんだ。
どうやら私は異世界に転生してしまったらしい。
いきなり死んでしまって心残りがないわけじゃない。孫までいる私だけど末っ子はまだ高校生。せめて社会人になるまでは見守りたかった。
でも死んでしまった事は悲しいけど、あの時ベビーカーの赤ちゃんを守れて良かった。
腕の中の我が子を見る。新生児特有の大きな瞳は海のように煌めく深い青色をしていた。
ついさっき産んだばかりなのに、すでに可愛くてしょうがない。この子を喪うなんて···⋯想像もしたくない。
そんな思いをあの、赤ちゃんの若いお母さんにさせなくて本当に良かった。
私は腕の中の赤ちゃんを、ぎゅっと抱きしめた。
──······それから、3日後。
「······ううう、痛い」
私はまたも痛みに苦しんでいた。産後のため、全身だるい。腰も痛い。腹も痛い。股も痛い。
でも、今いちばん痛いのは···⋯おっぱい!
胸がもの凄い痛いのだ。母乳が上手く出せずカッチカチ。何もしなくてもズキズキ痛み、動けば動いた振動だけで痛い。
産後で疲労困憊。3時間ごとの授乳で寝不足なのに、胸が痛すぎて昨夜は殆ど寝ることが出来なかった。
ただでさえ、そんな酷い状況なのに······。私は今、出産を手伝ってくれた水色髪の女医に胸を揉まれていた。
いや、揉むなんてもんじゃない。雑巾でもしぼってんのか? と思うような動きで手を使い、私の胸を圧迫していた。
「申し訳ございません。痛いとは思いますが、しこりを取らないと乳腺炎になってしまいます」
「わかってるわ。我慢するから思いっきりやってちょうだいっ!」
私は涙目で頷き、母乳マッサージを続けてもらった。もう止めてぇ! と叫び、女医の手を払い除けたくなる衝動を抑え耐えながら、幸子の産後の事を思い出す。
5回も出産した私だけど、産後の授乳は毎回大変だった。特に第1子の時は、出産が死ぬ程痛いって事は覚悟できてた。······いや予想以上でまじで死ぬ程痛かったけれども。
だがそんな死ぬ程痛い出産の後、試練はまだ残ってた。そうまさに今の状況、産後にこんなにおっぱいが痛くなるなんて聞いてないんですけど!?
と泣いた。陣痛でも泣きはしなかったのにマジで泣いた。
そして幸子の時は恐れていた乳腺炎になってしまいインフルエンザに罹った?と勘違いするような高熱に悪寒、体の痛みがでて大変な目にあったのだった。
だから激痛マッサージが辛くとも、ミランダは乳腺炎を回避すべく必死に我慢します!
「ミランダ様は凄いですね。出産も最初はどうなるか心配でしたが、いざ産む頃になるととても上手くできてましたし、このマッサージも我慢して下さりありがとうございます」
出産の最初はどうなるか······。幸子がミランダになる前の、女医との会話を回想する。
「痛い、痛いっ、いったーーーーい!!」
「ミランダ様! 落ち着いて下さいませ。緊張して身体に力が入ると、お産の進みが悪くなってしまいます」
「そんな事言われても痛いんだから仕方ないじゃない!」
「息をちゃんと吐いて下さいませ。呼吸をちゃんとしないとお腹の中の赤ちゃんに酸素が行かず、赤ちゃんも苦しくなってしまいます」
「さっきからゴチャゴチャうっさいわね! こっちは死ぬ程痛いのに、赤子になんて構ってられないわよ!」
「ですが······っ」
「うるさーーーい!! そんなに偉そうな事言うならお前が代わりにやってみなさいよ! さぞや上手に産んでいただけるんでしょうね!?」
バリーンッ!!
······あああああ。とんでもない記憶を思い出し、頭を抱えたくなった。ちなみに最後のバリーン! は怒り狂ったミランダが花瓶を投げつけた音だ。
いくら死ぬ程痛い陣痛にパニックになってたといえど花瓶を投げるなんてやべー奴だわ。まぁ、暴言は······言い過ぎだったとは思うけど、幸子の時にも余裕を無くし助産師さんに失礼な態度をとってしまい、出産後に我に返って謝罪した記憶がある。
あまりの痛さに理性を失う。出産あるあるよね。
それでも助産師さんには遠慮があった分マシだった。立ち会いしてた旦那に対してなんて······んんん?
そこである事に気づいた。
ミランダの旦那さんは、どこにいるの??
ブリュイエール家の公爵夫人というくらいだからシングルマザーではない、夫である公爵が居るはず。そいつはどこに居るのよ!?
出産は突然だ。早産でなくても正産期は37週〜41週と意外と長く予定日ぴったりに産まれるのは5%くらいらしい。
幸子の時だって出産予定日に合わせて旦那は有休を取ってたのに、第5子の時は10日も早く産まれてしまった為、立ち会い出来なかったどころか旦那が赤ちゃんとの対面が出産翌日になってしまう事があった。
だけど、今日はもう······産後3日なんですけどっ!?
────···コンコン
私の思考を遮るようにノックがされたあと、返事をする前にドアが開けられた。
そこに居たのは長身の、歳は30代くらいの切れ長な青色の瞳が印象的な男性だった。この青色を、私は知っている──。
「公爵様、おかえりなさいませ」
「······ああ」
女医が男性────ミランダの夫であるブリュイエール公爵に挨拶をすると、返事をし私たちを軽く見たあと、何かを探すように視線を動かした。
え、何その態度。
妻が出産を終え、はじめての対面なのに労いの言葉もないわけ??
そんな事を考えていた私をよそに女医が、私の娘をベビーベッドから抱き上げて公爵の元へと連れていった。
赤ちゃんを見据えると公爵は目を細める。同じ青色のはずなのに、赤ちゃんは太陽を反射させる煌めく海の色のように見えるのに、公爵のものは煌めきがなく暗く見えた。
「これが······産まれた子か」
「とても元気で可愛らしいお嬢様ですよ。抱いてあげて下さいませ」
にこやかに女医が赤ちゃんを差し出したが、公爵の腕は動くことはなく代わりに大きく息を吐いた。
「女······、だったのか。残念だ」
·····················は??
公爵は娘から目線をはずし、今度は私をその青い瞳で捕える。
「女など跡継ぎにも出来ず、役に立たない。次はちゃんと男子を産め」
はぁぁぁぁぁぁぁん!?
更なる非道な発言に反論したかったが、あまりの事に唖然とし言葉がでなかった。
言いたいことは終わったのか、公爵は部屋を出て行こうすると「······あのっ!」と、女医が公爵へ声をかけた。
「なんだ」
「えっと······」
じろりと鋭い目で見られたせいか、言葉を詰まらせる。
「用がないなら行くぞ、仕事がある」
呼び止められた事にイラついた様子で公爵が背を向けると、女医は手をきつく握り意を決したように公爵の背中へ、言葉を続けた。
「名前······っ! お名前を、教えて下さいませ」
「······は?」
「お嬢様のお名前です。ブリュイエール家では当主である公爵様がお子様の名前を決めると聞きました。赤ちゃんやお嬢様でなく、お名前を呼んで差し上げたいのです!」
緊張のせいか、早口気味に女医が一気に言ったが、公爵は私たちに背を向けたまま長い脚をドアへと進めた。ドアを開けこちらを一瞥する。
「女の名前なんて、どうでもいい。名前を呼びたいなら······勝手に決めろ」
バタンっ! と、閉められたドアの音が妙に大きく聞こえた。
5人目を出産した時、もう私は30代のおばさんだった。けど、何歳になっても何度産んでも、出産は毎回不安で怖かった。
特に第5子の時は第1子〜4子の時は付き添ってくれた旦那が居なくて······、ちょっと頼りないと思ってた旦那だったのに傍に居てくれない事がとても心細かった。
ミランダは、まだ18歳、しかも初めての出産。
幸子以上に心細かった事だろう。
ミランダになってしまった直後、頭に流れてきた記憶。記憶があっても、これまでミランダに起きた事がどこか他人事のように思えてた。
だが公爵の冷たい態度を目の当たりにし、出産中の女医への酷い態度も寂しさや不安の現れだったのかもしれない。そう思うと······
その時女医がハンカチを渡してきた。
最初意味が解らなかったが、彼女の心配そうな視線で自分が泣いている事に気付いた。
「······うぅ」
「ミランダ様······」
涙する私の背中を、女医が撫でてくれる。おそらく夫の冷たい態度に傷ついて泣いてると思っているのだろう。
でも私の心情は少し違っていた。
ミランダと、幸子の子供達の年齢は近い。
その為か公爵の酷い態度が、まるで愛娘が嫁ぎ先で粗雑なあつかいを受けたような感覚になってしまい泣けてしまったのだ。
私からしたらまだまだ子供な年齢、15歳という若さで公爵家に嫁いできたミランダ。
その夫は倍以上の年齢だったが、ミランダは公爵夫人として夫を支えようとしていた。······最初は。
公爵領の仕事を覚えようと勉強し、公爵にその事で質問をした時言われたのだ。
「貴女の仕事は跡継ぎを産むことだ。金なら好きに使って贅沢したっていい。だが邪魔をしないでくれ」
······ふざけんじゃねぇぇぇぇ!!
私は心の中でちゃぶ台をひっくり返した。
The昭和の男! 女を子供を産む道具としか思ってない発言だわ。くっそムカつくーーーっ!!
若いピチピチのお嬢さんと結婚できたのに、大事にしないどころか追い詰めるとは何事だー!
そして何年もそのような扱いを公爵家で受けたせいでミランダは······。
例えば先程公爵に言われた言葉
『女など跡継ぎにも出来ず、役に立たない。次はちゃんと男子を産め』
これまた女を馬鹿にした発言で私は怒だったけど、おそらく幸子が入る前のミランダだったら······、
跡継ぎを産むという唯一の仕事を失敗してしまった。······なんでそんなこともできないんだろ。
そう嘆き悲しんでいた事だろう。
······完全に洗脳されてるぅ。
子供の性別なんて選べるものじゃないのよ? ミランダが悪い訳がないじゃない!
そもそも赤ちゃんの性別なんて受精の時にもう決まるんだから、偉そうに言うなら公爵がY染色体の精子だけだしてみろよ!!
私の中で公爵へのクレームが止まりそうにない。
出来るわけが無い事だとは解っている。
けど公爵家で理不尽な扱いを受け落ち込む過去ほミランダの傍に行き、「貴女は悪くない!」と、慰めてあげたい気持ちになった。
「─────決めた」
私は涙を拭き立ち上がると、ベットにいる愛する娘を抱いた。
過去にミランダが言われた事。
『金なら好きに使って贅沢したっていい』
言ったわね? これから好きにさせてもらうわ。
さっき公爵に言われた事。
『名前を呼びたいなら勝手に決めろ』
───ええ、決めたわよ。
「アリス。貴女の名前は、アリスよ」
アニスに微笑みかける。アリス······確かラテン語で、愛すべきという意味だ。父親からの愛は貰えないかもしれないけど、その分私が愛するから······
「改めまして、私がお母様よ。アリスの事は、絶対に私が守るからね」
私は決意をアリスに伝え、これからの事を考えたのだった。
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