三十四話 三つ巴の攻防3
場面は変わって廃工場内
「…………」
「終わったな」
ぐったりする連に背を向け廃工場から出ようとした
「………てよ」
「ん?」
奥山は声のした方を向くと、そこにはふらふらでボロボロになりながらも立っている連がいた
「バカな麒麟を受けて立っているだと!?」
「はぁ、はぁ、はぁ、危ねぇ、氷槍・鎧してなきゃ殺られてたな」
連を覆っていた氷槍・鎧が砕け散っていた
「どういうことだ?」
「氷槍・鎧は魔力によるダメージを体中に生えている氷が変わりに受けるんだ、まあお前の麒麟が与えるダメージがデカすぎてかなりダメージもらっちまったけどな」
(ちっ、だから雷電掌波もきかなかったのかよ)
「さあて、現在の状況はどちらが有利かな?」
ニヤリと笑った連と対照的に、奥山は絶望的な顔をしていた
「くっ、疾風迅……」
「逃がすか、氷槍・囲!!」
連が両手を地面に着くと連と奥山を囲んで、氷の槍が飛び出し、廃工場の天井に突き刺さった
「これで逃げれないぜ」
「くっ、雷電掌波!!」
仕方なしに撃ってきた雷電も簡単にかわされている
「俺の勝ちだな奥山」
「は、その程度で勝った気になるなよ、お前は俺の疾風迅雷にはついていけないんだからな」
「どうかな?ともかぎらないぜ」
「今証明してやるよ、疾風迅雷!!」
一気に連との距離を詰めた奥山が電気を帯びた拳を連の顔面に叩き込んだのだが、その拳を綺麗に止め、氷づけにしていた
「な、何!?」
「ほらな♪」
ばっと相手を振り払い、一旦、連との距離を開ける
(そんなバカな、僕の疾風迅雷に反応出来るなんて………くっそ!!)
腰を低く落として、もう一度疾風迅雷で動き出す
「アイスニードル、落下バージョン!」
「くっ!!」
落ちてくる無数の氷の針が奥山の動きを制限させるが、一定の距離を走り抜けると瞬時に連の完璧に背後をとった
「今度こそもらった、雷電掌波!!!!」
「遅いぜ!!」
完璧に背後をとったはずの奥山だったが、撃ち込むと同時に連は奥山の腕を掴み、空中に投げ飛ばした。
そして全ての魔力を右腕に集中させると右手はデカくなり丸っきり虎をモチーフにしたようであった
「空中じゃ避けられねぇだろ」
ニヤリと笑った連は奥山に向かって走り出し、魔力を込めた右を奥山の土手っ腹に叩き込んだ
「うおりゃぁぁぁ!!」
「くっそぉぉぉぉ!!」
そのまま奥山をぶっ飛ばし、氷槍・囲に叩きつけられた奥山はぐったりとして、そのまま気絶した。
奥山の気絶と同時に連の魔力は切れ、自動的に物質憑依は解け、氷も解けていった
「たはぁー、後は任せたぜ秀」
大の字になって地面に寝転んだ連はゆっくりと目を閉じ、寝息をたてて寝始めていた