二十二話 天つ風・重
「に、二本の天つ風だと!?」
「絶空剣・剣舞!!」
「くっ、菊花!!」
レインはすかさず菊花を繰り出すが、手数とスピードでは相手にならない
「ぐっ…………」
「手数じゃあ勝負にならないぜ」
「驚いたな、二刀流が使えるとはな」
「俺も実際二刀流が使えるとは思ってなかったよ、けど実際に握ってみたら、しっくりくるから驚いたもんだ」
「まあお前の言った通り、勝負はこれからだな」
お互い構えて同時に走り出す
「壱の攻式・菊花・乱」
菊花を出すと同時に槍も出し、手数を増やして攻撃する
「まだ少ないぜ絶空剣・剣舞!!」
絶空剣・嵐とは違い、自らに風を纏いながら舞うように戦う秀は全ての槍を弾き、レインを切りつける
「くぅ………」
<決めるよ秀!!>
「おうともさ!!天破散牙撃!!」
風を纏い、韋駄天の速さで片肘と片膝ともう一方で二本の天つ風による空破撃を同時にレインに打ち込みレインを吹っ飛ばした
「ぐあぁぁぁぁ!!」
吹っ飛ばしたレインは後ろにある山にめり込んでからそのまま地面に落下していった
「くっそ、二刀流になったとたん激変しやがって、パワーもスピードも全然違うじゃねぇか」
「当たり前だろ、物質憑依をなめるなよ、一本でもかなり力が上がるんだ、二本になるってことはそれ相応の力が手にはいるんだよ、まあ維持するだけでもキツいけどな」
それを聞いたレインはすっと立ち上がり、再び槍を構える
「なるほどな、気に入ったぜ、天つ風・重には俺もそれ相応の技でいかなきゃやられちまうな」
そう言って、莫大な魔力を全身に纏う
「ははは、なんつー魔力だ、昔の俺だったらそれだけで気を失ってたな」
「今から放つ一撃に全てを込める」
「おもしれぇ、一発勝負ってか、いいねぇその勝負乗ったぜ、そのかわりに俺が勝ったらその時は俺に質問に答えてもらうぜ」
「ふ、いいだろ、真っ向勝負で小細工なしだ、さあ構えろ」
もうすでに構えているレインに対し、秀はレインをさかなでる構えをしていた
「お前ふざけてんのか!!」
「別にふざけてなんかないさ、この構えが今の俺の最大の構えさ」
「ふん、まあいい、後悔してもしらねぇからな…………伍の攻式・桜吹雪!!」
「……………」
秀とレインのどちらが勝負に勝ったかは実際のところ秀にもわかっていなかった
ただ、桜吹雪と秀の技がぶつかり合った途端、秀の意識はそこで途絶えていたからだった
