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二十四話 隠し事

家に戻った後、いそいで服を脱いで止血をする



「くぅ〜かすり傷だけど出血してやがるな」



<量は出てないけど、止めるにこしたことないしね>




脇腹の血を止めて救急箱に入ってる包帯を巻いて、上に服を着てから洗面所を出る



「にしても夢集めと戦うとは思ってなかったぜ」



<だね、まあ結局肝心なところを聞き逃しけどね>



「肝心なところ?」



<何で秀達を異世界に飛ばすのかどうか>



「うーん………ただ単に夢を叶えるためとか?」



<秀の残念な頭に考え事させた私が悪かった>



「んだと、こらぁ!!」


<質問してないのは事実でしょ>



「………ごめんなさい」



<わかればよろしい>




わずか5秒で精霊に口でまけた秀だった






その日の夜、いつも通り夕食食べる三人



「ねぇ秀、ちょっとピッチャー取ってよ」




秀の右側にある、ピッチャーを取ろうと腕を伸ばした秀だが、かすった傷口が痛み、不自然な間をとる



「どうしたの秀?」



「……いや何でもないよ、それより母さん、ピッチャー取ってあげてよ」




何の問題もなくピッチャーを姉に渡す


ピッチャーを受けとるも疑いの目を秀に向けている


その目を見た秀は、とりあえず何かを言われる前に部屋に戻る





椅子に座って天井を見上げる



(今日もまたいろいろとあったな………)




ぐるぐるとキャスター付きの椅子を回し続ける



「………寝よう」




椅子から立ち上がり、ベッドに潜り込もうとした時、部屋がノックされ姉の声がする



「秀、入っていい?」



「どうぞ」




ガチャリとドアが開かれ姉が入ってきて、秀の前まで移動する



「横……いい?」



「どうぞお姫様」




秀の横にちょこんと座る



「んで何用かな?」



「えーと……ねぇ秀、やっぱり何か隠してるでしょ」



「一体何を?」



「最近よく怪我して帰ってくるから、何か危ないことをしてない?」



「してないよ」



「でも隠し事はしてるよね」



「人には一つや二つ隠し事があるよ」



「私が言ってるのはそうじゃないの………私が言ってるのはこういうことよ」




秀の左の脇腹の部分の服を巻くり上げ、脇腹を軽くはたいた



「ぐっ!!」




反射的に姉の手を払い、脇腹に手を当てる



「ほら、やっぱり隠してるじゃないの」



「これはただ転んだだけだよ」



「転んだだけじゃこんな包帯を巻いたりしないよ」



「ほんとに大丈夫だから気にしないで………」




平常な顔を見せようとするが傷口からは再び出血し始めていて、白い包帯をじわりと赤く染める



「ちょっと秀、血が!?」



「ちっ、また出血し始めたか……」



そう言ってベッドから立ち上がり洗面所に急ぐ



「姉さん悪いけど救急箱取ってきてくれないかな?」



「ちょ、ちょっと、病院にいかないの!?」



「この程度の傷口で医者の手を煩わせるわけにはいかないし、この程度の傷口なら大丈夫だから」




部屋を出て洗面所に入ってからすぐに姉が入って来て救急箱を洗濯機の上に置く


救急箱を確認してから秀は服を脱ぎ始める



「ちょ、ちょっと秀待ってよ///」



「何だよ、服着たままじゃやりずらいんだよ」



そう言って包帯を取り傷口をあらわにすると、姉はそれを見てあわてふためいて救急箱の中を、床に撒き散らしてしまう



「……姉さんはガーゼで傷口を押さえてて」



「う、うん///」




ガーゼを手に取り秀の傷口を押さえる、その顔は少し赤らめていた



「ほ、包帯、包帯はどこかな?」



「はい包帯」



「あ、ありがと」




適当な長さに切って、姉が押さえているガーゼを取ろうとしたが、姉は離そうとせずに話かけてくる



「ねぇ秀………」



「ん?なんだ?」






「私はこんなことしかできないけど、少しは私を頼ってよ」



「姉さん………」



「ねぇ秀………」




トロリとした瞳で秀を見つめながらも、しっかりとガーゼで止血をしてくれている



「……わかった、今度から姉さんを頼りにするよ」




それを聞いた姉は、沈めていた顔を上げ、にっこりと微笑んだ











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