二十七話 気がかり
自宅に戻ると、拠点のニュースが取り上げられていて、睦月の球体のことや旋風刃、それに鳴雷月の雷のことなど、多くのことが取り上げられていた
そのニュースに母も姉も釘付けで、秀が出ていたことも知らなかったようだった
「母さんも姉さんも、そんなにテレビにベッタリしてたら目が悪くなるよ」
「でも秀、何もない場所から球体が降ってきたり竜巻や雷が落ちたらそらびっくりするでしょ」
「そうよ、逆に何でアンタはそんなに冷静なの?一山越えた所で起こってるのに」
二人の言う通りだ、何も無いところで竜巻が起こったり、雷が降ってきたりすることなど、一般人からすれば非日常もいいところで驚くのも無理ない
むしろ常日頃、非日常で過ごして来て、それが非日常から日常に変わってきといる自分の方がどうかしている
いきなり全然知らない世界に飛ばされ、そこで力を手に入れた………それだけではない
風が使えたり、あり得ないスピードで動けたり、他の人にあたっては、氷でいろいろな物や生き物を造形したり、火柱を起こしたりしたのを見てきたし
そこで、命の取り合いをしたりもしたし、一つの街を守るために戦ったてたくさん傷ついた
そういう自分にとっての日常が、今あきらかに非日常へとかしている
何かが何かがおかしくなっていた……秋山のせいではなく、急に出現したあの男のせいで
<ねえ秀>
「ん何だ?」
〈これからどうなるのかな?〉
「何だいきなり藪からに」
〈カードにも何も表示されないし、いきなり秋山がおかしくなるし、変な男は現れるわで、何かてんやわんやでさ〉
「俺も分からねぇ………けど何かがおかしいのは間違いないな」
ソファから立ち上がり、テレビには目もくれずに自分の部屋に戻っていった。
自分のベッドに寝転がり、天井を見上げる
「…………」
いつも通りの白い天井、いつもと変わりない面積
変わったのは自分だった
「…………」
何もすることがなくポケットから携帯取り出す。
不在着信が3件で泉と石月と真也からで、メールも同じ人物からで、事件のことだった、おそらくテレビで旋風刃を見てのことだろう
全員に大丈夫と三文字だけ入力して、一斉送信した
「…………」
まだ昼過ぎなのに、何もする気が起きない
間違いなく今日の事件が原因だろう
(一日を寝て過ごすのも悪くないな……)
布団を被り、目を閉じようとしたところで、部屋の外から母の声がする
「秀、昼御飯できたから降りてきなさい」
「ん〜わかった……」
生気のない返事をしながらも、自己主張が強いお腹なために、食卓に向かった
「…………」
「…………」
「…………」
何故か無言でもくもくと食べる三人
いつもだったらもっと母と姉が喋るはずなのだが、何故か今日は二人はとても静かでどこかそわそわしている
そして母は机のしたから何か姉に指示を出しているようだった
「ほらほら……」
なかなか動かない姉に母はしびれをきらしたのか箸の動きを止め、秀の方を向いた
「ねぇ秀、明日6月19日何の日だと思う?」
6月19日、6月19日と頭の中の記憶を巡らせると、一つの答えが出てきた
「ああ、そういや俺の誕生日か…………けどそれがどうかしたのか?」
「実は咲恵がね………」
「ちょ、ちょっと母さん!?」
「明日せっかくだから三人で出かけないかだってさ」
「へぇ、わざわざ気にかけてくれたんだ」
ニヤニヤしながら、姉を見る秀、姉は顔を真っ赤にしながら顔を伏せていた
「で、どうなの?明日行く行かない?」
「せっかく誘ってくれたし、家族三人で遠出するのも久しぶりだし行こうか」
秀の言葉に姉は小さくガッツポーズをしていた