二十三話 決着
「うわぁぁぁぁぁ!!」
吸い込まれた歪みから吐き出されるように戻って来ていた。
「いててて………戻ったのか?」
<大丈夫秀?>
「ああ大丈夫だ……てか戻ってきたのか」
ゆっくりと立ち上がろうとする時に、椿がかすめた腹部に痛みを感じる
「くっそ、やっぱりあそこで起こったことは夢じゃなかったのか」
<ていうかレインはどこに行ったんだろうね>
「ふん、ここにいるわ」
電柱柱に影にいたレインがフードなしの状態で出てきた
隠されていた顔はとても美形で赤紙のツンツンで、まさに美男子といえる顔だった
「ちっ、まだいやがったなか!?」
「落ち着け、もう戦うつもりはない」
「じゃあなんの用だよ」
「お前の質問に答えてやろうと思ってな」
「ん?俺が勝ったのか?」
「ばーか、お前が勝った訳ないだろ、引き分けにしといてやるよ」
「何か引っ掛かるけどまあいいか、質問できることには変わりないし」
質問できることになった秀は、レインに場所を変えようと言って、近くの公園まで場所を移した
「聞きたいことが山ほどあるんだけどいいか?」
「バカタレせめて二、三個にしろ、俺にも時間ってもんがあるんだ」
「はいはい、じゃあ質問1、俺達が持ってるこのカードは何なんだ?」
財布からカードを取りだし、レインに見せる
「そのカードのことだが、お前達はどうせ異世界に行くために必要な物としか思ってないようだが、そのカードつい最近開発された物で厳重に保管していた六枚なんだよ」
「そんな物が俺達六人に……………って俺達しか持ってないのかよ!!」
「そうだ、お前達六人だけだ」
まだ頭の整理が追いつかない秀だが、整理を後回しにして質問を続けた
「んじゃあ質問その2、俺達の担当だった人が外されたって言ったけど、つまりこの世界から異世界に行った人がいるってことか?」
「ああ、しかし、その質問の答えは上手く答えられないな」
「何故?」
「異世界に行った人数はお前達を含め、10人程度だからだ」
「な、何だって!?」
レインが言った10人程度を数える秀
自分達六人に真也、能力が使えるってことを考えて、秋山にその仲間の二人に泉の11人
レインが言ったことが本当のことなら異世界に行った10人程度が、全員北合地方から選ばれたのは偶然なのか?
「…………最後の質問だ、何故俺を襲った、それと襲ったのは俺だけだろうな?」
秀の最後の質問にレインは少し間を開けてからゆっくりとそして呟くように理由を話した
「…………親友だったからかな」
「え?」
「お前達の担当だった奴はな昔っからの親友でな、その親友が託した奴らがどれほどのものかを知りたかったんだ」
「託したって何だよ」
「カードって言ったろ、まあそのせいであいつは担当を外されたんだかな」
「そんなに担当とやらが大事なのかよ」
「俺が生きる世界で担当を外されるってことは死を表すのと同じだ」
「……意味わかんねぇよ」
「分からなくていいんだよ、俺達の生きる世界なんて分かってもらう方がおかしい」
「レイン………」
夕暮れのきれいな緋色をした空を見上げるレインはどこか寂しそうだった。
まるで今から巣立つような鳥のように
孤独だけど誰にも助けをもとめることもできない感じだった
「さて質問タイムは終わりだ」
「ああそうか最後って言ったな」
「ああだから帰れ、俺も忙しいんだよ」
「へいへい帰りますよ」
レインの方も見向きもせず公園を出た
それを確認したレインは秀に聞こえないように呟いた
「じゃあな、親友が託した希望よ」
「ん?…………」
<どうしたの?>
「今何か、とても大切なもの託されたような気が………」
公園の方を振り向くがレインのレインの姿はない
<何言ってるの秀?>
「聞かなかったことにしてくれ、気のせいだと思うしな」
<変な秀、あ、いつも変か>
「…………帰る」
<ほらほら拗ねないの>




