第三章一話 リスタートは続きから
第三章スタートです
「ん………んん…」
まだ意識がはっきりとはしていないようだが、視界ははっきりとしていた
秀の視界に映ったのは夕暮れの公園だった。
「ここは確か……俺が異世界に飛ばされる前にいた場所だ」
すぐさま携帯電話を取り出すが電池切れのためまたポケットに入れて、家に向かって走り出した。
―自宅―
「はぁ、はぁ、た、ただいま」
「あんた何でそんなに息切れしてんの?」
たまたま玄関にいた姉の肩を掴んだ
「はぁ、はぁ、姉さん、今日何月何日だ?」
「え?6月7日だけど」
(異世界に飛ばされた日と一緒だ!!)
姉に軽くありがとうと行って、階段をかけのぼり自分の部屋に入る
急いで携帯を充電器と繋ぎ携帯の電源を入れ、六人の中で一番名前が早い石月に電話かけた。
(繋がれ…繋がってくれ)
「もしもし、私だけど、浅村君だよね?」
「よかった石月、何か気付いただろ」
「うん、異世界に飛ばされる前にいた場所にもどってた、日付も変わってないよ」
「そうだ、あんなに異世界にいたのに、日付が変わらないなんて」
「この分だと他の人も同じこと言いそうだね」
「一体何がどうなってんだよ!!」
「あ、浅村君、まず落ち着いてよ」
知らず知らずに熱くなっていた秀を石月に諭された。
「ご、ごめん、つい熱くなっちまった」
「謝ることないよ、とりあえず明日学校で集まろうよ」
「そうだな、電話がかかってきたらそう伝えておくよ、じゃあ明日学校で」
「うん、また明日」
電源ボタンを軽く押した後、ふと気付いたことがあり、右手を上げた。
「腕輪が…………無くなってる………」
ポケットから財布を取り出すと、そこには透明のカードが入っていた。
「そうか、腕輪がカードに戻ったのか……」
制服のままベットにダイブして携帯を見るとちょうど連から掛かってきていて、疑問点と明日のことを伝え終わると、睡魔に負けてそのまま眠りについてしまった。
……きて秀……………起きて秀!!
「はっ、誰だ!!」
部屋を見渡すが、人らしい姿は見当たらない
「おかしいな、気のせいかな?」
〈ここだよ秀、ここ!!〉
「し、シルフィー!!」
〈やっほ、やっと起きたか寝坊助さんは〉
「な、何でシルフィーがここにいるんだ?」
〈何でってそりゃ腕輪をこっちの世界に持ってきたんだから私も来てるに決まってるでしょ〉
「だったらカードを見ようとした時点で声をかけてくれよ」
〈ごめん、ごめん、新しい世界だったからつい〉
「まあべつに構わねぇけど……………まてよシルフィーがいるってことは…………」
〈ちょ、ちょっと秀どこ行くの?〉
―咲恵の部屋―
「姉さん、ちょっといいかな?」
「な、何よ部屋に来て」
「木刀貸して!!」
「………はあ!?」
「だから木刀貸してよ」
「分かったわよ、廊下で待ってなさい」
姉から木刀を貸りて秀は部屋に入った
〈何するつもり……まあ何となく分かるけど〉
「物質憑依するんだよ」
〈はぁ、了解〉
姉から拝借した木刀にシルフィーをいつものように憑依させるといつものように天つ風に変身した。
その時だった…
「秀、この前貸した電子辞書貸し……………」
ノックもせずに姉が入って来た
「…………か、刀!?」
ゆっくりと部屋を出て、ドアを閉められた
〈あーあ、やっちゃった〉
「誤魔化しに行って来るからカードの中に入ってろよ」
〈かんば♪〉
物質憑依を解き、部屋を出た瞬間、とぼとぼと部屋に戻る姉がいた
「ね、姉さん、ほら電子辞書だよ」
「あ、ありがとう秀」
「どうしたんだよ姉さん、部屋に入ったとたん出ていくし」
「だ、だってあんた刀持ってたじゃん」
「はあ!?だ、大丈夫か」
あくまでもしらをきる秀
「嘘じゃないもん、私見たんだもん!!」
(出た、口調変換)
口調がいつもと変わる秀、姉がムキになるといつもこうなるが、何故か秀の時だけの現象だった。
「じゃあ、俺の部屋に行こ?好きなだけ確かめていいから」
「……うん、分かった」
(あ、やべ、可愛い…)
秀の部屋に入り、くまなく捜索する
クローゼットの中
物置と物置の隙間
ベット下
引き出しの中
(おいおい、そんな所にあるわけないだろ)
「むー、刀が無い………」
「な?刀なんて無いだろ」
「無い………Hな本」
「刀探しはどこいった!!」
「あるの?Hな本」
「無い!?んなもん断じて無い」
(嘘だけど………)
「ささ、無いとわかったらもういいだろ」
「うー、本当に見たのに………」
頬膨らませる姉、おそらく大体の男はこれで落とせるであろう。
「咲恵、秀、ご飯できてるわよ〜」
「ほら、ご飯だってさ、降りよ」
姉をなんとか誤魔化した秀は、明日に備えていつもり早く床に就いた。