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四話 実行委員会

―学校―



「石月、あれからましにはなったか?」



「あれからまだ一日しか経ってないから分かりませんよ」



「そっか、アイツらも少しは勉学に励めばいいのにな」



「それは浅村君にも言えたことですよ」



「Zzz……………」



「こら現実逃避しない」




石月の件が解決したのは嬉しいことだが、それから自分の学力を上げようとしているのがめんどくさかった。




「それより浅村君、今日の放課後付き合ってくれませんか?」



「ああ構わねぇよ、どうせ暇だろうし」




石月との会話が終わると同時に担任が入ってきて、重要なプリントだと言って、プリントを配った



「校外学習?」


「みんなに行ってるが二週間後に校外学習のプリントだ、持ち物や日程が書かれてるから無くさないようにするんだぞ」



「へー校外学習なんてあったんだな」



「浅村君、知らなかったんですか?」



「おそらく睡魔に負けてたと思うんだが、わざわざ朝のSTに話すことでもないと思うけどな」



「浅村君……後ろ……」




ゆっくりと後ろを振り向くと、そこには黒いオーラをまとった担任が立っていた。



「俺のお喋りタイムに私語とはいい度胸じゃねぇか浅村」



「あの……先……生?」



「お前、今回の校外学習の実行委員会に入れといてやろう」



「ちょ、ちょっと先生、実行委員会って何なの?あれ先生?何処へーーー」




午前8月40分、浅村 秀、実行委員会に加入




その日の休み時間



「浅村君、ちょっといいですか?」



「ん、君は?」



「同じクラスの(いずみ)紗耶香(さやか)ですよ!!」



泉 紗耶香 秀と石月と同じクラスで黒髪の長髪をポニーテールにしていて、顔立ちもなかなかのものというのが秀の見解だ



「ああ、んで泉さん、何か用?」



「私はこのクラスの実行委員なんです!!」



「ああ、なら適当にやっといてくれよ、今日の担任の暴虐見たろ」



「あなたって人は!!」




拳を開き、平手で右から左へとおもっきり振り抜いた。




秀の顔面をめがけて…




パチン!!




乾いた音が教室に響き、クラスの視線が秀に集まった。



「もういいです!!」



教室から出ていく泉を二、三人の生徒が後を追って行った






「痛っぇな、あの女いきなり何すんだよ!!」



「今のは浅村君の言葉………最低だよ」



「ど、どういう意味だよ?」




石月は秀の言葉に耳を傾けることなく席から立ち上がって泉同様教室から出ていった。



(何なんだよ一体)



それからの授業も、泉も石月の機嫌はなおることなく昼休みをむかえた。


教室で食べる者や、食堂に向かう者で教室が騒がしくなるなか、自分の机の横を通りすぎ時に自分の机に付箋を張って教室を出ていった。


付箋には力強い文字でこう書かれていた。




“今日の放課後の件はいいです”



「はぁ〜俺が何したってんだよ」



今の感情が怒りなのかよくわからない、ただ胸のどこかに引っ掛かるようないやな感じがしていた。



「おーい秀、飯行こうぜ飯」



「悪い連、少し用事があるから今日はパスだ」



「おい、何処行くんだよ秀?」



「原因解明だ!!」






秀が向かったのは泉の所でも石月の所でもなかった。



―生徒会室―



「来てみたはいいもののやっぱ入りずらいな」




生徒会室の前で右往左往していた



「何してるの浅村君?」



「おお新藤助かった、お前を探してたんだよ」



「KK部の予算アップの話なら会長にしてよ」



「予算の話じゃねぇよ」



「じゃあ、学力アップの方法でも聞きに来たの?」




このままではラチがあかないと思った秀は今までのことを全て話した。









「ふーん、なるほどね、浅村君……あなたバカ?」



「最低よりバカの方がいいや」



「何言ってるの?」



「いやこっちの話だ」



「つまり浅村君は何で泉さんにぶたれたことと石月さんに軽蔑されたことが知りたいんだよね」



「ああ、さっぱりなんだ」



それを聞いた新藤はしょうがないと言わんばかりのため息を吐いて話し始める






「実行委員っていうのは各クラスから二人ずつ出されるものなんだけど、浅村君のクラスだけまだ決まってなかったの」



「つまり俺はもう一人の実行委員っていうことか」



「うん、だけど他のクラスの実行委員は、もう二週間前から決まっていたんだよ」




二週間前からって……



「何でだよ!?何で俺達のクラスは決まってないんだよ!?」



「浅村君、自分のクラスのことも知らないの?」




ドン引きされてしまったが知らないものは知らない



「はぁ〜、これじゃあ石月も怒るはずだわ、いい浅村君、あなたのクラスが決まってないのはクラス中の男子が嫌がったからよ、泉さんが実行委員になった直前ね」



「ど、どういう意味だよ?」




声が自然に震えた、新藤の言ったことはあまりにも重かった




「泉さんはねいつもテストで学年トップだし、全国模試だっていつも上位に入ってて、つい気が高ぶっちゃって男子とかについ尖った口調になったりしちゃってね」



「なるほど、それが積み重なってってわけか……」



「でも本当はとっても優しい人なんだよ、男子からの評判は悪いけど、女子からの評判はすごくいいんだからね」



「なるほど、通りでクラスの女子から白い目で見られたわけだ」



「でも泉さんは男子に嫌われてるのは自分のせいだからって、多い仕事をたった一人でやってるんだよ、わざと多く振り当てられた仕事を遅くまで学校に残ってね」



「わざと?」



「………実行委員をしきってるのが男でね、その男が泉さんを嫌っていてわざと多くの仕事を割り当てたせいで、遅くまで学校に残ってるんだ」










その言葉を聞いた秀は自分がやった過ちにやっと気づいた


自分がどれだけ最低の言葉を泉にぶつけたかを


誰にも助けを求めず、孤独を作り上げたその孤独はとても辛いものであるにもかかわらず、ずっと一人で我慢していた


その泉を孤独から救えたのは自分だったというのに、泉をさらなる孤独へと追いやってしまった。






「新藤、今日は実行委員会あるか?」



「あれ?今から謝りにいかないの?」



「いや俺はもう憎まれたままでもかまわない」



「ふーん、何か考えがあるみたいだね」



「まあな、でもちょっと手伝ってくれないか」



「まあのってあげる」



「よし、俺がやりたいってのは………………」











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