二十話 負けないために
〈おーい秀、時間だよ起きてよ秀〉
「起きてはいるんだが、布団の束縛から抜け出せねぇな」
〈ほらシャキッとしなさい〉
「領海」
〈字が違うよ……〉
「地の文にツッコむな」
のそりのそりとベッドから出た秀は、ジャージに着替えてから洗面所で必要最低限のことをした後、石月の家に向かった
―石月家―
石月の家に向かうと、すでに石月はすでに家の前にいた
「悪い待たしちゃったかな」
「いえいえ、私も今出たばかりだから」
「よっしゃ、行くか!!飛ばして行くからついてこいよ!!」
秀と石月は朝の清々しい空気の中を走った
「浅村君、なかなかとばしますね」
「魔力無しでこれぐらいのの速さを持続できるようにならないと」
「なるほど、私も気を抜いてたら置いてかれちゃう」
今の二人の速度は軽いランニング程度の速さではない
その速さで5㎞先まではしるのだから恐ろしい
―30分後―
「はぁ、はぁ、はぁ」
「お疲れ様、はいオレンジジュースです」
大の字になっている秀に投げて渡す
「ありがとう石月、てか凄いな、お前ぜんぜんへとへとになってないな」
「長距離のエースをなめないでね」
「ははは、そうだな、長距離のエースだもんな」
談笑をしつつ疲れた体に休息をいれる
「さてそろそろ帰るか」
「そうですね」
来た道を折り返し、歩きながら石月と二人で帰る
異世界に行くまでは考えられなかった光景だ
「そういえば特訓って一体何をやっているんですか?」
「うーん、一口には説明できないかな」
「そう言われたら逆に何か知りたくなりますので、今日そこに行ってもいいですか?」
「危ないから止めといたほうがいい、俺も周りに気を配って力を制限したくないしな」
秀が言っていることはもっっもで、昨日の特訓でも遠くの木々も特訓によるきずができるほどだった
「お願いします、私も特訓を見たいんです、浅村君の仲間として」
かなり強めに言ったはずだった秀だったが、石月はすぐに返してくる
そしてまっすぐな目で秀を見つめる石月を見た秀はしぶしぶそれを承諾した
―山頂―
「なあ秀、何で石月がいるんだ?」
「まあいいじゃねぇか、石月も迷惑をかけるつもりはないみたいだし」
「ちゃんと軽食を持ってきたので、いつでもどうぞ」
「あの子、前に泉の家に集まった時に一緒にいた子だよな」
「ああ、そうだけど………惚れたか?」
「…………可愛いな」
「へっ!?」
「前に会ったときも思ったけど、やっぱり可愛いなぁ」
頬少し赤らめながら石月を見る真也
「えーと、恋してるとこ悪いけど特訓始めるぞ」
「お、俺はただ一般的な意見わ述べただけだ」
「はいはい、さっさと始めるぞ」
始まった特訓は昨日より激しく行われた。
すべては秋山に勝つため、今からできる怪我などに目にとめることなく
「はわぁー凄いなぁ…」
三人がいるところからかなり離れた所にいる石月にも特訓がどれだけ激しいものかがわかる
そしてわかると同時に秀が言っていたことがわかる
―三時間後―
切りのよいところで一旦休憩を挟んだ三人は、食べ物からなんから用意していた石月のところに集まる
「ああ〜やっぱり能力使った後は腹が減るな」
ひょいっとおにぎりを掴み上げてそのまま口にほりこむ
「うん、美味い」
「たくさん食べてくださいね………あ、でも食べ過ぎたら気持ち悪くなっちゃいますね」
「まあそれぐらいはセーブするよ」
「石月さんだったけ、これ全部作ったの」
「はい♪これぐらいしか力になれないと思って」
「ありがとう、君のおかげで昼からも頑張れそうだ」
ニコッと石月にはにかむが、効果はいまひとつのようだ
「蒼もこれから大変だな」
連の言葉にうんうんと頷きつつ、渇いた喉に水分をとおし喉を潤し、特訓を再開した
-???-
「なるほどつまりは逃げて来たってことかな」
「おいおいそりゃないぜ、あのまま続けてたら勝ってたぜ」
「その言葉は怪我をしなくなってから言うんだな」
「浅村をあまりなめない方がいい、奴は強いぞ」
「おいおいアッキーまでキツイこと言わないでくれよ、アッキーは浅村に圧勝だったんでしょ」
「二度も言わせるな、奴は強い」
「分かった分かった」
秋山の言葉に男は静かになる
「しかし、どうするのだ秋山、早くしなければ奴らは我々の対策を打ってくるぞ」
「ふん、どんな対策を打とうが負けやしないさ」
「アッキー、何でささっと攻めないの?」
「俺だって戦いに疲れてるんだ」
そう言ってゴロりと眠る体勢にはいる秋山
「ったく、ちまちましてると俺も我慢できないぜ」
それを聞いた秋山は、目を合わせることもなく、ポツリと一言だけ呟いた
「一週間後だ………」
―石月家―
特訓を終えた秀は、山頂から降り、ちょうど帰宅していたところだった
「特訓お疲れ様でした」
「石月も飯ありがとな」
「あれで力になれるならいくらでもしますよ」
「サンキュー、でも毎日してもらったら石月家の米を食い尽くしちまいそうだからそれは勘弁な」
食べ盛りの高校生の三人が空腹状態で来るんだから米は三合は軽いものだ
「分かりました、じゃあ作る日を決めますね」
「うん、じゃあまたな」
手を振った後、自分に家に戻る
「……………」
ひたすらてくてくと歩く秀だが、その顔は周りを気にしている
(何だかおかしいな……何て言うか空気とうか、雰囲気というか、とにかくこの場にいたくない……)
急に足取りが重くなる………そして足が止まる
この場にいたくないはずなのに足が動かない
(何でなんだよ!!)
そのままの状態で、動かない秀
<ちょっと秀、どうしたのよ?>
「急に足が動かなくなったんだ」
<ちょっと秀、う、上!!>
シルフィーの言葉で上に視線を上に向けると、視線な先には無数の細い物が降ってくる
「か、風よ!!」
無数の細い物を風で吹き飛ばした
「動けなくても風は使えんだよ………誰だ姿を出せよ!!」
〈くっくっくっ………なるほど風で吹き飛ばしたか〉
「どこだよ出てこいよ!!」
「出るまでもない、お前に来てもらうとしようか」
頭に流れ込んでくる声がそう言うと、秀の視界が歪みその歪みに秀は吸い込まれて行く
「うわぁぁぁぁぁ!!」




