三十五話 三つ巴の攻防4
また場面は変わり廃工場外
「どおした、さっきまでの攻めの姿勢はどこにいった」
「や、やかましい」
何かを投げる仕草を普通に見せるということは、見えない飛び道具が能力ということだろう
投げ飛ばした何かも、真也は鎌で簡単に防ぐ
「見えない筈なのに…」
「残念だったな、見えなくても投げるときの一つ一つのモーションでどこに投げるかが分かるんだよ」
「くっ………」
「今度はこっちの番だ」
大鎌を振り回しながら走り、相手を近づき大鎌を振りかざすが、大鎌が大振りなため簡単にかわされる
大振りで相手が離れたとこで真也は大鎌を投げつける
「くそっ、いきなり動きがよくなりやがって」
「ほら、もういっちょ!」
投げつけた鎌を消し、再び手元に戻して投げつける
「くそっ……こうなったら仕方がない!!」
一気に真也の方に切り返し、真也に近いて接近戦に持ち込む
「はっ、接近戦かよ、おもしれぇじゃん」
「見えない武器での接近戦だ」
「うおりゃぁぁぁ」
ぶんぶんと振り回し、真也には当たらないと腕を振り抜き飛び道具をとばす、そしてすぐに接近戦に戻す、二つのスタイルを切り替える
「ははは、何だよ、そっちのスタイルの方があってるじゃないのか」
「このスタイルが霧崎に戦いに相性抜群なのさ」
大振りの鎌をかわし、その隙をつくように素早く切り裂こうとするが、それを鎌を防ぎ、一旦離れて飛び道具に切り替える
かわしては攻撃しては相手がかわすことの繰り返しで、どちらも退かない一進一退の攻防、そしてその攻防は30分続き、双方の体力も限界だった
「はぁ、はぁ、はぁ」
「なかなかやるじゃん、なんやかんや言っておきながらも実はこっち向きじゃないのか」
「かもしれんな………」
お互い、一旦攻撃の手を休め息を整える
「そろそろ体力の限界だ、悪いが次で決めさせてもらう」
「それはこっちの台詞だ、行くぞ霧崎!!」
同時に走り出した二人、相手は真也をどう仕留めるかを考えていた
(あの鎌をかわし、霧崎が鎌を構え直すまでに初撃をあたえれば、しかしそうするにはもっとスピードが………ま、いまさら考えてもスピードが速くなるわけないか)
「うおぉぉぉ!!」
「でりゃゃゃ!!」
自分の鎌の間合いに入った真也は鎌を振り抜いた
「くうぅぅぅ……」
体を捻り真也が振り抜いた鎌を鼻先が当たるか当たらないかのギリギリでかわした
(もらった!!)
振り抜いてしまった真也の懐に潜り込み、真也めがけて腕を突き出した
(私の勝ちだ!!)
誰が見ても完全に真也の負けに見えた
しかし、相手はギリギリのところで動きがピタリと止まってしまった
時が止まったかのように………
「どうやら俺の方が早かったみたいだな」
「バカな……あの角度で振り抜いても影には刺さらない筈なのに」
「確かに、でも忘れたのか?鎌は俺の意思で戻すことが出来るんだ」
つまりは相手の体力が限界に達すれば、相手は必ず最後の一撃にかけてくる
だからそこに狙いを絞ったというわけだ
鎌を一気に振り抜けば、それをかわし攻撃してくる、そこで鎌を一旦消して、再び鎌を右手に出す、あらかじめ下にやっていたから、影に刺す距離はたかがしれている、鎌を股のしたを通して影に刺し込んだというわけだ
「さあて悪いけど気絶しといてもらうぜ」
ぐっと拳を握りしめる
「くっそおぉぉぉぉ!!」
廃工場に相手の叫び秋山や奥山に届いたかどうかはわからないが、とてつもない音量だったのは間違いないだろう
そして叫び声の後、叫び声の主は倒れた
「はぁはぁ、あれ?そう言えば………」
いまさら自分が倒した相手を見ながら真也はとあることに気付いた
流しても全然問題なく、今の状況で気にしてる場合じゃない程のもんだ
「コイツの名前何だったんだろ…………」